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03 Nov 2015 09:15:37 pm |
独国民の資源への理解 |
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多くの市民の同意を得ているドイツの自然エネルギー賦課金額
2015年11月2日 自然エネルギー財団研究員 一柳絵美さん
自然エネルギー財団ホームページより
ドイツの送電事業者4社は10月15日、自然エネルギー促進のための来年の賦課金額を6.354ユーロセント(約8.6円)/kWhと発表した。2015年の賦課金額は6.170ユーロセントで前年より微減していたが、2016年の賦課金額は再び微増した ⅰ 。賦課金の影響による電気料金上昇にドイツの消費者は反対しているという報道があるが、当の消費者は、賦課金額をどう捉えているのだろうか。
賦課金額の安定化と今年の家庭用電気料金微減
今回の賦課金額発表をうけて、ドイツのエネルギー転換政策で中心的役割を果たすガブリエル連邦経済エネルギー相は、「過去数年間を振り返って分かるのは、私たちが賦課金額の安定化に加え、平均的な家庭用電気料金の微減にも成功したということだ」と述べた。実際、2014年以降の賦課金額は、急激に増減することなく1kWhあたり6ユーロセント前半で推移しており、安定している。この9月に、ドイツエネルギー水道事業連盟(BDEW)は、2015年のドイツの平均的な家庭用電気料金が、前年比で1.4%減少したことを発表している。家庭用電気料金が減少するのは、固定買取価格制度を定める『再生可能エネルギー法』(EEG)が施行された2000年以来初めてのことである。今年のドイツの月額電気料金は、年間3500kWhを消費する平均的な一般家庭では83.76ユーロ(約11,300円)。そのうちの賦課金負担分は21.5%で、月額約18ユーロ(約2,400円)となっている。
賦課金額を妥当とする市民の割合は増加傾向
ドイツの自然エネルギーについての情報発信を専門とする団体、ドイツ再生可能エネルギー・エージェンシー(AEE)は、2011年以降毎年、賦課金額に対する市民の受容性に関する世論調査を発表している。2015年9月の発表によれば、2015年の賦課金額を“妥当”と答えた人の割合は57%で、“高すぎる”と答えた31%を大きく上回った。また、“低すぎる”と回答した人も6%で、前年の調査より微増した。過去5年分の世論調査結果を分析してみると、実際の賦課金額が上昇傾向にある中でも、2012年以降、賦課金額を“妥当”とする人の割合は年々増加しながら、“高すぎる”とする人が減少していることが分かる。今年、“高すぎる”と答えた人の割合は、2012年から20%も減少した。
ただし、例外的に、2011年から2012年の調査にかけて、賦課金額を“高すぎる”とした人の割合が急増している。それを疑問に思い、AEEに直接問い合わせてみると、2012年に急激に加速したロビー団体などによる賦課金額上昇に対する強烈なネガティブキャンペーンが影響していることが分かった。中でも有名なのは、ドイツで毎年10月に行われる翌年の賦課金額発表にさきがけて、2012年の夏から行われたキャンペーンだ。これは、マスコミ、広告、イベントなどを駆使する大規模なものだった。ドイツ産業界を母体とするNGOが中心となり、大手電力会社と繋がりを持つ経済研究所が協力して展開したといわれている。
このような賦課金額上昇の議論の渦中で実施された2012年の世論調査では、質問文に「来年の賦課金は5ユーロセント程度に上がる見込みです」という文言が付け加えられている。そして、ネガティブキャンペーンの影響もあって、賦課金を“高すぎる”という回答をした市民の割合が増えたと考えられる。しかしその後、賦課金額に同意を示す市民の割合は再び回復しており、今年の調査では賦課金を妥当・低すぎると答えた人の合計が6割を超えた。
今後の賦課金額は2023年頃をピークに下がる見込み
ドイツの大手環境シンクタンク、エコ研究所の予測によれば、賦課金額は今後、主に洋上風力発電拡大のため1~2ユーロセント/kWh程度は上昇するが、2023年頃にピークを迎えた後は減少に転じ、2035年までに2~4ユーロセント/kWh程度下がる。そして、2035年には総電力消費量にしめる自然エネルギーの割合が、現状のほぼ倍の60%程度まで拡大していくという。このように、自然エネルギーの拡大を継続させながらも、賦課金が長期的には下がると予測できるのは、固定価格買い取り制度の初期段階に、まだ割高だった発電設備に対する買い取り義務期間が、2023年頃から徐々に終焉を迎えるのに加え、新規設備による自然エネルギーの発電コストが低下しているためである。
原文URL: http://jref.or.jp/column_g/column_20151102.php |
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01 Nov 2015 05:56:10 pm |
産官はまず反省せよ |
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過去の反省をせずして、新規分野に参入するなど愚の骨頂である。
