新幹線は世界に誇れる環境に優しい乗り物である
ブログ管理人
関西へ友人の仕事の手伝いで行ってきて、昨日は京都嵐山の紅葉観光もして来た。往復は新幹線であった。新幹線車内前方ドア情報にLED電光パネルが有り、そこには走行情報、ニュース、企業広告などが絶え間なく流されている。この企業広告を良く見ていると、決して何でも有りと言うわけではなさそうである。ほとんどは省エネ関連テーマにした企業広告となっている。素材技術、再生可能エネルギー、リサイクルなどを前面に出した広告である。
当然、JR東海のCMも流れるが、その中に「JR東海は環境に優しい新幹線を使ったグリーンな出張をお手伝いしています」と、言うような意味の広告があった。実際、新幹線の乗客は8割方がビジネス客であり、自動車や飛行機に較べて一人当たりのエネルギー消費量は格段に小さく、環境に優しい乗り物である。新幹線で東京から大阪まで一人の乗客を運ぶのには90MJ(メガジュール)のエネルギーが使われ、4.2kgのCO2が排出される。飛行機を使用した場合、国内線に投入されている航空機で最もエネルギー効率の良いボーイング777では730MJでCO2は49kgである。
現在、東海道新幹線は、のぞみ、ひかり、こだま合計で1日最大184本運行している。これは5.4分に一本の割合である。新幹線は16両編成で1編成に1323名が乗れる。新幹線の平均乗車率は58%で、これは公共交通機関としては、採算性が有り、顧客はまず希望の電車に乗る事ができる理想的な乗車率と言える。
新幹線は、長年にわたって省エネの努力を重ねて現在の700系で現在の省エネ性能に到達した。
だから、JR東海は胸を張って環境に優しい新幹線と宣伝する事ができる。矛盾しているのは、リニア新幹線計画である。リニア新幹線では現在東京―大阪間は2時間半であるものが、1時間半になると言うが、一人当たりのエネルギー消費は5倍と言われているので450MJとなりCO2は30kg排出するようになる。
その上、これから人口が減少して行く日本では、乗客数は減少すると考えるのが普通であろう。実際、新幹線の乗車率は2005年以来横ばいである。
東京―大阪間をどうしてももっと早く移動したいと言う需用がそんなに有るとは思えないし、路線の95%がトンネルの中と言う景色は全く楽しむ事ができなくただ早いだけの乗り物に乗りたい人がいるのだろうか?
JR東海は、リニア新幹線が開通した後は、現在の新幹線の運転量を減らして「不便」にする事で乗客をリニア新幹線に誘導するつもりだと言うが、これは顧客不在の考え方でありマーケッティング的にも間違っており、巨額の建設費投資を回収できず破綻となる可能性が高い。
経団連の米倉会長は、自分が生きている内に乗れたらこんな幸せな事は無いと早期完成を望んでいると言っているが、米倉氏が乗ろうがそんなことには興味が無いが、経団連は巨大な建設費が魅力なだけである。
折角、世界に誇れる環境に優しい新幹線を作ってきた新幹線の開発陣には忸怩たる思いの人も多い事と思う。JR東海は、本当に営利企業としてリニア新幹線のフィージビリティー・スタディー(事業化計画)を行った上での決定なのか訝しい。アベノミクスとやらのまやかしに乗せられているのではないだろうか。 |