ダンテの森    
06 Apr 2016 06:41:29 am
パナマ文書
史上最大のスクープ――パナマ文書
今、世界で一番ホットな話題だがなぜか日本のメディアは冷静

ブログ管理人



 今、世界中の主要メディアのトップストーリーは「パナマ文書」である。4月4日に南ドイツ新聞が最初に報じたこの史上最大と言われる情報流出事件は今後国際経済の大きな流れを変えることになるかもしれない。

 2011年9月にアメリカと英国がシリア封鎖を発表したがその後も途切れることなくシリア国内の政府軍にも反政府勢力にも武器弾薬は供給され続けた。ISはどこからともなく武器弾薬を供給され続けている。これには米英の情報網にかからない金の流れがあったからである。このことを調べていたのはICIJ, The International Consortium of Investigative Journalist (国際調査報道人協会)で、この協会は世界中の160人以上のジャーナリストで構成されている非営利組織である。

 パナマにあるモサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)と言う法律事務所があるが、このファームは世界中の富裕層に合法的な租税回避を指南することがその主たる業務である。パナマはタックスヘイブンで知られる国であるが、富裕層が隠しておきたい財産をどのようにして海外に合法的に移すことができるかをコンサルタントしている。

 今回、ICIJが入手したのはモサック・フォンセカのコンピュータデータである。これまではウイキリークスのファイル数120万件と言うのが最大であったが、今回のリークは2.6テラバイト(2600ギガバイト)、1150万件のファイルでそこには214,000のペーパーカンパニーが登録されている。世界の著名人140名もそれらの会社の関係者として名前が上がっており、その中にはブーチン大統領の側近が2000億円をやりとりした記録、英国のキャメロン首相の父親、習近平主席の親族、シリアのアサド大統領、アイスランド首相のグンラウグソンの父親、アルゼンチンのサッカー選手メッシなどが有ると言う。日本人の名前も400人ほど上がっているとのこと。

 アイスランドではこの件の発表の後、レイキャビクの首相官邸前に1万人がデモを行って首相辞任を求めている。グンラウグソン首相の父親はパナマにペーパーカンパニーを設立し500万ドル(約6億円)を払い込み、その会社はブリティッシュ・バージン諸島にある企業に投資したが、最近その企業の資本金が1ドルになっていることが発覚したが、その使途は不明であると言う。

 匿名のペーパーカンパニーを作るのはいともたやすくメール一本でできると言う。パナマは資本の出入りが全く自由であるのでだれでもいくらでも資金を持ち込むことができる。パナマのペーパーカンパニーは武器、麻薬、人身などあらゆるものの売買を世界で行っているが、このようなタックスヘイブンはパナマ以外にもルクセンブルグ、モーリシャス、ブリティッシュ・バージン諸島、マン島、それに知られていないが英国そのものもタックスヘイブンの部分を備えて多くの大富豪の富を集めている。

 このICIJを長年サポートしてきたドイツの南ドイツ新聞が今回最初にスクープとして発表した。Financial Times、Wall Street Journal、The Guardian、Le Monde、Huffington Post、BBCなどがサポートしており、日本では朝日新聞がICIJをサポートしている。その後AFPやロイターで世界各国に発信されたが、これを扱った国内大手紙は朝日、毎日、日経が伝えているが、テレビはNHKが4月5日の午後5:22のニュースの中で伝えた以外にはこの原稿を書いている4月5日午後23時現在無いようで興奮気味の海外メディアにくらべていたって冷静である。日本人400名には報道に不都合な人の名前があるので得意の自主規制をしているのかも知れない。

 ドイツ連ぷ議会では早速大連立の社民党(SPD)が、ドイツの企業や個人が匿名で海外に企業を設立するのを規制する法律を起案することに着手したと発表している。しかし法律家の一部には個人情報秘匿の権利を侵害するとの考えもあり、人権との整合性を十分に確保したものにしたいとしている。またこの法案は税の徴収の不公平を少なくすると同時にテロ組織や反社会的組織の資金の流れに制限をかける効果があるとSPDのスポークスマンは述べている。

 いずれにしても、この「パナマ文書」は今後の経済の仕組みも変えかねない力をもっている。世界の富裕層が税の回避策をどのようにしていたのかを具体的に明らかにしてゆくことで、豊かなものはさらに豊かになれる現在の新自由主義の経済体制に風穴をあけ、資本の自由化にあるていどの規制をかけなければならないとの国際世論が高まることが期待できるからだ。

 南ドイツ新聞とICIJに大喝采を送りたい。

TechCruchのサイトにも「パナマ文書」が出ているのでご参考に。 
url: http://jump.cx/LECUs

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