ブログ管理人
原発も売れない、新幹線は中国に負ける。それではこんどは軍備でと思っていたら大間違いだ。米国、ロシア、イスラエル、ドイツなどこれまで実戦で鍛え抜かれた「血を吸った兵器」でしのぎを削る国際軍備市場に新規参入して勝ち目が有ると考える方がどうかしている。
1970年代の2度のオイルショックとニクソンショックと言う大幅な円相場の切り上げを克服する為に日本の産業は、産業構造の一大転換を図り成功した。そして、世界を魅了する数々の製品を作った。SONYのウォークマンなどは世界中のこどもたちの憧れになった。カラーTV、ビデオ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、CDなどである。しかし現今の日本産業の停滞、特に1990年以降日本の産業は世界の市場を魅了するような製品やビジネスモデルをハイブリッド車以外に提供する事ができなかった。その原因を洗い出して反省する事が先決だ。民生がだめなら軍備で、と言うのはいかにも甘すぎる。
なぜ日本の産業は良い製品を生み出せなくなったのかを考えると、原因は二つ考えられる。一つは役所の行政指導で、二つ目MBAによる企業経営で有ると思う。行政指導は経産省の企業経営への干渉である。創造力に欠けるエリート役人が机上で考えた産業政策が日本の産業をダメにしたと思う。役所の指導してきた結果が、例えば携帯電話のガラパゴス化である。役所は海外の新しい技術は、非関税障壁で国内に入れないようにして、その間に国内製品を出そうとする。日本はそこそこの規模の市場が有るので、企業は世界の荒波の中で戦う前に国内市場に特化した製品開発に走り、世界に通用しない製品を作って満足してしまう。役所が掲げる方向に向いて行われる研究開発には行政から補助金が出るので、研究者や開発者はどうしても補助金欲しさにそちらの方向に向いてしまう。これが、創造的な研究開発を阻害していると思われる。
経産省が作った外郭の巨大組織、新エネルギー・産業技術総合開発機構、通称NEDOがあるが、これこそ霞が関村の実行部隊でありとあらゆる産業分野の研究所や企業の開発部門に大学に補助金をちらつかせて、まるでがん細胞のように入り込んでいる。このNEDOこそが、日本産業の弱体化の原因であると私は思っている。NEDOから補助金を貰う為にはNEDOが推進しているものに沿った研究開発である必要がある。そしてその規模や予算額もある程度の枠が決められている。丁度じょうろで水をやるように広く薄く補助金をばらまく。研究者や開発者は、どうしても補助金の魅力には勝てず、と言うか上司も補助金が取れるものを求める為に、補助金が得やすい研究・開発テーマになってしまい独創的なものは出て来なくなる。かくして、70年代に各社から次々と出されて世界市場を魅了するような製品は出てこなくなった。
二つ目の原因は、MBA(経営学修士)による企業経営である。ハーバードビジネススクール流の経営方法は、4半期ごとの決算で株価を上げる事を命題にした株主重視の企業経営である。株価に株の総発行数を掛けた時価総額が上下することに一喜一憂する経営で、そこでは長期的な企業ビジョンは無くとにかく4半期ごとの結果重視で、長期間かけなければ結果の出ない研究開発などは重視されない企業風土ができてしまう。元GMのCEOであったボブ・ルッツ(Bob Lutz)氏が2013年に書いたCar Guys vs. Bean Counters(クルマ屋対経理マン)には、自動車会社の経営者はクルマ好きなクルマ屋(Car Guy)であるべきで、豆を一戸ずつ数える(Bean Counter)ような経理マン=経営学修士(MBA)では企業はダメになると訴えている。最近話題になっているドイツのフォルクス・ワーゲンも結局のところクルマ屋が経営をしていなかったと言うことが原因で有ったと思われる。本当のクルマ好きであれば、ごまかしソフトで検査だけは通過しようなどの考えに及ぶ訳がない。エアバッグメーカーのタカダでも同じようなことが起きていたのだろう。株価だけを追求する4半期決算をやめて、決算は1年ごと、中期計画、長期計画で持続可能性を追求している企業が評価される産業の体質に戻して行く必要がある。
本来、日本経団連などの経済団体と経済産業省は90年以降なぜ日本の産業が急速に国際競争力を失ったのかを精査し反省するところからはじめるべきところである。それを、中国・韓国との価格競争に負けた等と嘘の言い訳をして責任の所在をはっきりさせる事もせず、民生がだめなら今度は利益率の良い軍需産業だなどと言っているのは、絶対に間違っている。軍需産業市場は米国、ロシア、イスラエルなどの実戦経験豊富な兵器を作っている企業がしのぎを削る熾烈な競争が行われている市場で有る。まだ「血を吸った」ことのある兵器を作った事もない日本の産業の参入をおいそれと許すような甘い市場ではないことを知るべきである。 |
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24 Oct 2015 07:46:01 am |
死の商人への道 |
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特集ワイド:続報真相 戦争はもうかりますか?
