実行しないための理由
現状を変えたくない時、政治は常に弱者にしわよせが行く事を理由にして改革をおくらせようとする。環境税を導入しようとすると、一人暮らしの年金生活の老人が暖房を使っても税金を払わなければならないのかと言う議論になる。もちろん最低の生活を行うのに必要なエネルギーには課税をせず、ある一定量を超えた分から累進的に課税するようなシステムする必要があるなど、細かく現状を分析して課税の方法を検討する必要がある。
市場経済と投資家達は環境問題を経済抑制要因と見る傾向がある。アメリカで行われた市場調査によると環境問題解決をすると自分の職場を奪われると思うかとの問いに33%の人が「そう思う」と答えたとある。しかし現実には年間100万人が失業するアメリカにあって環境問題解決の為に職場を失う人の数はおそらく3000人にも満たない。それどころか英国の楽観的な予想に依れば環境税の導入により、220万の新しい職場が創設されるとしている。いずれにしても、このような経済界の予想は注意深く受け止める必要がある。
ファクター5で述べられている多岐にわたる提案は全てエネルギー効率を上げる事にある。つまり生産性を上げることになる。図は1970年を1として1960年から1995年までのアメリカに於ける生産性と平均賃金の変化の関連を表したものである。いかに両者が精密に同じ割合で変化をしてきたかを示している。生産性が上がると収入も増えると言う例である。
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