ダンテの森    
14 Feb 2016 10:27:48 am
ドアホノミクス
アホノミクスと言う言葉は同志社大教授の浜矩子氏の造語であるが、最近氏はドアホノミクスにアップグレードした。

 2012年12月、第二次安倍政権ができて間もなく米国FRBが金利を上げたために、それまでだぶついていた国際マネーがドル買いに動いたことで円安となり、輸出の割合が多い大企業の利益が増え株価上昇が起きた。マスコミはアベノミクス効果と囃し立てたが、これは国際経済、主に米国の金融政策によるもので日本政府の金融政策の効果ではない。あの時、民主党政権が続いていたとしても円安―株高は起きていた。民主党のドジョウ野田首相は誠に絶妙のタイミングで政権を手放した。

その後の第二、第三の矢が有ったのか無かったのか、本来政府の経済政策の行き過ぎを監視し、インフレ防止など金融安定が使命のはずの中央銀行である日本銀行が政府と歩調を合わせてインフレ政策を行うなどトンチンカンな経済政策で、何が何でも株価を押し上げようとする経済政策をアホノミクスと呼んだのはけだし名言である。

 最近のマスコミは株価の上下がよほど重要に思えるらしく、日経平均がどうのこうのと言うのが新聞一面のトップ記事になり、テレビニュースのトップに流される。国民にとって株価がそんなに大切な事なのだろうか。実際に株式投資をやっている人口をネットで調べても正確な数字はだれも掴んでいないようだが、個人株主数は350〜1200万人くらいで、最大値をとっても人口の1割以下となる。その人たちの為に、マスコミがトップニュースにしているとは思えず、これはやはりマスコミが政府発表をそのまま重要ニュースとして流しているからであろうと思われる。現在の政権にとっては、株価の方が政党支持率よりも大切なインデックスなのであろう。このこと一つを見ても安倍政権が国民の為に政治をしているのではなく、大企業とこの国のエスタブリッシュメントの為に政治をしているのだと言うことが良くわかる。

 円高になると大企業は喜び株価が上がるが、国民は日本円で生活しているのだからその通貨の価値が下がることは損をしているのだ。例えば大豆1kgを米国から100円で買っていたのが円安になると105円に値上がりするのである。つまり国民の富が目減りするので、本当は国民は嘆かなけれならない。政府とマスコミは嬉々とした報道をして、国民に間違ったイメージを埋め込んでいる。円安になって利益が増えるのは製品を輸出している大企業だけである。その証拠にトヨタなどの自動車メーカーは史上最高の利益と喜んでいる。安倍政権は日本を大企業にとって世界一居心地の良い国にしたいと考えており、大企業が世界から日本に集まってくる事を夢見ているのだ。そうすると、そのおこぼれで国民も豊かになると考えており、それをトリクルダウンと言っている。この考え方を続けてきた結果、現在世界人口70億人の上位35人と下位35億人の持つ富が同じと言う姿を作っている。大金持ちがさらに大金持ちになることで、貧乏人も僅かには収入が増えるかも知れないがこの2者の格差は開く一方となる。これが安倍政権の経済政策であるのでアホノミクスと名付けるのは当然である。

 当ブログでは、日本の実体経済が弱体化したのは政府の行政指導のせいであると言う主張を何度か書いているが、日本経済が浮揚しないのは斬新で魅力的な製品を創り出すことができなくなった産業構造にあるので、そこにどんなに金融緩和を行っても効果が出ることは絶対にない。国際市場に売り出せる新製品が無いのに設備投資をして工場を新設する企業はない。銀行がいくら金を貸してくれるからと言って、それでは取りあえず工場だけでも作っておくかと考える企業家はいない。役人の発想は全くちがう。予算が取れているのだからと、平気で将来車が走るかどうか分からないところにでも道路は平気で作る。この役人の考え方で産業を指導されたので、現在の日本の産業はダメになったである。その根本問題を反省もすることなく、むやみに金融緩和のみを行っていればそのうち景気が良くなると思っているのである。

 政府日銀はマイナス金利を始めたが、これで企業が設備投資を始める訳などない。我々国民が積み立ててきた年金基金130兆円を運用するGPIFが直接株取引することは諦めたようであるが、GPIFはすでに株に投資は始めており、株価の値下がりで10兆円ほど損をしている。国民の金を無断でばくちに使って損をしているのだ。それでドアホノミックスに昇格したのである。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
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