毎日新聞 2015年10月23日 東京夕刊
日本は「戦争でもうける国」になるのか??。安全保障関連法の成立に続き、武器などの研究開発や調達、輸出をまとめて担う防衛装備庁が1日、発足した。昨年の「武器輸出三原則」撤廃と「防衛装備移転三原則(新三原則)」の閣議決定に伴い、武器輸出は「原則禁止」から「原則解禁」に大転換しており、これでアベノミクスの成長戦略に武器輸出を位置づける国の体制が組織上、整った。平和国家の根本が揺らいでいる。
◇1841件 新三原則に基づく昨年度の防衛装備輸出許可数
「防衛装備品の海外移転は国家戦略として推進すべきである」。防衛装備庁が走り出す直前の9月、日本経済団体連合会(経団連)は「防衛産業政策の実行に向けた提言」を発表した。提言は装備品の運用、教育・訓練の提供、適切な収益の確保なども重要な要素として挙げる。「防衛装備品」とは武器や兵器、それらの部品、関連する装備や技術のことだ。
軍事評論家の前田哲男さんが指摘する。「武器輸出三原則は国是とされ、対外的には憲法9条の具体例のような存在でしたが、財界にとっては目の上のたんこぶで、日本経団連になる前の経団連の時代から規制緩和や撤廃を言い続けてきた。その目標を達成したので、次のステップを目指そうというわけです」
そもそも財界は「自民党国防族、米国の軍産複合体とともに『安保ムラ』とも呼べる密接な関係を保ってきた」と前田さん。例えば「1兆円枠」ともいわれる次期支援戦闘機の選定・調達は関連装備のライセンス生産といったかたちで、日本企業に安定的な利益をもたらした。今回の武器輸出解禁、防衛装備庁の創設も、同じムラに属する「財」の要望に「政」が応えたものとも言えそうだ。
武器輸出三原則は1967年、佐藤栄作首相が▽共産圏▽国連決議で武器輸出が禁止された国▽国際紛争当事国とその恐れのある国??に対して、武器を輸出してはならないと国会答弁したのが原形で、「三原則」として定着した。76年には三木武夫首相が国際紛争などの助長を回避するため、三原則以外の対象地域でも「武器輸出は慎む」として全面禁輸に拡大した。
しかし、実際には「例外措置の積み重ねで、三原則は足もとから崩されてきた」(前田さん)。83年の中曽根康弘首相の時、次期支援戦闘機の日米共同開発計画が持ち上がると、米国への武器技術の供与は例外とする初の政策転換をし、2000年代には「弾道ミサイル防衛」分野に広がった。民主党政権でも大幅に規制が緩和され、「例外措置」は計21件に達した。
一方、安倍晋三政権が昨年4月に閣議決定した新三原則では、「平和貢献・国際協力の推進や日本の安全保障に資する」「紛争当事国への輸出は禁止」など一定の要件を満たせば武器輸出を認める。目的外使用や第三国への移転には、日本政府の事前同意を相手国に義務付けた。
だが、早くも「抜け穴」が露呈した。政府は昨年7月、米企業への地対空誘導弾「パトリオット(PAC2)」の部品(標的を追尾するセンサーの一部)輸出を承認したが、このPAC2がカタールに再輸出されるというのだ。米企業はPAC2の部品のライセンスを握っている。日本からの輸出が「ライセンス元への納入」に該当する場合、日本側の事前同意なしに第三国に移転できるという例外規定がある。
「もともと武器輸出三原則の規制を取り払おうとして新三原則ができたので、これからも例外措置の積み重ねでますますザルのように、だだ漏れしていくだろう」と前田さんは危惧する。日本で生産された部品が、知らないうちに海外の紛争地で使われる可能性は否定できない。
新三原則に基づく昨年度の防衛装備の輸出許可は1841件に上る。
◇159億円 昨年度のF35A戦闘機契約額
新三原則への見直し以後、政府は着々と武器輸出の体制づくりを進めてきた。昨年6月に防衛省は今後10年を見据えた「防衛生産・技術基盤戦略」を決定して、1970年以来の武器の国産化方針を見直し、国際的な共同開発や民生品の活用を積極的に進める方針を打ち出した。これを受け、オーストラリアと防衛装備品・技術移転協定を結び、潜水艦の関連技術の共同研究を進めることで合意したほか、フランスとは無人システム分野などでの共同開発を想定した同協定を締結▽イギリスとは空対空ミサイルの共同研究▽インドとは国産救難飛行艇の供与の協議??などが次々に決まった。
