円安で高くなった燃料代を理由に石炭を復活しようとする安倍政権
それに大賛成の拍手を送るマスメディア
昨日(2013年4月22日)付けの新聞各社は、政府が石炭火力の輸出と国内での新設と増設推進をすると一斉に取り上げている。日本のマスメディアは日本政府のプロパガンダ担当宜しく、経産省の発表のママを全く批判のコメントも無く、もろ手を上げて大賛成と言う様子の報道である。
産経などは4月3日に茂木経産相が横浜Jパワーを訪れた際に「日本の技術は本当にすごい」と言ったとわざわざ付け加えている。その記事では、Jパワー磯子の発電効率が従来の石炭火力に較べてCO2排出量を2割抑えていると書いているが、従来とは何を指しているのか不明である。Jパワーの新石炭火力の効率は45%で、最近の石炭火力としては標準的で、特に「すごい」事は何もない。恐らく磯子の旧発電機(1967年製)の効率は38%であったので、それに較べ2割効率が上がったと言っているのだろう。茂木氏の見識の無さに驚かされる。
同じ、化石燃料でも天然ガスであればCO2排出は50%少ない。311以降、原発が使えなくなった電力各社は、CO2排出基準値を考慮して天然ガスにシフトした。1kWhの電力を作るのに必要な化石燃料の価格は、石油16円、天然ガス13円、石炭5円である。震災後で日本のエネルギー事情は異常事態であるので、CO2の発生は止むを得ないと、2012年12月に京都議定書第二約束期間から脱退したのは、CO2排出上限値の枠から外れ、石炭火力へのシフトの思惑からであったようである。
安倍政権の円安誘導政策の為に、輸入する化石燃料価格が20%以上も上がってしまっている事を報道各社は指摘していない。円安で大儲けしている輸出依存の大企業に対する大口電力料金に、化石燃料サーチャージを加算する位の特例措置をすれば、一般国民の電気料金を値上げする必要は無い。為替差益は企業にだけ与え、為替差損は国民負担と言う現在のやり方はおかしい。ましてやそのつけを環境負荷に回すとは、言語道断である。
第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、産経の記事の中で「LNGの10%を石炭に置き換えれば3年後のGDPが1.6兆円拡大する。石炭は主力電源になりうる。」と環境負荷の事は全くそっちのけの非常識な発言をしているが、日本のエコノミストはこの程度のものである。
さらに、石炭火力はインド、インドネシア等に輸出ができる優良商材だとしており、安倍政権もそれを推進すると言う。官民挙げて地球温暖化推進を世界に向けて行うのである。経産省主導で失敗した半導体産業と原発の2大赤字部門を抱える、東芝、日立、三菱電機は、もう石炭火力しか無いので安倍政権も経団連も躍起なのであろう。
石炭火力推進に反対するサイトが有るので紹介しておく。このサイトでは反対の署名もできる。URL:
http://sekitan.jp/
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