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ブログ管理人
去る５月２９日京都大学で『�犒崖惷ζ鵜疊紳丱轡鵐櫂献Ε燹宗淑刃造里燭瓩粒惱僂魑瓩瓩董戮�「安保法案に反対する学者の会」主催で開催された。
日本では90年以降経済が停滞したままである。その間政府はありとあらゆる財政出動を重ね景気を刺激してきたものの政府の財政赤字がGDPの２倍以上の１千兆円以上になっても景気回復の兆しは見えない。ブログ管理人は、その原因は日本の産業がモノづくりを辞めてマネーゲームに走ったからであると、このブログで何度も訴えている。
70年代のニクソンショックと二回にわたるオイルショックを、構造改革で見事に乗り切り、それまでの資源とエネルギーの大量消費と労働力集約型の重厚長大型の産業から、資源とエネルギー消費は少なく知識集約型で高付加価値の軽薄短小型の産業に産学が協力して変えていった。日本の産業は、世界の消費者が心をわくわくさせて飛びつくような製品を次々と出して行った。しかし、90年代からこのかた日本からそのような商品は全く出されていない。お掃除ロボットはアメリカ製、トルネード型掃除機はイギリス製、小型アクションビデオカメラはアメリカ製、スマホはアメリカでデザインされ中国で製造されたものか韓国製、高級TVは韓国製、PCは中国か台湾製と本来日本のお家芸であったはずの家電やエレクトロニクス製品が日本からは出ていない。日本メーカーは後追いで真似て作っている現状である。
その現状の打開策として経団連と政府が考え出したのが軍事産業への進出である。ガルブレイスによると米国では「1976年には100の大法人が直接的な国防関係の契約の69.8%を受け取っており、兵器産業は、そのほとんどが大企業による排他的な領域となっている。1974年には126の大企業が全ての産業上の研究開発支出の四分の三を占め、かかる支出に対する連邦政府援助総額の93%を受領した。同じ年に四法人だけでこの全ての研究開発支出（その大部分は政府によって支払われた）の五分の一を占めた。」アメリカの大企業にとって軍事需要は最も有利なビジネスになっている。発注は計画的に行われ、いったん決まれば安定しており、先端兵器であればあるほど、コストよりも性能が求められ、それゆえ高い利潤が保証されている。陸海空軍の提出する予算を検討する能力は議会には無く国防長官さえも口を挟めない。ロッキード・マーチン社もゼネラルダイナミック社も破滅的な経営の失敗を軍需で回復している。過去にアイゼンハウアー大統領が「軍産複合体」と呼んでその存在を国民に警告したことは有名であるが、現在最強の政治ロビーを有しているのが軍産複合体である。経団連と政府は民生がだめなら軍需でと安易な決断を行い、その為に着々と準備を進めてきた。
2013年第二次安倍内閣は特定秘密保護法を国会で通した後、矢継ぎ早に２つの閣議決定を行う。国家安全保障戦略と防衛大綱である。そして2014年4月には防衛装備移転三原則を閣議決定している。この３つの閣議決定により軍需産業の骨組みは完成した。
次に重要なことは先端技術の開発能力である。2015年9月に経団連は「防衛産業政策の実行に向けた提言」の中で大学に軍事技術の研究に取り組むように提言している。軍楽共同はすでに2004年頃から始まっており、防衛省（実際には防衛省の外郭研究機関）と大学との間で協定書が交わされて行っていたが、法的な根拠がないために予算もつかないものであった。しかし、2014年からは法的な裏付けもでき予算措置も取られるようになってきた。2015年から始まった安全保障技術研究推進制度は2015年に3億円、2016年に6億円が付いた。防衛予算と言うと何百億、何千億と言う巨額の数字を連想するので、それに比べると微々たるものと思えるかも知れないが、大学の研究室としては大変に大きな予算である。その証拠に協定を結ぶ大学の数は2004年〜2014年までは数件しか無かったが、2015年11件、2016年23件と急増している。教育予算の切りつめで研究予算に乏しい大学にとっては無視できないものなのである。そのテーマは、レーザー光源、昆虫サイズ小型飛行体、水中移動体、ナノファイバー、航空機用エンジンなどで、大義名分としては「デュアルユース」民生にも使える技術と言うことになっているが、これらを民生用に使うためには防衛省の許可が必要となる。