国産化方針見直しの背景について大阪大大学院の久保田ゆかり客員准教授(日米関係論)は「本来、軍事技術は自国で開発・生産するのが安全保障上は望ましい。ただ武器の調達にコストが掛かり過ぎるようになり、財政的な負担やリスクを減らせる国際共同開発が世界のすう勢になっています。多国間の枠に乗らないと軍事技術の開発に後れをとるという事情や、対中国をにらんだ友好国との関係強化や防衛産業基盤の強化という面もあります」と解説する。今年版の防衛白書によると、89年度契約の74式戦車は1台約3・9億円だが、昨年度契約の10式戦車は約10億円と約2・5倍、77年度契約のF4EJ戦闘機は1機約38億円だが、昨年度契約したF35A戦闘機は約159億円と約4倍にはね上がった。
企業の最大の狙いは、言うまでもなく「もうけ」だ。
「特に宇宙航空産業やサイバー分野では、開発費を1企業で負担するのはリスクが大きすぎるが、国の支援を受ければ先端技術の開発段階から参画できる。さらに特許を取れば自社のものとなり、多大な利益が期待できるビッグビジネスになる」と語るのは前田さんだ。「次期主力戦闘機F35については部品の生産に三菱重工などが加わっているが、開発当初から入っていないのでうまみは少ない。それでも参画したのは、さらにその次の主力戦闘機の開発で本格的に加わるための準備と言えます」
◇4020億ドル 世界トップ100社の武器などの売上高
世界トップ100社の2013年の防衛関連売上高は約4020億ドル(約48兆円、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所)に上る。そもそも日本の武器に国際競争力はあるのか。前田さんが続ける。「実戦の経験やデータがなく、いわゆる“血を吸った兵器”がない。例えば陸上自衛隊主力の10式戦車にしても、カタログ性能だけでは世界のバイヤーは信用しません。米国が期待するのはデュアルユース、日本の民生品で、軍用品にも使える技術の方です」
昨年6月、フランスで2年に1度開かれる兵器や災害対策設備などの国際展示会「ユーロサトリ」に、日本から13社が参加した。約1・5キロ先でも新聞が読めるほどの明るさで照らす災害用サーチライトや、超高感度監視カメラなど軍用品にも使える日本の民間技術が注目された。ロボットなどの無人技術や人工知能、小型化への関心も高いとされる。
「米国は、防衛産業においても対日優位を手放すつもりはない」と指摘するのは、九条科学者の会事務局長の本田浩邦独協大教授(米国経済論)だ。米国の狙いとして(1)日本に一定の利益を認めてライセンス生産や共同開発に参加させつつ、日本の強みを最大限引き出す(2)膨大になる軍需製品の開発を日本に負担させ、最新鋭の武器は米国が中心に開発して国際的軍事優位を維持(3)もはや米国企業が作らない古い製品を日本にライセンス生産させ、米国の兵器システムに組み込んで世界で売りさばく??の3点を挙げる。
「日本が輸出を推進している原発がそうであるように、米国は防衛装備品でもパテント(特許)でもうける仕組みを固めようとしている」。本田教授の分析だ。
青井未帆学習院大大学院教授(憲法学)も「米国との共同開発に参加しても、米国は国益を損なうような最先端技術を開示することはあり得ない。むしろ大きな下請けにされる危険が高い」と懸念する一方、こうも訴える。「武器を売ってもうけるというのは、武器が使われることで利益を得ることを意味し、日本の防衛産業が誇りにしてきた意味での『防衛力の一翼を担う』という考え方とは全く違う。武器輸出は、経済合理性よりも、日本が憲法9条の下で平和国家として歩んできた価値を基準に考えるべきではないでしょうか」
前田さんは「日本の企業が『死の商人』として非難される事態が起きないとも限らない」と危惧する。「海外の戦争や紛争で日本の防衛装備が使われるようになれば、企業は空前の収益を上げられるかもしれませんが、平和で安全な社会を求める国内外の人たちに対して、良い企業文化なのだと胸を張れることなのか」
日本で製造された部品が組み込まれたミサイルで人が亡くなることを、私たちはどう納得すればよいのだろうか。【石塚孝志】
原文URL: http://mainichi.jp/shimen/news/20151023dde012010003000c.html |
