炭素排出量の急速な削減に向かう世界
OurWorld 2.0スティーブン・ リーヒーの記事より、
「経済システムが私たちの役には立っていないことは、火を見るよりも明らかです」と、経済学者のティム・ジャクソン氏は語った。彼は英国のサリー大学で持続可能な開発の教授を務めている。
今回の報告書の執筆者で、『 成長なき繁栄』の著者であるジャクソン氏はIPSに、気候変動、汚染、生態系の破壊、記録的な種の絶滅、持続不可能な資源の利用はすべて、機能不全に陥った経済システムの明らかな症状だと語った。
「現在の経済システムは、本来あるべき経済の偽物です。社会の幸福を創出することは全くできず、世界中の人々や社会を傷つけてしまったのです」と彼は語った。
『 The Emissions Gap Report 2013(温室効果ガス排出ギャップ報告書 2013)』によれば、世界の気温上昇を2℃未満に抑えるためには、排出量を2020年までにピークから減少させなければならない。この報告書には17カ国の44科学団体が参加し、国連環境計画(UNEP)が調整役を担った。
コペンハーゲン合意に基づく気候に関する現在の誓約を各国が順守したとしても、2020年のCO2排出量は、妥当なコストで気温上昇を2℃未満に保つために必要な排出量より80億〜120億トン多くなる可能性が高い。
化石燃料の燃焼によって生じる二酸化炭素(CO2)は今のところ、世界の平均気温をわずか0.85℃上昇させるにとどまっているが、この上昇でさえ、さまざまな影響を及ぼしている。<中略>
ジャクソン氏や多くの生態経済学者は、現在の自己破滅的な経済を、共有的で永続的な繁栄をもたらす経済に転換しなければならないと語る。この種のグリーン経済は、クリーン技術を導入した、従来の経済を大きく超えるものである。それはジャクソン氏が「目的適合型の経済」と呼ぶものであり、安定的で、公正性に基づき、まっとうで満足できる暮らしを提供する一方で、地球への負荷が軽い経済である。
「繁栄とは、より多くのものを手に入れることではありません。繁栄とは、限りある地球上で健やかに暮らす技術です」とティム・ジャクソン氏は語った。
ジャクソン氏は、成長を崇拝する現在の消費経済は「屈折して」おり、人間の特性や本来の欲求とは調和しないと語る。
現在の経済には強力な既得権益が存在するため、こうした転換を実現することは難しい。しかしコミュニティのレベルでは、すでに実現し始めている。ジャクソン氏と、共同執筆者でカナダのヨーク大学のピーター・ヴィクター氏は新たな報告書『 Green Economy at Community Scale (コミュニティ規模でのグリーン経済)』の中で、こうした状況を詳しく記している。
ジャクソン氏らは、地域社会を強化するコミュニティ銀行、信用組合、共同的投資スキームに転換的なグリーン経済のルーツを見いだしている。多くの人々にとって役に立たず、環境的危機を生み出した経済への反応が、 トランジション・タウン運動 、地域通貨、コミュニティ経営によるエネルギー計画、世界的な エコシティ運動 なのだと、ヴィクター氏はプレスリリースに記した。
「成功の指標としてGDPを用いることは、ペダルをこぐ速さだけに注目しながら自転車に乗るようなものです」とジャクソン氏は言う。「あまりにも多くの点で間違えています」
原文URL: http://ourworld.unu.edu/jp/world-headed-for-a-high-speed-carbon-crash/
GDPの増加しか頭に無い安倍政権の連中には他の世界の話しにしか聞こえないだろう。 |