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31 Aug 2011 05:53:43 am |
半導体産業の努力 |
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フロン問題を覚えていますか?
我々の知らないところで産業界も努力をしていると言うお話です。
フロンが温室効果ガスの悪玉として有名になった事はかなり昔の事ですが、最近フロン以外の性質の悪い物質が半導体産業で使われている事が分かった。NF3、三フッ化窒素と言うもので、LCDやソラ―パネルの製造工程や製造設備の洗浄に使われているそうである。炭酸ガスの17200倍の温室効果を持ち、大気中での寿命は550年と長寿命である。このNF3もフロンと同じく自然界には存在しない物質である。1997年に作られた京都議定書のリストには生産量が微少であるとの理由で載っていない。ところがLCDやソラ―パネルの製造の増加に伴いNF3の使用量は2007年に4000トン、2010年には8000トンになっていた。これはCO2換算で1億3700万トンになる。2009年の日本のCO2総排出量が11億5千万トンであるのでほぼ12%に匹敵する量である。これに気付いた半導体産業はフッ素を用いる代替技術を開発し東芝、パナソニック、LG電子は自発的にNF3の使用を控えている。このような産業界の姿勢と努力は心強い限りである。
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Posted By : dantesforest |
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30 Aug 2011 06:10:51 am |
ファクター5の実行 |
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日本では政府のリーダーシップが必要
昨日、次の日本の首相となる民主党代表となった野田さんの愛読書は司馬遼太郎と藤沢修平との事だが、ワイツゼッカーの「ファクター5」も加えてもらいたいものである。
1998年に出版された「ファクター4」にはリッター80kmを走る車を開発すべきだと書かれていた。ところが現実世界ではその直後トラックをカッコ良くしたようなSUVと言う車種がでてきて、これが一世を風靡することになった。中国が世界の景気のけん引役を務めるようになり原油価格は低迷した。SUVユーザーが増え、一時期公共交通機関を利用していた人たちも車通勤にもどり車通勤者も倍増した。つまり「ファクター4」に書かれた事は何も起こらなかったのである。サブプライムローンにより、見掛け上可処分所得が増えた人達により好況感はますます増し世界の人たちは「何だ、このままいけそうじゃないか」と言う気になった。地球も耐えられなくなれば何か言ってくるだろう位に考え地球温暖化に危機を感じる気持ちが遠のいていった。2004年に原油価格が1バレル50ドルを突破したことを契機に石油製品価格が上がりはじめると、また地球温暖化が問題視しはじめられる。2006年に顕在化したサブプライムローン問題は2007年にリーマンショックとなった。この間、地球温暖化は人々の意識の「考えたくない問題を置く棚」に置かれていたように思う。
2010年に株式会社NTTデータスミスから発表された「世界24カ国地球温暖化意識調査」と言う調査がある。これによると、地球温暖化は世界に共通して問題意識があること。この調査で現れた日本の特徴は、対地球温暖化政策が経済に好影響をもたらすであろうと言う期待感が79%有り、世界平均の63%を大幅に上回っていること、緊急課題とする日本人は52%で世界の61%に比べすくないこと、また、日本人にとって地球温暖化対策は大企業や政府がやるべきことであるとの考えが強いことである。
日本では他の国よりも政治のリーダーシップが求められていると言うことである。南極のオゾンホールがこれ以上大きくなる前に。
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29 Aug 2011 06:18:33 am |
製鉄所(2) |
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国情に左右される製鉄
製鉄は歴史的背景、国政、国情に大きく影響される分野である。中国は現在世界の44%の鉄の生産をしているが、低効率のシーメンス・マルタン炉が数多く使われている。地球を温暖化から救う為には一日も早いシーメンス・マルタン炉の閉炉をお願いしたい。急速に鉄の生産量を増やしている中国、インド、ブラジルなどに於ける高炉の建設もできればやめて戴きたい。これらの国々は最初から最新技術のストリップキャスティング等の技術を取り入れてCO2を出さない製鉄法にしてもらいたい。OECD国には豊富に有る鉄のスクラップは、これらの新進の国々には豊富には無く中国はスクラップを輸入している。
