ダンテの森    
24 Dec 2011   06:14:45 pm
燃料転換
燃えるのは化石燃料だけではない。

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)はGHG(地球温暖化ガス)排出減少戦略の省エネに続く2つ目に燃料転換を上げている。

 特定の工業分野では特定の化石燃料を必要としている分野もあるが、単に水蒸気を必要とする発電等他の燃えるもので置き換えられる分野では化石燃料以外の燃料に転換を進めるべきである。

 天然ガス、バイオマス、廃油等多くの代替燃料候補が考えられ、これらは化石燃料よりもGHGが少なく原産地に偏りが無いので安定供給が可能で価格の安定も容易である。

 製鉄所やセメント工場のように大量の熱源を必要とする産業では、古タイヤ、埋立地から出るメタンガス、工業用・食用廃油、廃溶剤、廃プラスティック等を使う研究が進められている。これらは元は化石燃料である場合が多いが、これらを燃料と使う事は新たな化石燃料を使わない為にGHGの削減になると考える事ができる。

 日本で開発された、プラスティック廃材に一定の予備加工を加える事で製鉄のコークスの代わりに使う技術により日本の製鉄産業は年間0.6メガトンのCO2排出低減を達成している。この技術ははGHGの排出を低減させるだけでなくプラスティック廃材がゴミ焼却炉で燃やされる時に出す高熱が焼却炉を傷める為に殆どが埋め立処分され、埋め立て地不足の問題を起こしておりその解決にもなる画期的な技術である。

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23 Dec 2011   06:05:32 am
マスダール
世界の持続可能実験都市−マスダール(Masdar)アラブ首長国連邦

 アブダビから17kmの位置にあるマスダールは2006年にオープンした持続可能実験都市で営利企業である。6平方キロの広さの街に住居、公共施設、企業、学校、研究所、商業施設、都市インフラを全て最新のクリーンテクノロジーで建設し、再生可能エネルギーに依りエネルギー供給を受けるゼロエミッション都市である。

 ここではあらゆる分野のクリーンテクノロジー、省エネ、再生可能エネルギーが展示され、使われ、販売され、研究され、テストされており、年中無休で世界中からの訪問者を8:30〜22:00まで歓迎している。興味のある方は是非訪問してレポートしてもらいたい。ホームページはhttp://www.masdarcity.ae/ です。

 最終的には人工4万人の都市になり、職住接近の都市で学校も大学まで備えている。MIT(マサチューセッツ工科大学)と協力してできた研究所はマスダールの中心的存在で、ここの研究員がマスダール最初の居住者であった。

 このプロジェクトの共同経営には、ドイツのシーメンス(同市の主な機器を設置)が中東本社とビルテクノロジー本部のR&Dセンターを設置する。アメリカのGEは同社初めてのエコマジネーション・センターを設置する。ドイツのシュナイダ―はR&Dセンター、ドイツのBASF、スイス村協会、韓国技術協会、世界再生可能エネルギー協会(IRENA)も拠点を設置する。

 世界にはこのような大規模プロジェクトが数多くある。昨日紹介した藤沢SSTは日本初である。日本が原子力立国を目指していた20年間の間に世界の流れからすっかり取り残された感はぬぐえない。
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22 Dec 2011   06:03:05 am
建築(10)
藤沢サスティナブル・スマート・タウン(SST)

 当ブログの10月10日で2002年から入居が始まった英国ロンドン近郊の持続可能型社会実験コミュニティーBedZEDを紹介したが、その日本版とも言える藤沢SSTと言うプロジェクトが有るので紹介する。

 藤沢に有ったパナソニックの冷蔵庫工場跡地の19haにゼロエミッションを目指すエコタウンを作ろうと言うものである。パナソニック創業100年事業として他の企業8社と藤沢市の共同事業で2013年入居開始2018年完成時には1000世帯3000人のエコ・コミュニティーができる。

 コミュニティー内の住宅、商業施設、共同施設には始めからソラ―パネル、蓄電池、が備えられ電力系統はスマートグリッドで繋がれており、生活用水のリサイクルや雨水利用も取り入れており、コミュニティー全体でGHG(地球温暖化ガス)排出量は70%低減、生活用水の使用量も30%の低減を達成している。

