誰でも見かけた事がある米国製の電化製品に着けられているエネルギースター
Energy Starマークは省エネを示すものだが、これがトランプ政権のやり玉に挙げられ、消えることになりそうである。(2017年5月4日のエール360に投稿されたマーク・ガンサー氏の記事から)
今から25年前の1992年、アメリカ製品と言うと何でもエネルギーをバカ食いするものとばかり思っていたところに、時のジョージ H. W. ブッシュ政権のもとで環境保護局(EPA)の肝いりでアメリカ産業界に導入された。青地に白色でEnergy Starと書かれたシールは、省エネルギーブームであった日本では、やっとアメリカも重い腰を上げたかと受け止めたものであった。現在、全米1万6千社がこのプログラムに名を連ね、省エネデザインと認定された製品にはエネルギースター・シールを貼って販売することができる。消費者は、このシールが貼られた製品を購入する事で電気代が節約できることになり、省エネされた分だけ電力消費が減り電気を作るためのCO2発生量が少なくなり、地球環境保護に役立つと言うプログラムであり、日本の環境省もEPAの呼びかけに応じて1995年から参加している。
EPAはこのプログラムの為に年間67億円(ドル122円として)の予算を使っているが、EPAによると31%の省エネが達成され、年間980億円のエネルギー代金が節約されているとしている。このプログラムはあくまでも自主規制であって法的規制では無く、各企業は自主的に参加している。企業にとっては、この青いシールを貼る事で自社製品を差別化することができ、自社が社会貢献をしていることを示すと同時に、新たな顧客層の獲得を狙うことができる。導入から25年経ってすっかり定着したプログラムである。
トランプ陣営が選挙戦でEPAがやっていることは国民から職場を奪っているとし、地球温暖化など糞くらえだとEPAを無くすとまで言い支持者の声援を得ている。エネルギースターのシールが貼られた高い製品を買う事ができるのは、富裕層であり、彼らが安い電気代で済ますことでそのしわ寄せはエネルギー効率の悪い安い製品や、古い製品を使っている貧困層に回っているとするのが、彼らの論理である。また、トランプ陣営は、本来地球温暖化そのものが科学者が作った想像の産物であるとしており、その存在すら認めておらずそんな事に予算を使うEPAは無駄以外の何物でもない。CO2をどんどん出す石炭火力発電所を復活させることで、米国の炭鉱が復活でき職場が復活できると言って支持を得ている。
エネルギースターは全米45万の商業ビルにも広まっている。省エネ対策をした商業ビルにはエネルギースターの表示ができ、エネルギー代金を支払うテナントは少しでもランニングコストの安いビルを探すため、ビルオーナーは競って省エネ対策をしている。この商業ビルのエネルギースタープログラムは100%自主的とは言えなくなってきている。と、言うのはニューヨーク、シカゴ、ロスアンゼルス、サンフランシスコなど地方自治体の一部が義務付けしているところが出てきているからである。トランプ政権はこの地方自治体による規制も取り去ることにしている。因みにトランプの保有する15の超高層ビルは、エネルギースター評価基準を100とした場合その11のビルは50以下で、マンハッタンのメイフェアホテルビルに至っては1点しか取れない。これを見て分かるのはトランプ氏の環境嫌いは筋金入りであると言う事である。 |