JAXAは大学と最も多く共同研究を行っている政府系研究機関であるが、2003年に2兆円の予算でスパイ衛星を打ち上げて以来軍事研究に乗っ取られつつある。法的にJAXAはJAXA法を根拠にした法人であるが、2008年の宇宙法改正でJAXAの研究目的に「安全保障に資する」と言う項目が増やされ、2012年のJAXA法改正では当時の民主党野田総理のもとで「平和目的に限る」と言う条項を外し、防衛分野の研究が可能になっている。そして、これまで文科省にあった諮問機関「宇宙開発委員会」は廃止され代わりに内閣府に「宇宙政策委員会」が設置されJAXAは文字通り首相直轄となっている。JAXAは年間2500億円の予算規模である。野田内閣も軍需産業を推進しようとしていたのである。
2015年には109件の応募に対し9件が採択され、そのうち大学は58件の応募で4件が採択されておりその中に東京工大、豊橋技術科学大が入っている。軍事研究はしないとはっきり文書で宣言しているのは早稲田大、立命館大の二学のみである。それ以外に安全保障管理として書いているのが京都大、秋田大で、文書は無いが「軍事研究はしない」と明言しているのは九州大、神戸大、関西学院大、山梨大、帯広畜産大、電通大である。東京大は協議会で総長が「軍事研究はしない」と発言している。「軍事研究しない」と申し合わせているのは新潟大、琉球大である。広島大は副学長が軍事研究拒否を明言している。信州大は審査委員会が明言している。新潟大は全学で検討して「軍事を目的とする研究は行わない」と付け加えた。
一方応募した大学で内部委員会で審査のうえ応募をしたのが、東京工大、鹿児島大、東京藝大、大阪市大、岡山大、東京都市大などで、「軍事研究はしないが、今回の応募はそれにあたらないと判断した」とするのが千葉工大、愛知工大、関西大、東京電機大は採択された後教授会に諮っている。
同シンポジウムで講演した池内名誉教授は、採択された研究者たちは研究費が貧困で枯渇し軍事研究に頼らざるを得ない状況に追い込まれているとし「研究者版経済徴兵制度」とも言えると指摘している。さらに軍学共同が進んでゆけば大学の自治は失われ、学問の自由を奪われる。秘密研究は成果を秘匿する。そして研究現場は委縮し、研究者の精神的堕落が起きると警告している。
最後にこのシンポジウムに送られたノーベル賞受賞者益川敏英さんのメッセージを紹介する。
戦争と平和の分水嶺 ノーベル賞 益川さんメッセージ
今迄も歴代内閣は、平和憲法の精神を徐々に逸脱し変質させてきた。しかし、其れでも憲法は明確に生きていた。五年ほど前に東支那海に百屯ほどの不審船を発見した自衛艦は２０ミリ機関砲を警告発砲は出来ても、実射ができなかった。
安倍内閣は先に発砲できる交戦権が欲しいのである。是は明確に現行憲法九条が禁止している。是を乗り越えるには憲法無視しかない、と安倍内閣は判断している。
是と歩を合せたものが本日の露骨な軍事共同の推進で、今迄の陰でこっそりと、とは分けが違う。我々も本腰を入れて対決しなければならない。日本を戦争の出来る国にするのか、平和な日本を守るのか、の分水嶺に来ている。
このシンポジウムの成功を足場に平和な日本を守りましょう。
名古屋大学ＫＭＩ研究機構 益川 敏英
池内名誉教授の講演全文URL:
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/gungakukyoudounogenzaitogakujutunosyourai.html |
軍学共同研究
