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14 Dec 2011 06:40:01 pm |
カナダが京都から脱退 |
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カナダ政府は12月13日京都議定書から正式に脱退した。
現存する唯一の国際的な地球温暖化排出ガス規制の枠組みである「京都議定書」からカナダが撤退した。
南アフリカのダーバンで前日まで開かれていた国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)に出席していたカナダの環境相ピーター・ケント氏が帰国して間もなく上下両院で脱退の法案が可決された。
ケント氏によるとこの脱退によりカナダ政府は140億ドル(約1兆800億円)の国連に対する追徴金から逃れる事ができる。またケント氏は、カナダにとって「京都」は過去のものであるとし、これは正式な手続きを経た国家としての当然の権利であるとしている。また、「京都」に留まっているのはEUだけであるともコメントしている。
カナダは2005年に調印した際に2008〜2012年の間に1990年当時のGHG(地球温暖化ガス)排出量から-6%を達成すると約束している。しかし、その後増加するエネルギー消費を補う為にオイルサンドの採掘を始めた。2003年には国民一人当たりの年間GHG排出量は17.5トンであったが2008年には22トンに25%増加している。2011年現在は1990年当時から較べて30%増加しており約定の-6%に較べ36ポイントも増加しており追徴金の対象となっていた。
カナダと言うと自然が一杯の環境大国のようなイメージを持っていた人は、ぼくを含めて多いと思うが、今回の一件でカナダに対する見方がすっかり変わってしまった人も多いのでは無いだろうか。
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カテゴリー : 他メディアより |
Posted By : dantesforest |
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13 Dec 2011 05:57:28 am |
COP17ダーバン |
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あやふやな日本の態度は禍根を残した
COP17が閉会した。南アフリカで開かれていた国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議は昨日11日に閉幕した。2012年末で期限を迎える京都議定書の温室効果ガス削減義務期間を延長することを決定したほか、2020年にすべての国が参加する新枠組みを発効させることを盛り込んだ工程表を採択し、閉幕した。日本は議定書の延長期間に参加せず、新枠組みまで自主的な対策を実施する。
今回のCOP17では早々と離脱を決めたアメリカと京都議定書の継続を推進しようとするEUは京都議定書には削減義務が謳われていない発展途上国が腕を組んだ。日本はアメリカに気兼ねをしてEUには与しない態度をとった。
現在地球上に70億人の人類がいる。この内10億人が先進国(OECD諸国)であり、それに続いて中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア等の超大国を含む開発途上国の30億人が急速な発展をしている。さらに30億人が後発開発途上国と呼ばれる貧困な国々で人間が生きる事が出来る最低のレベルでの生活を強いられている。4億人の人々は1日1ドル以下の生活を強いられている。
現在のエネルギー問題は先進国が産業革命以来200年にわたって地球の資源が有限である事を考えずに開発・発展を続けた結果である。残りの60億人の人達の責任では無い事は明らかである。持続可能社会を作る時にそのことを織り込んで行く事が肝要である。
いま開発途上国ではインフラの整備の為の土木工事、ビル、住宅建設、自動車の増加がものすごい勢いで進んでいる。これらを持続可能性社会としての発展を促す必要がある。例えばセメントはポートランドセメントでは無くジオポリマーセメントを使う、建築物は高断熱構造、照明は自然光の有効利用とLED等の高効率光源の利用、等いずれもファクター5の中で実証例が示され省エネの為に投下された資本は数年から数十年で回収できる経済性も立証されている。これらの持続可能社会建設の為に有用な技術を開発途上国が利用できるように先進国は十分な援助をすべきである。
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Posted By : dantesforest |
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12 Dec 2011 06:04:45 am |
環境保護の為の経済 |
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持続可能社会推進の道具としての市場経済
1970年代に先進国は公害問題を法的規制を取り入れる事で乗り越える事ができた。しかし、エネルギー消費を抑制する様な考え方はそこには全く盛り込まれていない。
資源の有効利用やエネルギー効率アップを促進する法律は作られてはいるが間接的で、殆ど自主規制を重んじたものになっている為必ずしも効果を上げているとは言えない。
この1970年代から企業は社会貢献を企業のCSR(Corporate Social Responsibility)と呼んで企業の活動目標の一部に取り入れるようになってきた。これは消費者の厳しい目を少しでも緩和させようとする動機から出てきたものであるが、これを持続可能社会形成の為に利用できればその動機は重要では無くなる。高邁な動機から始められても成果が出なかったものは数限り無く有る。