製鉄に於いて今後開発するべき効率アップは:
・電気炉への転換
・直流電気炉への転換
・酸素燃焼バーナー
・スクラップの予熱
・ストリップ・キャスティング
・化石燃料に依らないエネルギー
・排熱の回収
これらを行う事で、ファクター5が達成できる。
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28 Aug 2011 09:39:31 am |
製鉄所 |
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製鉄所のファクター5
地球温暖化ガスの7%は製鉄から排出されている。単一産業としてはセメントと並ぶ大きな分野である。2010年の世界の鉄の生産量は約14億トンである。
製鉄を産業基盤と捉える国が多く、歴史的背景や政府の政策に大きく影響を受ける産業でその国の国情を反映しているために一概に効率の違いを国家間では比較しにくい複雑な産業である。
製鉄の効率は1トンの鉄を作るのに必要なエネルギーの総量で表す。世界平均(1995年)では約28GJ/T、1トンの鉄を作るのに28ギガ・ジュールのエネルギー、電力にして7700kWh、石炭に変換すると約1トンを使っている事になる。製鉄所と言うと高炉を連想するが、製鉄の方法には大きく分けて高炉と電気炉がある。高炉では主に鉄鉱石から電気炉では鉄スクラップを原料とする。石炭を大量に使う高炉は熱効率は40%にとどまるが、電気炉はその半分のエネルギーで済む。いずれの方法もまだまだ改善の余地がある。電気炉では1965年から1990年までの間に50%の効率アップを達成しており、1990年には550kWh=2GJ/トンを達成している。世界の44%を生産する中国では高炉と低効率のシーメンス・マルタン炉による生産が主で有る為に36.7GJ/tonである。ドイツは18GJ/ton、日本は22GJ/ton(いずれも1995年)である。
現在世界で一番効率の良い製鉄工場はアメリカのNucor社である。ここでは主に自動車のスクラップを電炉で溶解しそのまま直接薄板を作るというストリップキャスティングと言う技術で製鉄から最終製品まで全てを含めて2GJ/tonを達成している。Nucor社はリーマンショックの際に1名の解雇者も出さずに乗り越える事ができた優良企業である。このストリップキャスティング技術は日本のIHIとオーストラリアのBHP Billiton社の共同開発になる技術である。ちなみにこの技術は1857年に英国で発明され150年間日の目を見る事の無かった技術である。
Castrip社のホームページ(英文のみ)
http://www.castrip.com/
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27 Aug 2011 05:12:11 am |
パッシブハウス(2) |
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パッシブハウスは建築基準です
パッシブハウスについては8月17日に書いたが、地球温暖化ガス総排出量の40%を占める建築物のエネルギー消費を抑える事は大変有効なファクターであるので、今後も何度も書いて行くことになると思う。
これは、単なる考え方だけのものでも、運動でもない、ドイツのウォルフガング・ファイスト博士の開発になる厳密に定められた建築基準である。目標はアクティブな冷暖房に使用するエネルギーを「ゼロ」にすることにある。
1.年間の冷暖房エネルギーが15kWh/平米以下であること。(単位面積あたりのエネルギー消費)
2.建築物の外気圧が50パスカル高い時に、流入する外気の量が一時間当たり建築物総容積の0.6倍以下であること。(気密性)
3.総エネルギー消費(電気、ガス、温水など全部合わせて)が120kWh/平米/年以下であること。(総エネルギー消費)
これらを達成する為には、太陽光熱の利用、十分な厚さの断熱材を使った壁、気密性能の良いドアと窓サッシ、遮熱性の窓ガラス、排熱(排気と排水)回収システム、熱交換器を用いた排熱に依る外気や水道水の加熱システム、効率的な自然光の取り入れと効率的(LED等)照明、高効率なキッチン機器類などが含まれる。これらのほとんどはすでに過去のブログに書いたので参考にしていただきたい。
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