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08 Jan 2012 03:13:15 pm |
スマートグリッド |
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電力会社は導入に消極的
スマートグリッドと言う言葉を良く聞くようになってきた。スマートは賢いでグリッドは配電網で「賢い配電網」である。
発電所―送電線―変電所―配電網―需要家と言うのが電気が配電される順番であるが、このいずれにもコンピュータ制御装置を付けて自律分散型の制御を行い最適な電力供給を行う。それのみに留まらず双方向通信で情報交換を行う事で需要の変化の把握と予測を行い必要な場合は緊急度の低い電気機器への送電を停止する等して調整も行う。また、再生可能エネルギーで発電された個人や企業の余剰電力を送電網に送ることもできる。さらに家庭用蓄電器やプラグインハイブリッド車や電気自動車を電気の貯蔵システムとして使うことも行う。
もともと、電気インフラが老朽化して停電が多いアメリカで考えられたスマートグリッドであるが、持続可能社会にとって欠かせない電力供給システムとなった。
従来の電力網は年間の最大ピーク時に合わせて設計されている為に、全ての設備が過剰な容量を持っている。東電は猛暑時6450万kWをピークとしている。これは2001年にこの実績があったとしていますが、それ以外の年で6000kWを上回った実績はない。この数字は電力料金を値下げして大口需要家に猛烈営業を掛けた結果である。そして全ての設備はこのピーク時電力を賄えるように設計されている。猛暑の日の午後2時位にピークとなるがその時の為に大幅な過剰投資が行われそのコストは全て電力料金として需要家が払っている。因みに昨年2011年の最大は8月18日に4936万kWを記録している。
スマートグリッドを導入して電力供給の適正化を行うなら現在の発電、送電、変電、配電の全てが過剰投資であった事が明確になる。スマートグリッドの導入は電力会社が電力を売れば売るほど儲かると言う従来のビジネスモデルを根幹から変える事から、全国いずれの電力会社もスマートグリッドの導入には消極的であったが、今後それが変わって来る事を期待する。
スマートメーターはイタリアが先進で2700万世帯、カリフォルニア州が900万世帯、オーストラリア・ビクトリア州が260万世帯に設置が終わっており、オランダは2013年中に全世帯の700万世帯、中国は2016年までに2億8千万世帯に設置される。東電は2013年から10年間で2700万全世帯に設置する予定と発表している。
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Posted By : dantesforest |
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07 Jan 2012 07:44:49 pm |
法律による規制 |
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市場のなりゆきには任せてはおけない
市場経済が自発的に持続可能社会に変わって行く事を待つ時間は奇跡の惑星地球には無い。政治のリーダーシップで始める事ができる道具が2つある。
1. 電気事業者がより多くのキロワット時を販売すると言う商行為に興味を持てなくする為に需要家本位に作られた電力料金体系。
2. 電気事業者が再生可能エネルギーを発電コストに十分見合う価格で長期間にわたり買い取る契約を結ぶFIT(Feed in Tariff)
1番目は、昨年の3/11以降、東京電力は需用者に対し電力需要予測を公開し、計画停電をスケジュール化して電力不足に依る突発的な停電を回避する事を行った事は、東電管内に住む人々には記憶に新しいが、この手法を料金体系に組み込む事で需要家が日常的に使用電力を減少して行くような方法である。
この制度は1970年代からカリフォルニア州に導入され成功しており、現在のカリフォルニア州の電力需要は全米平均の40%である。
2番目は太陽電池パネル発電、風力発電、マイクロ水力発電、バイオマス発電等再生可能エネルギーで発電した電力を決まった金額で電気事業者(東電等)が買い取る制度で、日本では本年7月からスタートする。この電力買い取り法案は、不思議にも3月11日、地震の当日閣議決定され、その後も原発推進議員からの反対運動が有ったが8月26日に成立したものである。
このような改革的変化を世界の経済市場に認めさせる為には、それぞれの経済状態に合った戦略的な制度の組み合わせを考えなければならない。エネルギーと資源の効率アップが経済にとって利益をもたらすものである事を認識してもらわなければ、これらの制度(ある意味で環境税である)の導入により電力と資源の価格が上がる事が認められないからである。
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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06 Jan 2012 06:04:40 am |
小売業の省エネ |
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ウォールマートの省エネ目標のその後
昨日書いたウォールマートがコミットした目標が現在どのように進んでいるのか同社の最新のホームページからその一部を紹介する。
カナダに2010年11月にオープンしたバルザック魚介類処理センターでは、水素を使った燃料電池で稼働するフォークリフトの採用、太陽電池発電により、40万平方フィート(約3万7千平米)の施設で従来方式に較べ60%の省エネを達成した。これにより年間500万ドル(約3億5千万円)の電力料金を節約する。
