生物から学ぶ環境工学
生物には種族保存の原理が働く為にありとあらゆる手段で究極のエネルギーの効率化を追求している。数万世代にもわたり改善されてきた成功例のみが現在も地球上に存続している種族である。
この生物の持つ特徴を模倣するのがバイオミミクリ―である。有名な例ではハスの葉の表面には水滴が着かない事を模倣した撥水塗料が有る。
この分野ではカリフォルニア大学バークレー校が先陣を切っており、タマムシが50kmも離れた熱波を感知することを研究し超高感度赤外線センサーの開発を行っている。また、あたかも重力など存在しないかの様に自由に空間を動き回るヤモリの皮膚を模倣したマイクロファイバーを開発している。この繊維を使うとほぼ垂直に立てられた壁に品物を滑ることなく置く事ができる。Biopower Systems社は海藻やマグロの動きを模倣した波力発電システムを開発した。ジンバブエのハラレ市に完成したイーストショッピングセンターは蟻塚のエアコンシステムを模倣する事で90%の省エネ、ファクター10を実現している。この他ナミブ砂漠に住む甲虫が水を集める方法を模倣して高効率の水ポンプを開発しようとの研究も有る。
生物は幾万年にもわたり究極の省エネルギーでこのかけがいの無い地球を守ろうとしてきた、それを生物の一種族である人類はわずか200年間で資源を貪りつくし、環境を汚染しほうだいにしてきた。持続可能社会の建設は人類に課せられた緊急課題である。
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