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19 Dec 2011 02:47:12 pm |
ファクター5戦略(1) |
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システム設計者の担う責任
持続可能社会の建設はシステムデザインが大変重要となる。
システムデザイン全体の中で省エネ、エコ対策の設計費用はそのプロジェクトが始められる段階においては項目として上げられ予算配分もされるが、実際に目的のものが出来上がるころにはその80〜90%はもはや判別のつかない形でプロジェクト全体の中に埋もれてしまっているのが現状である。
その上、インフラ、建築物、乗り物、工業製品や家電製品のデザインサイクルは10年以上の長い間変化しない。つまり、日進月歩で開発されている省エネの為の技術や新材料は取り入れられるのは次のデザインサイクルを待つ事になる。
今日、我々の持続可能社会への取り組みはシステム設計者の考え方に委ねられていると言っても過言ではない。
我々はこの現状を打開する方法を開発しなければならない。その為には情報の集積と提供、分野別研究をまとめる枠組みが必要となる。国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は第4次報告で次の8つの分野の戦略に分けている。
1. エネルギー効率の改善
2. 燃料の転換
3. 排温、排エネルギーの回収と利用
4. 再生可能エネルギー
5. 資源材料の転換
6. 製品そのものの転換
7. 資源材料使用効率の改善
8. CO2以外の地球温暖化ガスの排出削減
ファクター5では各セクター毎にこれらの項目についての議論がなされており当ブログでも取り上げている。
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Posted By : dantesforest |
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18 Dec 2011 03:21:51 pm |
持続可能性社会への道 |
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私たちの奇跡の地球には時間が無い。
持続可能性社会へのテクノロジー開発の実態はと言うと設計の専門家達は、世界で開発されている個別の新しい技術を統合する持続可能システム技術の開発を始めたばかりである。全体システムデザインとしては効率アップの為の方法の開発の初期の段階にある。
しかし、これが標準化されるまでにはフィールドテストと呼ばれる実証実験を経なければならずこれが大きな問題となる。我々の奇跡の地球はそれを待つほどの時間の余裕が無いのである。トライアンドエラーを繰り返し、データを取り、解析をして、論文が作られ、学会で議論をつくし、論文が出版され、標準化委員会に掛けられそこで議論された後に初めて工業標準となる。このプロセスは最低でも10年がかかる。
今、我々が必要としているのは世界の隅々で実践されている有効な省エネの知識を集約して大幅な効率アップ方法をこの10年間に見つけ出し実行する事である。
材料工学のイノベーション、断熱、照明、スーパーウインドウ、インテリジェント電気分配等は全体設計に根本的な設計基準を必要とする。材料工学の開発速度は早く6カ月は「長期」と考えられている。システム設計はとてもそれに追いつけない。
例えば、冷蔵庫の効率は熱伝導によるエネルギーロスが最も大きい。最近欧州で開発された断熱材を使えば一気に50%の省エネができると実証されている。他の例では、新開発の繊維材料を使う事で自動車、航空機、列車、船舶などあらゆる交通機関を画期的に軽量化できる事が分かっているが、その為にはこれらの設計基準を新たにする必要がある。
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Posted By : dantesforest |
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17 Dec 2011 06:04:58 pm |
製鉄所(3) |
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まだまだ効率アップが可能な分野
GHG(地球温暖化ガス)の8%は鉄鋼生産から排出されている。
2007年の世界鉄鋼生産量は1300Mt(メガトン=100万トン)であったが、そのほとんどは少数の主要生産国で生産されている。
製造方法はどの国でも殆ど変わらない為に国間での比較は容易である。鉄鋼生産は2005年から2007年の間に8.3%増加している。競争が激しいこの業界では製造コストは可能な限り下げられているが、その生産効率は国によってかなりのばらつきが有る。
1995年におけるドイツは18GJ/t(ギガジュール/トン)であるが、同じ年の中国では37GJ/tであった。主要生産国の比較は添付の表をご覧いただきたい。
世界で最も生産効率の良い鉄鋼メーカーは米国のNucor社で12GJ/t(2006)であったが、全米の平均は23GJ/tに留まっている。この分野での省エネは最新の電気炉を使いスクラップからのリサイクルを行う事で最大93%の省エネが達成できる。
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16 Dec 2011 11:51:41 pm |
材料のリサイクル |
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リサイクルによる省エネ
材料のリサイクルによる省資源は原材料から製品を製造する場合とスクラップから製品を作る場合の製造に掛るエネルギー量を比較して考える。
アルミニウム97%、銅70〜85%、鉛60〜80%、マグネシウム95%、紙64%、プラスティック80〜88%、ガラス68%の省エネが可能である。
原材料の採掘と運送に必要なエネルギー量とリサイクルした場合のエネルギー量の差である。例えばボーキサイト(アルミノ原料)からアルミを取り出すには900℃で有るがリサイクルの場合660Cしか必要ない。市中から出されるゴミの中からアルミ缶をより分けるのは容易である。現在世界のアルミの30%はリサイクルからで2025年には40%を超えると予測されている。
理論的には全ての金属は無限にリサイクルができるが、紙のように3〜4回しかリサイクルができないものもある。国に依っても取り組みの度合いは異なり、例えばガラスのリサイクルはドイツとフィンランドでは80〜90%であるが、アメリカは30%以下となっている。
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15 Dec 2011 05:55:25 am |
カナダのオイルサンド |
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GHGの排出を増やす悪質化石燃料
カナダ政府が12月13日に「京都議定書」から脱退した理由はオイルサンドにある。
カナダ、アルバータ州のマサバスカ川の流域にオイルサンドの露天掘りサイトがある。黒くネバネバした原油と砂の混ざり合ったちょうどアスファルトのような物体が森林の下に層をなして埋まっている。それがオイルサンドだ。
以前は採掘コストが高いと誰も興味を示さなかったが、原油価格が高騰し2020年までには1バレル(160リットル)140ドルにもなると予測されるようになると俄かに商品価値が出てきた。
現在、日量75万バレルを生産、パイプラインで州都エドモントンや遠く米国の石油精製施設に送られている。オイルサンドから1バレルのビチューメンと呼ばれる中間製品を得るためにはまず森林を伐採し表土を2トン取り除きその下にあるオイルサンド2トンを掘り出してそれに3〜4バレルの80℃の熱湯をかけて油を砂からはがす。つまり160リットルの中間製品を得る為に4トンの土と砂を移動させ、数百リットルの熱湯を必要とする。つまり30倍のエコリュックサックを背負っている。これらに30ドルの費用が掛っており、これはアラビアで原油採掘に掛る費用の10倍の費用である。そしてCO2の排出は3倍以上である。しかしエコノミスト達は加えたエネルギーの5倍のエネルギーを取り出せるので採算が成り立つと言う。
カナダ政府はオイルサンド開発に2008年だけで1兆8000億円をかけ、過去10年間で4兆5000億を投資した。その甲斐あってこのオイルサンドを原油に置き換えるとカナダは今や世界第二の原油産出国となった。
この既得権益を手放す事はできないのでカナダ政府は京都議定書からの離脱を選んだ。
原油が値上がりすると再生可能エネルギーの開発が進むべきであるが、少しでもコストの安いサンドオイル、石炭液化、メタンハイドレート等の地下資源に目が向いてしまうのは何故だろうか?
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