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29 Feb 2012 06:10:38 am |
基礎・臨床環境学 |
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世界から50人余りの環境の研究者達が集まって会議
一昨日(2月27日)から名古屋大学で開かれている「地球学からの基礎・臨床環境学への展開」と言う国際会議を取材させてもらっている。この会議のアドバイザーの一人としてファクター5の著者のフォン・ヴァイツゼッカー教授が来ているからだ。世界から50人余りの環境の研究者達が集まって喧々諤々の真剣な討議が続いている。
環境の問題は余りにも大きく専門分野別に議論するのは目の見えない人が象を手で触って象とはこういうものだと言っているようなもので、環境問題の一面は正しく捉えていたとしてもそれが問題の全体を明らかにする事にはならない。瀕死の状態にある環境(地球)を丁度重病患者を医師団が診断するようにそれぞれの専門分野ごとに診断した結果を持ち寄って最高の治療法をみつけるような学問が基礎・臨床環境学であると思う。
今日のディスカッションでドイツの研究者が地域計画について発表していたがその中で異なる行政機関や異なるレベル(県、市、町、村)の議会を問題解決を必要としている地域として統合して取り組む事が大切であると訴えていた。それに対し日本では行政の縦割りの弊害が大きく、今緊急テーマとなっている東北復興でさえ統合はむずかしいと言う話が出ていた。環境問題は行政区分や所轄省庁別と言った区分けは無い。日本の研究者が言っていたが災害も環境問題も問題の本質は同じで、その時間軸が違うだけだと言うのは、その通りだと思った。急激に環境が変化する事を我々は災害と呼んでいるだけである。
環境(地球)が無ければぼくたちは生きて行けないが、ぼくたちが居なくても地球は生きて行けると言う事を忘れてはならないと思った。それに、世界から集まった研究者が真剣に環境の事を話し合っているのを目の当たりにして、人間の英知で解決できるのだとの確信を強くした。
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Posted By : dantesforest |
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28 Feb 2012 05:59:35 am |
イケアの持続可能戦略 |
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持続可能性原材料でリサイクル可能が目標
グリーンビズ(GreenBiz.com)のイケアの持続可能性最高責任者(CSO)スティーブ・ハワード(Steve Howard)へのインタビューから。2012年2月23日
イケアはコットンと木材の2大原材料に挑戦を始めた。社の方針IWayに基づき環境的、社会的な必要条件を満たした供給元からしか購入しない。この供給管理システムは10年以上の実績とその間に165,000以上の改善が重ねられてきたシステムである。本年の目標は企業コンプライアンスの100%遵守である。これは妥当な報酬を支払っている事、水資源を保護し、大気汚染の緩和の為に植林をしている事などである。社内には80人の環境監査要員が居り供給元を監査している。人員は何時でも必要と有れば増員出来る体制にある。
コットンは大変に環境負荷の大きな作物である。今日イケアは24%を持続可能な供給源からの供給を受けているが2015年にはこれを100%にする。綿花栽培は労働資源、水資源、殺虫剤と肥料と言う資源集約型の作物である。我々は世界野生生物資金(World Wildlife Fund)と共に綿花栽培における水の使用量削減に努めてきた。農家が水の使用量を1/2にすると、殺虫剤の使用量は1/2になり、肥料の使用量は1/3になり、収量は増加する事が分かっている。これまでの悪循環を切る事で綿花農家が貧困から抜け出す事が可能になってきている。
木材でも全く同じアプローチを行っている。木材の供給元が持続可能性の条件を満たしているかどうかは森林管理協議会(Forest Stewardship Council)の証明が有る事を条件にしている。2017年には1千万立方メートルの材木を証明の有る供給元から入れている。これはイケアの全量の50%に当る。
イケアは低価格の家具を大量に販売しているものと思われているが、2015年までには全ての家具をリサイクル可能なデザインにして行く。そしてその原材料は100%持続可能性の供給元からの供給だ。けっして安価だから使い捨てと言うものではない。
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Posted By : dantesforest |
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27 Feb 2012 06:02:41 am |
食品小売の省エネ |
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浪費の象徴スーパーマーケットの省エネ
今日殆どの食料品はスーパーマーケットで売られていると言っても過言ではないだろう。従来のスーパーマーケット程省エネには程遠いものはない。
お客がドアから入ると頭の上から夏なら冷風が、冬なら温風が吹き付ける。何度かまばたきをしなければならないほど眩しい照明が両側の商品陳列棚を照らしている。棚の谷間を歩いて行くと棚には冷凍食品、冷蔵食品、野菜、果物などがそれぞれの保存に適した温度の空気を吹き付けられて並んでいる。しかし、その間の通路はお客にとって快適な温度に保たれている。冷凍・冷蔵食品棚のそばの通路は夏でも暖房されているのだ。ここでは冷凍機と暖房機が同時に働いてしのぎを削っている。
