ニコラス・スターン卿の報告
21世紀の根本的な問題は一言に言って「成長」の管理である。ここで、英国の経済学者ニコラス・スターン( Nicholas Herbert Stern )の2006年の報告( The Economics of Climate Change )の概要を紹介しておく。
●地球温暖化のリスク: 地球温暖化は非常に深刻かつ全地球規模でのリスクであり、世界規模での緊急の対策を要する。気候変動を無視すれば、経済発展が著しく阻害されるリスクがある。このリスクは、二度の世界大戦や20世紀の世界恐慌に匹敵する。 2 - 3℃の温暖化の場合、世界のGDPの0 - 3%に相当する損失が発生する。
●緩和策の効果: 気候変動に対する早期かつ強力な対策により得られる利益は、そのコストを凌駕するとした上で、つぎのように指摘している。
現在行う対策の効果が現れるまでには長い時間がかかる。しかし今後10 - 20年間に対策は、今世紀の後半とそれ以降の時代に決定的な影響を及ぼす。影響を予測するのは難しいが、現時点で支払われるコストは、将来非常に重大な結果を引き起こすリスクを回避するための投資と見なされるべきである。賢く投資すればこのコストは支出可能な額になり、その過程には成長と発展の幅広い可能性が存在するであろう。
●対策しない場合の被害予測: 今世紀半ばには、嵐や洪水、旱魃、熱波などの極端な気象現象によるものだけで被害額がGDPの0.5 - 1%に達し、温暖化が続けばなおも増加する。 5 - 6℃の温暖化が発生した場合、世界がGDPの約20%に相当する損失を被るリスクがある。
Source: wikipedia.org
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