第三回国連環境総会(UNEA3)に参加して
筆者が地球温暖化問題に真剣に取り組むようになったのは2010年3月にドイツの環境学者、エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ヴァイツゼッカー教授と出会い、彼の著作「ファクター5」を4人の仲間と一緒に翻訳する事になったところからであることはこのブログの読者ならとっくにご存知のことである。この本を翻訳したお蔭をもって現在は環境未来研究会、日本ペンクラブ、国連環境計画日本協会と言う三つの一般社団法人でボランティアの役員を務めさせて戴き、時々講演などをさせていただいている。
国連環境総会と言う国連加盟193ヵ国が全て参加して地球環境の問題を討議する会議に出席してきたので、そこに至るまでの手続き、道中、会場、ホテル、会議の様子そしてホスト国ケニアとナイロビ市のことなどを書こうと思う。
国連環境計画(UN Environment)の活動を日本国内で啓蒙し広めて行くことを目的に国連環境計画日本協会は2014年に設立された。これまでに国連環境計画フォーラムを2015年に第一回、2016年に第二回を東京青山の国連大学の大ホールで行った。第三回は2018年3月に開催予定である。その他、この会の顧問で元国連環境計画情報局長の平石尹彦さんによる連続勉強会は既に通算13回開催しており、述べ参加者数は優に200人を上回っている。ここでは、環境問題の基礎、歴史、国際機関の枠組み、国連環境計画の仕組みや活動について、氏の豊富な経験談を交えた生の話を聞く事ができる。又、年2〜3回発行する国連環境計画の広報誌Our Planetの日本語版発行などを行っている。筆者はこの協会の国際協力委員会と言う委員会の担当理事をさせて戴いている。
https://j-unep.jp
第三回国連環境総会(UNEA3)は、加盟国193ヵ国のうち今回は160ヵ国の政府代表、関連国連機関、NGO、企業その他のステークホルダーの4600人が参加して国連環境計画本部があるケニア・ナイロビで開催された。今回筆者は初めての参加であるが、目についたのは中国からの参加者の多さだった。政府高官と思しきグループ、企業のグループなどはたいてい10人ほどのグループで動いているため特に目につくが、個人での参加者も多かった。特に学生さんを数多く見受けたが、政府の援助が有って参加していたのであろうか、筆者の目分量では少なく見ても500人は下らなかったと思う。その次に目についたのは、意外に多かった米国からの参加者である。NGO、企業、研究所、学校など幅広く多くの参加者が来ており、会場のあちこちでディスカッションをしている姿が目に付き、こちらも100人位は来ていたと思われる。トランプ政権の動向をよそに熱心に問題と取り組んでいる様子が見て取れ大変に心強い思いをすることができ、やはり米国では民主主義の成熟度が進んでいると感じた。それに引き換え不甲斐ないのは日本である。日本からの参加は外務省から3名、環境省から2名、学生さん2名、それにNGOから我々2名の合計9名の参加しか無かったことである。
UNEA3では本会議の他にサイドイベントが数多く同時並行で開催されている。その中に「サステイナブル・イノベーションEXPO」と言うのがある。この会場となる大型テントには、世界から環境関連の41の企業やNGOなどが展示をしていたが、デンマーク政府とデンマーク企業がスポンサーをしている為に出展料は全て無料である。ここでも中国企業は多く出展しており、アフリカ企業への技術・資本参加も目についた。その他は欧州企業やNGOの展示もあった。ここでも残念なのは日本企業の影もNGOの姿も見えないことである。
本会議で、日本政府として環境省から高橋地球環境審議官が声明を発表したが、その中で「日本は公害問題を克服した経験がある。それを生かして国際社会に貢献して行く。」とあったが、その声明とは裏腹に日本の姿は今回のUNEAを通してはみる事ができなかった。世界の有力メディアは殆ど目にしたが、日本メディアはついに見かける事は無かった。国内におけるUNEA3の報道も見かける事は無かったと聞いている。
次回は、ホテルとナイロビの様子を書きたい。 |