 さらに住民のエコライフを促進するためにEV(電気自動車)や電動アシスト自転車のシェアリングやチャージステーションやエコライフの為の住民サービスが用意されている。

 事業総額600億円で「街まるごと」のプロジェクトである。英国のBedZEDの場合は50%は分譲、25%は賃貸、25%は公共住宅となっているが藤沢SSTは100%分譲となるのだろうか、そうなると年金生活者のぼくには高嶺の花か。また建てられる住宅はパッシブハウスになっているのだろうか、ご存知の方は教えてください。

パナソニックのホームページにはビデオもあり詳しく説明してある。
http://panasonic.co.jp/fujisawasst/

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21 Dec 2011   05:22:27 am
ファクター5戦略(3)
(1)エネルギー効率改善の2

 昨日書いたエネルギー効率の改善は主にOECD諸国(開発完了国)を対象にしたものであるが、エネルギー効率の改善は発展途上国にこそ有効な手段である。

 マッキンゼイ・グローバル研究所によると、燃費の良い自動車を選び、エネルギー効率の良い電化製品を選び、断熱の良い建築物をつくり、高効率の照明を採用にすることで現在予測されているような2020年までの間、年率3.4 〜1.4%で増加するとされているエネルギー消費を半分にカットできるとしている。

 発展途上国にとってエネルギー効率の大幅アップは燃料の輸入量を減らし、建築物の消費エネルギーを下げ、新たなエネルギーインフラの増加を抑える事ができるのみならず、低エネルギー国家が作られる事により将来のエネルギー危機へのリスクの低減が可能となる。

 発展途上国の省エネは2020年には6000億ドルが可能であると見積もられている。省エネは最も安価な国づくりを可能にする戦略である。過去にOECD諸国が経験した公害問題はエネルギー問題と密接に関わっているので、公害問題のリスク低減にもなる。

 例えば石油輸送の為のパイプライン一つを例に取って見ると、設計するあたりエンジニアは将来の需要の増加を見越したうえで設計するのでどうしてもオーバーサイズとなってしまう。直系の大きなパイプを使うので、当然バルブも大きくなり抵抗も増える、圧送するためのポンプもモーターも大きくなりロスも大きくなる。全て大きくなるためにエネルギー損失も大きくなる。将来も需要が増えないので最低のニーズに合わせた設計ができれば、高効率なパイプラインが設計できる。この事はあらゆる分野で起きる事でそれらの相乗効果で更に全体のエネルギー効率は良くなる。
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20 Dec 2011   07:04:23 am
ファクター5戦略(2)
(1)エネルギー効率の改善

 エネルギー効率の改善はファクター5で最も多くのページを割いている戦略である。最も早く、簡単に実現できそして費用対効果も良くGHG(地球温暖化ガス)の抑制ができる方法である。

 前著ファクター4が出版された1970年代には省エネと言えば10〜30%を議論されていた。1980年代になると50〜80%が議題となり、1990年代からは90〜99%もの省エネが現実として報告されている。

 全米省エネ同盟(US Alliance to Save Energy)は50%の省エネを実施してもアメリカ経済は産業も家庭も現在の水準に全く影響が出ないと言う見積りを出している。

 タイムマガジンが1973年から2009年までに省エネされたエネルギーの総量を集計したら、原油の使用量の1年分、石炭と天然ガスの2年分、米国国内の原発が発電する電力の6年分に相当するとしている。

 ファクター5で更に新たな事実も報告している。ACEEE(全米省エネ経済会議)は省エネは300億ドルの資金で1000億ドルの産業を生み出すとしている。

 持続可能システム設計者のAmory Lovins氏によると、現存する省エネ技術の最も優れた技術を選び、その全てを投入すれば米国が輸入している原油と天然ガスの量を半分にし、総電力需要は1/4になるとしている。つまり、米国が氏はらている燃料の輸入価格は半分になり、各家庭の電気料金は1/4になり、米国のGHG排出量は現在の半分以下となるとしている。

 2008年のマッキンゼイ報告によると、現存する省エネ技術を採用する事で「壮大な結果」つまり2020年には世界は現在の消費エネルギーの半分になるとしている。そして各セクターで実施される省エネ技術への投資は多くの配当が得られるとしている。マッキンゼイによれば平均して17%の配当が試算されており優良投資先であるとしている。結果として2020年には9000億ドルの省エネが可能となる。


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