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22 Oct 2015 08:23:12 pm |
名古屋大学人の会 |
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去る9月25日、自由・平和・民主主義を愛し戦争法制に反対する名古屋大学人の会は、名古屋大学卒業生で現経団連会長の榊原定征さん宛てに公開書簡を送った。母校から出された公開書簡の形は非常にユニークなので紹介したい。なお、榊原氏から回答があったとは聞いていない。
公開書簡
名古屋大学修了生の榊原定征さんへ
あなたが会長を務められている日本経済団体連合会(以下、経団連と記します)は、2015年9月15日、「防衛産業政策の実行に向けた提言」を公表しました。
提言は、「防衛装備品の海外移転は国家戦略として推進すべきである」と明言し、「官民が連携・協議して、お互いの役割とリスク分担を定め、対外投資支援制度、情報保全体制、機微性の判断プロセスを構築するとともに、一定の輸出手続等の簡素化を行うべきである」と、防衛産業強化を政府に迫っています。
振り返れば昨年4月、安倍政権は、武器輸出を全面禁止としていた「武器輸出三原則」を撤廃し、「防衛装備移転三原則」を閣議決定しました。いかに言葉を変え、「武器輸出」を「防衛装備移転」と言い繕おうとも、武器や兵器、軍事関連技術の輸出を認めるこの決定は、戦後日本の平和主義に反した大きな政策転換でした。今回、経団連が求めている「防衛装備品の海外移転」もまた、要するに産業として兵器を製造・輸出しようということであり、政府に国策として軍事産業を育成・強化せよと要望しているのに他なりません。
9月15日付け提言には、「現在、国会で審議中である安全保障関連法案が成立すれば」との法案成立を前提に、「自衛隊の国際的な役割の拡大が見込まれる。自衛隊の活動を支える防衛産業の役割は一層高まり、その基盤の維持・強化には国際競争力や事業継続性等の確保の観点を含めた中長期的な展望が必要である」とあります。
政 府の「防衛装備移転三原則」では、「(ア)平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合,又は(イ)我が国の安全保障に資する場合等」、との限定が付けられていました。さらなる武器輸出推進のためには、「国際協力」「安全保障」の範囲拡大が必要です。それを可能にするのが、先の集団的自衛権の容認および安保法制の成立だったと言えます。
「戦争する国」になる以前に、どこであろうと、世界中いたるところに武器を輸出できればそれで構わない。政官産一体となった「死の商人」の育成が国策として押し進められようとしているのは明白です。
しかも「提言」には、「基礎研究の中核となる大学との連携を強化すべきである。その際、大学には、情報管理に留意しつつ、安全保障に貢献する研究開発に積極的に取組むことが求められる」との軍学共同研究の推進も明記され、防衛省はすでに本年度より、「安全保障技術研究推進制度」を開始しました。
あなたが会長に就任してまもなくの2014年9月、経団連は、「政治との連携強化に関する見解」を発表し、政治献金への関与を5年ぶりに再開する方針を正式決定しました。「政党の政策評価も実施していく」とは、まさに金の力で政策を買うことを暗に示すものです。
こうした経団連の方針が、本学修了生であるあなたのもとで実行されていくことに、わたしたちは、強い憤りを覚えます。ここに、あなたを生み出した母校構成員としての深い憂慮と、満身の怒りをもって、抗議します。
あなたは間違っている。
愛知県立半田高等学校から名古屋大学大学院までの同級生で、大学寮の部屋も隣同士の間柄だったという名古屋大学第12代総長の平野眞一さんが、2015年8月29日、「自由・平和・民主主義を愛し戦争法案に反対する名古屋大学人の会」主催の「戦争法案を考える名古屋大学人の集い」に、「永遠(とわ)の想い」と題したメッセージを寄せられました。そこには、次のようにあります。
私たちは、あの戦争に至った国の在り方を検証し、国の行く末に責任を持って活動しなければならないと思っております。何れの国も、武器によって人が殺される中では、決して真の平和が訪れることが無いことを、肝に銘じるべきだと考えております。
