ダンテの森    
30 Nov 2011   06:46:42 am
水資源(3)
警告段階の世界の水資源枯渇

 穀物の生産に世界で7130立方キロメートル(7兆1300万トン)の水が消費されている。これは地球上の70億人で割ると一人当たり日量2740リットルになる。

 FAO(国連食糧農業機関)の発表によると2000年から2030年までの30年間に開発途上国において穀物は67%の増収が必要であるとされており、その為には農業用水を14%今以上に確保する必要があるとしている。しかし、ワールドウオッチによると2025年には多数の河川や湖沼からの農業用水の取水は30%減少するであろうと予測されている。中国農業科学アカデミーは2050年には14〜23%の水不足が起きると指摘している。

 世界の水事情は逼迫しており水不足警報が出されるのは時間の問題である。地下水の過剰な汲み上げにより湿地帯面積は半分になった。アムダリヤ、コロラド、ガンジス、インダス、リオ・グランデ、マーレイ、黄河では既に断流が発生している。又、水量の分布と人工過密地帯の分布が異なっている為に余計問題を深刻にしている。

 今後の開発途上国の計画には水利計画が優先されるべきであるし、水資源利用の効率化が灌漑計画や都市計画段階で取り上げて行かれなければならない。

 水資源の70%は農業用水であり、23%が産業で使われており、8%が家庭用水及び飲料水である。

 ファクター4で紹介され、このブログの9月20日に書いた点滴農法を実施することで農業用水の使用は80%低減され、農薬の使用は95%節約できる。


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29 Nov 2011   07:52:25 am
次世代バイオ燃料
石油に代わるバイオ化学原料

 農作物や農作物残渣は化石燃料に代わる次世代燃料として注目を集めている。あらゆる種類の植物がエネルギー源として提案されており、穀物、農作物残渣、繊維を多く含む植物(スイッチグラスやサトウキビ)それにいろいろな種類の樹木が直接燃焼されたり、液化されエタノールやディーゼル燃料として使用されている。

 現在主にブラジルで生産されるエタノールの60%はサトウキビと穀物を原料にしている。

 第一世代のバイオ燃料は省エネの観点から見ても決して効率が良くないばかりでなく、食糧の価格を吊り上げると言う反社会的な側面を持っている。又、不適切な管理方式の下ではバイオ燃料を作るために同量の化石燃料を消費する結果になっている場合もある。次世代バイオ燃料は食糧供給には影響を与える事が無い材料を選び、適切なプロセスで効率よくエネルギーを取り出そうとするものである。

 基本的には食糧とならない植物や作物残渣をエネルギーに転換することになる。建築材料等の資源とはならない樹木、間伐材、雑草、コケ類、藻類も一度含水炭素や繊維エタノール等に加工したのちエネルギー源に変換する。

 エタノール、バイオディーゼル、ブタン、メタン、メチルテトラヒドフラン(MTHF)等がファクター10を目標に開発中である。

 バイオ燃料のみならずバイオ化学工業に応用され、現在は石油化学として生産されている幅広い製品を全てバイオ原料から生産する事が可能で、この分野のGHG(地球温暖化ガス)排出量を90%低減する事ができる。


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28 Nov 2011   07:28:12 am
バイオガス
畜産農家が生産するエネルギー

 中国は現在世界最大のバイオガス生産及び使用国である。1800万の農家が既に30年も前から家畜の排せつ物を発酵させてメタンガスを作り熱源に利用している。中・大規模のバイオガス発酵プラントが年間2億3千万トンを生産している。北京郊外にあるバイオガスプラントでは日量220トンの鶏の排せつ物と170トンの下水を使用して年間14.6GWhの電力を発電し、同時に近隣の農家に温水を供給している。これにより年間12億円のエネルギーコストを節約している。

 タイでは2011年に政府が1540個所で100MW級のバイオガスプラントを建設すると発表した。これには養豚場の排せつ物、下水、雑草が原料として考えられている。

 インドでは年間500メガトンの農作物の残渣が廃棄されているが、このうち25%はエネルギーに変換する事が可能であり、それは12.5GWに相当するとしておりこの利用が計画中である。

 フィリピンではマニラ首都圏の養豚場では22,000頭の豚が日量1700立方メートルの排せつ物を生産しているが、これをバイオガスプラントでガス化し更に圧縮して液化し自動車の燃料として利用する計画がある。

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27 Nov 2011   10:02:06 am
建築(7)
LEEDプラチナ認証ビルの一例

 2010年10月にスエ―デンの大手ベアリングメーカーSKFのアメリカ本社ビル(ペンシルベニア州)がLEEDプラチナの認定を受けた。

 2009年12月に始まった同ビルのグリーン化プロジェクトは2011年6月までの18カ月をかけて2300万ドル(約18億円)が投資され、延べ床面積10,800平方メートルのオフィスビルがグリーン化された。

・3400メートルの深さの井戸から汲み上げる年間を通じて殆ど一定温度の水を使った冷暖房システムは30%の省エネを達成した。
・自然光を有効に取り入れる事と、蛍光灯やLED照明との組み合わせた室内照明設計により照明に消費される電力を40%低減した。
・トイレ洗面所の機器をより少ない水の量で有効に機能するものに交換することで44%の水道の使用量を低減する事ができた。
・改築の際に出された廃材の93%は埋め立て処分に依らない処理方法でリサイクルや焼却処分された。その内20%は同ビル内で再利用された。
・屋上には500kWのソラ―パネルが設置されている。

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26 Nov 2011   08:29:43 pm
建築(6)
典型的な商業ビルのファクター5

 商業ビルの省エネ改善設計では2つの要素がGHG(地球温暖化ガス)の排出を低減させるカギとなる。

1. はビル建設や改築に当り消費されるエネルギー(建設材料の製造エネルギー、建設材料の運搬により消費されるエネルギー)と、ビルを解体し廃材を処分するのに必要とされるエネルギーの最小化。
2. は商業ビルが稼働中に必要とするエネルギーの低減。

 ビルの出すGHG全体の約8〜10%はビルの建設や改築に使用される建築材料の製造と運送時に消費されるエネルギーによって排出されるGHGであり、残りの90〜92%は稼働中のビルが排出するGHGである。

 省エネの為の設計コストは建設コスト全体の1%に満たない。この1%によりビルの運転コストを70%低減できる。省エネ設計と省エネ対策に7%を投資すれば85%の省エネが達成できる。

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