空気抵抗をいかに減らすか
交通は地球全体のエネルギー消費の22%を占め、その内16.2%を大型トラックが占めている。私は今アメリカ、テネシー州に出張に来ている。毎日ホテルから仕事先間を車でインターステートを片道30kmほど走っているが、こちらの大型トレーラーがフルサイズのコンテナを2本連結して驀進する様子は迫力万点である。自分の車のすぐ後ろにあのデカイのが迫ってくるとスティーブン・スピルバーグの「激突」を思い出してしまう。
大型トラックの省エネは何と言っても空気力学の世界である。長方形のコンテナーを引っぱるトレーラーは見るからに空力が悪そうである。空力に依るエネルギー損失はトラックの走行速度に対し2乗で増加する。この係数は時速80kmを越えると顕著になる。インターステートの制限速度は70mph = 114km/hであるので、空力の解決は極めて重要である。
トラックメーカーの努力により現在は1970年に較べて約40%の改善がなされている。まずトレーラー部の空力デザインにより改善の87%が達成されている。フルルーフデフレクターにより5〜10%、シャーシーデザインで1〜3%、角を丸めて空気抵抗を減らすことで2%、フロントガラスの角度改善あるいはカーブガラスの採用で1〜7%、スカート、ラジエータの形状で1〜4%、排気ダクト形状、ドアヒンジ、ドアノブ、サイドミラーで1〜2%、サイドミラーをTVカメラに置き換えると3〜4%の空力改善が可能である。トレーラとコンテナーの間をふさぐサイドパネルやコンテナの後部、天井に取り付ける事で空力を改善するパーツもある。
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