次の世代を担う世界中の大切な子供達に、戦争の悲しさ、残酷さを絶対に経験させてはならないと強く思うからです。
1943年生まれのあなたは、太平洋戦争により、潜水艦長であったお父様を喪い、大学時代は、アルバイトにより学費と生活費を賄い、毎晩遅くまで勉学に励んだそうですね。そのあなたが、戦争の残酷さ、悲惨さを、身をもって知るあなたが、いま、人殺しのための武器輸出の旗振り役と化している。その武器は、あどけない子どもたちの笑顔を奪い、将来の夢を思い描く若者を、殺人者へと仕立て上げるかもしれない。その若者は、かつてのあなたと同じように、経済的に恵まれず、そのために戦場へと行かざるをえなかったのかもしれない。そう、想像してみて下さい。
1987年、名古屋大学の全構成員の過半数の署名により制定した「名古屋大学平和憲章」には、「われわれは、世界の平和と人類の福祉を志向する学問研究に従い、主体的に学び、平和な社会の建設に貢献する有能な働き手となることをめざす」と謳っています。
榊原定征さん、いまからでも遅くありません。どうか、「平和な社会の建設に貢献する有能な」先輩としての姿を、後輩たち、そして平和を願う世界の人たちに、示して下さい。
2015年9月25日
「自由・平和・民主主義を愛し戦争法案に反対する名古屋大学人の会」
世話人 和田肇(名古屋大学法学研究科教授)
愛敬浩二(名古屋大学法学研究科教授)
安藤隆穂(名古屋大学名誉教授)
呼びかけ人有志一同
原文URL: http://nu-anti-war.wix.com/main#!keidanren2015b/cjd6 |
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02 Oct 2015 01:13:25 am |
異様で奇怪なもんじゅ |
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もんじゅ機器分類誤りで報告命令 原子力規制委「異様、奇っ怪」
福井新聞(2015年10月1日午前7時00分)
日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)で機器の点検内容や頻度の前提となる安全重要度分類が多数間違っていた問題で、原子力規制委員会は30日、保安検査を行っても誤りの数など全体像が把握できないとし、機構に事実関係を報告するよう、原子炉等規制法に基づく報告徴収命令を出すことを決めた。
罰則を伴う命令で、発出は大量の機器の点検漏れが発覚した2012年12月に続き2回目。この日の定例会合では事務局が、機構から誤りの報告を受けて9月3~16日の保安検査で確認したものの「集計が適正でなかっただけでなく、分類見直し作業でも誤りや担当者間の相違があった」と、全体像を把握できなかったことを説明した。
これを受け委員は「保安検査で見つかった違反に報告徴収をかけるということはあっても、中身が分からず報告徴収せざるを得ないというのは検査の歴史でも極めて異例。極めて異様で奇っ怪」(更田豊志委員)などと強く批判。
「これだけ不備が続けば、社会の他分野なら契約解除が妥当。規制委としてもどこかでけじめをつけなければならない」(伴信彦委員)、「非常に深刻な事態。大きな原子力プラントを運転管理していく資質を考えざるを得ない」(田中俊一委員長)と、厳しい意見が続出した。
もんじゅは12年の報告徴収命令後、13年5月に運転再開準備の禁止命令を受けた。その後も不備が相次ぎ、解除の見通しは立っていない。今回の命令では10月21日までに、分類が誤っていた機器の一覧や、それぞれの誤りの原因などを報告するようを求めた。報告後に臨時委員会を開き児玉敏雄・機構理事長に意見聴取する。
機構は「決定を重く受け止め期限までに報告する」とコメント。児玉理事長が敦賀に滞在して指揮を執ることとしている。
原文URL: http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowermonjuresume/80732.html |
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