ウォールマート傘下の英国の小売りチェーンASDAは電気機器への供給電圧を下げたり、効率の良い機器に交換するなどの技術的アプローチに加え、従業員への徹底した省エネ教育により2005年に較べ42%の省エネを達成した。
中央アメリカでは2010年に域内350ストアの駐車場照明をLEDに交換する事で50%の省エネを達成、これはGHG(地球温暖化ガス)CO2換算で540トンに匹敵し、年間41万ドル(2900万円)の電力料金を節約した。
2011年中にアリゾナ、カリフォルニア、プエルトリコで合計35の太陽電池発電プロジェクトが完成した。内8か所は最先端に薄膜太陽セルを使用した。カリフォルニアでは7つの燃料電池発電が稼働している。全米の多数のストアで駐車場照明の電源としてマイクロ風力タービンが導入されている。
テキサスではデューク風力発電会社と電力供給契約を結んで2年目となった。テキサス350ストアの電力需要の15%を供給している。これは13万9千トンのGHGに匹敵し、25000台の自動車あるいは2万世帯の家庭のCO2排出量に相当する。
ウォールマートは目標に掲げた100%再生可能エネルギーへ着実に進んでいるとしている。
報告書(英文)のURLは
http://walmartstores.com/sites/ResponsibilityReport/2011/default.aspx
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カテゴリー : 他メディアより |
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05 Jan 2012 01:15:36 pm |
企業の社会的責任 |
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世界最大の小売りチェーンWal-Martの取り組み
環境問題をCSR(Corporate Social Responsibility = 企業の社会的責任)として取り組む動きが有る事は喜ばしい事である。
ファクター5ではアメリカ最大の小売りチェーンWal-Mart(日本では西友チェーン)を取り上げている。
アメリカの小売りチェーンと言うと持続可能社会の反対極に有るようなイメージを持つ人が多いと思う。しかし、世界に9667の店舗を展開し210万人の従業員を擁し4190億ドル(約30兆円)を売り上げる小売チェーンとなっており自ずとその社会的責任は大きい。昨年ぼくが1カ月過ごしたテネシー州の田舎町での生活はウォールマートを抜きには考えらなくなってしまっていた。
2005年にウォ―ルマートCEOのリー・スコット氏は3つの目標を掲げた。
1. 電気は100%再生可能エネルギーを使用する。
2. ゴミゼロを目指す。
3. 資源保護と環境保護に貢献する商品を販売する。
ウォールマートは中国、米国、欧州に2万社の供給元を持っているが、これらの企業に対し、2013年までに梱包材量を5%減少させる事を義務付けている。これは単に資源保護となるのみならずウォ―ルマートの仕入れコストを34億ドル(約2400億円)下げ増益にもなる。
また、中国政府と中国の供給企業が公害、大気汚染、省資源、省エネルギーを行うと言う契約を交わしている。
10月31日の当ブログでウォ―ルマートがハイブリッド省エネトラックを開発している事を取り上げているので参考にしてもらいたい。
このように、環境保護は企業の社会的責任を果たすのみではなく、利益の改善にもなる事を実証して見せてくれているのは重要な事である。
写真は左上から右に、段ボールのリサイクル、プラスティックのリサイクル、地元収穫野菜2枚、有機栽培野菜、下段左から非養殖サケ、ソラ―パネル、風力発電所、駐車場LED照明、白く塗装された屋根と自然光取り入れのスカイライト。 |
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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04 Jan 2012 04:28:56 pm |
持続可能社会のあり方 |
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政治と文化の変革が必要
地球環境は大変な危機に直面している。世界はこれを無視することはできない。持続的発展とは全ての国の変革を意味する。この処方箋を実現する為に、ぼくたちは現実社会で資源を5倍に使う事を行わなければならない。それには富裕な国にあっては今までよりゆっくりとした生活を送る事を学んでもらいたい。
次の2つの事は世界の何処を問わず通用する事実である。
(1) 消費者は適正な価格のものを購入する。
(2) 生産者は利益を得るために生産する。
この2つは正論である。持続可能社会にあってもこれらは尊重されるべきであり、次の様に変わるべきである。
■資源の生産性をこれまでになかった程高くすることは生産者により多い利益をもたらす。
■資源を節約する製品やサービスは使い捨て型のものより消費者にとってより価値が有る。
■生活を支援するのに必要な製品やサービスで自然資源を消費するものはより高い価格となる。
従来の環境政策は持続可能社会の次元には関与してきていないが、これこそ変革されて行かなければならない。
ファクター5では政治と文化の次元にも論及している。
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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