CSRは企業の悪名を挽回するには最適の方法であるし、エネルギー効率を上げる事は社会貢献ができ、しかも企業利益の増大にも通じるので企業にとっては良い事ずくめであるところから1992年にWBCSD (World Business Council for Sustainable Development) 持続可能な開発のための世界経済人会議が設立された。
そのゴールの一つが1999年に発表された「自然資本主義(Natural Capitalism)」であるが、それから10年経った今日、我々は今なお同じ事を叫び続けている。
GDP至上主義は少しずつ陰りを見せて来てはいるが、先進国の中にはいまだに更なる消費の拡大をしようと別の化石燃料を探索しようとしている国もある。企業によるCSRでは今必要な変化量には程遠い。
Natural Capitalism の和訳本がamazon.co.jp等で購入できます。
自然資本の経済―「成長の限界」を突破する新産業革命
原書名:NATURAL CAPITALISM; Creating The Next Industrial Revolution (Hawken,Paul;Lovins,Amory B.;Lovins,L.Hunter)
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Posted By : dantesforest |
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11 Dec 2011 06:08:30 am |
セメント産業(3) |
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セメント・ルネッサンス
セメント製造プロセスで最も電気エネルギーを消費するのはグラインディング(粉砕)工程である。平均的に1トンのセメントを製造するのに100kW時の電力を必要とする。最先端の技術を使った設備でも80kW時が必要である。コーヒー豆を挽くのと同じ技術である粉砕工程は非常にエネルギー変換効率が悪く5〜10%でしかなく、この方法の抜本的な改良は今後も見込めない。
このようにポートランド・セメントはエネルギーの塊であると言える。200年間建築材料として使われてきたポートランドセメントには退場戴くしかない。もともと人類はジオポリマーセメントと言う優れた技術を持っていた。4000年前の古代エジプト人はピラミッドを、2000年前の古代ローマ人はコロッセオをジオポリマーセメントで作った。その技術が優秀であった事は現在もこれらの建築物が存在し続けている事で証明済みである。古代人達は現代人のように大量エネルギー消費はしなかったので当然ジオポリマーセメントを製造するにもエネルギーは使っていない。ただ、製造にも凝固にも時間は余計に掛る。
現存するポートランドセメントの製造設備をレトロフィット(改造)してジオポリマーセメント製造を行う事ができる。キルンはポートランドセメントでは1400℃であったのが700℃に下げる事ができる。また石炭を粉塵にして燃焼している石炭火力発電所から出るフライアッシュと呼ばれる石炭粉塵の燃えカスを使う事でグラインディング工程の省エネも可能で全体で80%の省エネが可能となる。
2030年までに全てのセメント工場がジオポリマーセメントに置き換わったとすると、セメントを世界で50億トン生産してもCO2排出量は7億トンのとなり、2005年の18億トンの60%減となる。セメント・ルネッサンスだ。
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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10 Dec 2011 11:44:59 pm |
セメント産業(2) |
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大量のエネルギーを使うセメント製造
重工業のエネルギー消費の大口は製鉄とセメントであるが、セメント製造はGHG(地球温暖化ガス)全体の8%を排出している。そして生産量は今後も増え続け2005年に25億トン製造し18億トンのCO2を排出したが、2030年には50億トンの生産量となり36億トンのCO2の排出源となる予定であることは9月7日にも述べた。
現在セメントと言えばポートランド・セメントを指すが、この製造工程にはキルン(回転焼結窯)がある。200年前に発明された当時は乾式キルンであったが、品質管理を容易にする方法として湿式キルンが開発された。しかしこの方法は乾式に較べ35%ものエネルギーを余計に必要とする。
前工程のグラインド(粉砕)工程を改良する事で粒子の均一化が可能となり乾式キルンでも品質管理が可能となる。エネルギー価格の高騰に対処する為にセメント産業は工程改良を行い湿式から乾式に移行している。最大のセメント生産・消費国である中国では現在のところまだ湿式が中心である。
2004年には世界の63%が乾式キルンに移行を終えた事により1990年には5.4GJ/tonであったエネルギー消費が2004年には4.5GJ/tonとなった。2010年には80%が乾式に移行し、2030年には95%は乾式キルンとなり中国では100%が乾式となると推測されている。
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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