都市の持続可能性
オランダの都市開発コンサルタントで設計事務所のアルケイディス(Arcadis)が世界100都市の2016年度版持続可能性ランキングを発表した。
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アルケイディスはアムステルダムに本社を置き世界70ヵ国に2万7千人の従業員を持つ都市開発コンサルタントの大手で年間34億ユーロ(38兆円)を受注している。この企業が世界100都市を選び持続可能性ランキングを決めている。都市の持続可能性を人(People)、地球(Planet)、お金(Profit)の3つの持続可能性を測定し点数をつけランクを決めている。
この報告は次のURLで閲覧ダウンロード(英語)できる。
https://www.arcadis.com/en/global/our-perspectives/sustainable-cities-index-2016/
総合のトップテンのランクは表の通りであるが、総合でトップのチューリッヒのスイスは地球環境の持続可能性を重要視した都市づくりをしており、スイスの都市ジュネーブは「地球」でも3位に入っている。
「人」ではソウルがトップにランクされており韓国の都市づくりの目標とするものが見えている。日本では韓国と言うとネガティブな面が好んで報道されるが、ソウルでは食品廃棄物の回収システムがハイテクを駆使して作られており、各家庭やレストラン別に食品廃棄物がデータ管理され処理費用が課金される。その効果は絶大で食品廃棄物の量が従来より大きく減少している。また集められた食品廃棄物は嫌気性発酵させてメタンガスに変え発電したり、脂分からはバイオディーゼルなども作っており持続可能な都市づくりを目指していることは日本では余り知られていないが、ソウルから学ぶものは多いはずである。そのほか「人」では、ドイツから3都市が、オランダから2都市がトップ10に入っている。
「地球」では1位にチューリッヒと2位にジュネーブが入り環境先進国スイスの面目躍如と言える。2位のストックホルム、6位にウエリントン、7位にローマ、8位にシドニーが入っている。
「お金」のトップはシンガポールで、他にはトップ10に入っていないニューヨーク、パリ、ドバイが入っている。
ランクインしている都市の特徴が見えてくる。スイスの都市は地球環境の持続可能性を追求している。大都市ではロンドンは地球に優しくお金も稼げる町のようであるし、シンガポール、ニューヨークとパリもお金が稼げそうである。プラハは人とお金には良いが地球にはちょっと、ウイーンは人と地球には優しいがお金は稼げそうにない。ドイツと北欧の都市は全てで善戦している。
東京は総合で45位でどの分野も中くらいでどのような都市づくりをしたいのかと言う政策に欠けているようである。ほかの都市がやっている事を無難にこなして、日本人の好きな横並びの精神に満ちあふれていると言うべきであろうか。アベノミクスと騒いでいた割には「お金」でも28位と振るっていないことで、この政策には効果がなかったことがここでも分かる。 |