自殺的とも言える開発を止めるのは国際社会の共同責任
ハリケーンの巨大化と気候変動の関係は明らかーー国連事務総長
2017年10月9日St. John’s発dpa(Der Farangより)
ハリケーン“イルマ”はカリブ海に破壊の帯をもたらした。国連事務総長は小アンティル諸島の被害状況を検分して国際社会の責任について触れた。
10月9日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、カリブ海のハリケーン地域における荒廃を見るにつけ、気候変動に対する更なる戦いを次のように国際社会に対して求めた。
「気候変動とこの被害の関係性は明らかなものである。この自殺的ともいえる開発を止めるのは、国際社会の共同責任である。パリ議定書が尊重される事が大変に重要である。しかし、パリ協定で決められた義務は決して十分なものでは無いことを銘記したい。」とし、最後に事務総長は米国のパリ協定離脱にも言及した。
ハリケーン“イルマ”の通過した一か月後事務総長は被害の大きいアンティグア、バーブーダとドミニカを視察した。バーブーダを一巡した事務総長は「私はこの様な規模の大災害を見た経験が無い。私はこれまで紛争地域にも行ったし、自国の大地震も経験しており、数々の大嵐も見て来た。しかし、このバーブーダのようなクラスの災害を目の当たりにした事は無かった。」
9月初めハリケーン“イルマ”はカリブ海に破壊の帯を残した。このハリケーンは最大級のカテゴリー5(風速70m以上)となり家屋倒壊、道路の水没、田畑の壊滅をもたらしバーブーダ島は全滅、住民は近隣の島に避難している。国連の試算によるとカリブ諸島の再建には1島あたり1000億ドル(約1.1兆円)が必要であるとしている。
グテーレス事務総長は国際社会がこのカリブ海のハリケーン被害に対し十分な援助をしていないと指摘し「残念なことに全てに渡り対応が悪い。来週、十分な援助ができるように呼び掛けたい。」と語った。
アンティグアでは事務総長は避難所を訪れた。ここには近隣のバーブーダの住民も避難している。避難所長のサマンサ・ブルネットさんは「バーブーダの方々は口々に、バーブーダにはもう何もない。戻る所も無いと言っている。彼らは再建の見通しが立った後で無いと帰れない。」と語っている。
グレーテス事務総長は富裕国に対し更なる援助への取り組みと再建への革新的な金融メカニズムの構築を訴えている。国際社会の援助なしにはアンティグア・バーブーダなどの小国には自立再建は不可能であるからであるとし。「これは国際社会の義務である。彼らは気候変動の結果として大被害を被っているがその原因国ではないからだ。」と語った。 |