巨大な空間、空気の流れや熱の伝搬等が考慮されていないレイアウト、断熱を考えていない陳列棚等、スーパーマーケットは75~80%の省エネが可能である。
世界最大の小売りチェーンWALMARTについてはこのブログではすでに何度か取り上げているが、ファクター5ではそれ以外のケーススタディも取り上げている。
図はスーパーマーケットの電力消費の内訳である。
Source: Australian Grocery and Food Council (2003) |
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Posted By : dantesforest |
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26 Feb 2012 03:40:57 pm |
パン工場の省エネ(3) |
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実際にパン工場はどのような省エネを行ったか
パン屋さんの省エネの話の最終回(3回)です。
ストーンミル・ベイクハウス(Stonemill Bakehouse)社はカナダで100年の歴史を持つ個人企業の製パン会社である。同社は2007年に「環境負荷ゼロ企業宣言」を出し直ちに節電プログラムと再生可能エネルギーからの給電を実施した。
同社は原材料のフードマイルの削減の為に地元産の有機栽培穀物に切り替えた。その為地域の河川は農薬による環境負荷が低減された。
包装材料やその他の消費財はリサイクル製品にした。製造機械には省エネの為の改造を行った。これらにより2008年には12%の節電を達成した。
同社のURL: http://www.stonemillbakehouse.com/
ファーガソン・プラレ・ベイクハウス(Ferguson Plarre Bakehouse)社はオーストラリアで100年以上の歴史を持つ個人企業で、1つの工場と50以上のショップを展開している。同社は「環境負荷ゼロ企業宣言」を出し強力な省エネプログラムを推進した結果70%の省エネを達成した。その主な内容は次の通り。
▼照明器具の取り換えとセンサーを使ったプログラム制御による最適照明。
▼欧州から輸入した最新のハイテクパン焼きオーブンの採用。
▼断熱処置とレイアウトを考えたオーブン室にオーブンを集合させる事で熱を閉じ込める事で熱効率の向上を図った。
▼冬場の寒冷期間には焼きあがった製品の冷却時に出る排熱をオーブン室に導入して熱を利用した。
▼冷蔵庫、冷凍庫の熱交換器の排熱を回収して給湯に利用。
▼太陽熱温水器による給湯。
▼10万リットルの雨水タンクを設備し従業員用トイレの洗浄に使用。
▼配送トラックをハイブリッド車にして25~30%の燃料の削減を達成。
同社のURL: http://www.fergusonplarre.com.au/History/Greenhouse-Challenge.html
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カテゴリー : Factor Five |
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25 Feb 2012 01:52:10 pm |
製パン工場の省エネ(2) |
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中世のパン屋は環境負荷はゼロだった
昨夜遅くブログの為にパンの写真をネット上で探していたら、パンが大好きなぼくは余りにも美味しそうなパンの写真に刺激されたのか美味しいパンを食べている夢を見た。
パン焼きは中世の欧州においては村々に大きな石の窯が一か所有ってそこに石窯番人が居て決まった日の夜中から窯に薪をくべて熱する早朝の3~4時には丁度良い温度になると番人が火を取り出し窯の中を綺麗にして村人が来るのを待つ。村人はそれぞれパン生地を持ち寄って石窯に入れて焼きあがるのを待って持ちかえる。その一部をパン窯番人は駄賃として受け取り糧としていた。これがパン屋の始まりだと聞いたことが有る。
その頃の環境負荷を考えると、燃料は木材つまり再生可能エネルギーで環境負荷はゼロであった。村に一か所の窯であったのでその使用効率も大変高かった。まさに持続可能社会であった。
ファクター5に戻る。昨日書いたパン工場の省エネ化は環境負荷を下げるのみではなく労働環境も改善すると言う複合効果に目を付け、いくつかの国ではパン焼き工場の省エネをモデルケースとして取り上げる所が出て来た。
例えば1993~2003年にオーストラリア政府が行った「省エネ模範プログラム」がある。これに省エネの専門家とオーストラリアの製パン企業「ベーカー・出ライト社」が共同プロジェクト「パン屋のショーウインドー」を立ち上げた。
この研究の結果、オーブンの断熱設計、工場レイアウトと断熱設計、照明方法とデザイン、ガラスによる断熱技術などの改善により40%の省エネ=48%のGHG(地球温暖化ガス)排出量削減を達成した。但し時間の制約によりこの研究は電気オーブンにしか反映されていないが、ガスオーブンにも適用する事で同様の効果が得られるとしている。
なお、この研究は既に高度に省エネ化されていたとされる大規模製パン工場での研究であり、省エネが遅れている中小のパン屋さんに同様の改善をじっしすれば70~80%の省エネが期待される。
この結果は世界の製パン業界の環境負荷に対する意識の変化を促す事になり、カナダのストーンミル社やオーストラリアのファーガソン社は環境に負荷を与えない企業になるとの宣言をしている。
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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