オゾンホール:北極圏で最大 破壊規模、南極に匹敵
北極圏の上空で3〜4月、観測史上最大のオゾン破壊が発生し、初めて南極のオゾンホールに匹敵する規模に進行したことが分かった。国立環境研究所(茨城県つくば市)を含む9カ国の国際研究チームが解析した。3日、英科学誌ネイチャー電子版に掲載される。
国環研によると、3月末には、北極圏上空18〜20キロの成層圏にある空気の塊で、通常のオゾン量の80%が破壊された。範囲は長軸約3000キロ、短軸約1000キロの楕円(だえん)形。スカンジナビア半島などを覆った。今年は北極圏上空の成層圏に、過去30年間で最強の低気圧性の渦「極渦(きょくうず)」が発生。氷点下80度以下の低温状態が長期にわたり続いたことが原因という。国環研は極渦の強さについて「温室効果ガスの影響も考えられる」と話す。極渦は4月後半に崩壊。ちぎれたオゾン濃度が低い空気の塊は、日本の上空にも到達した。
オゾンはフロンなどに含まれる活性塩素によって破壊される。【安味伸一】
毎日新聞 2011年10月3日 2時00分(最終更新 10月3日 2時06分) |