遅れた年頭のご挨拶
ブログ管理人
2016年も早や20日間が経ってしまった。ブログ「ダンテの森」の更新を一カ月以上怠ってしまった。特に健康上の問題があった訳ではないし、1月7日に大阪で講演会が有った以外は遠方に出かけていたわけでもない。要するに怠惰である。時々、このダンテの森を訪ねてくれている読者の方には誠に申し訳無い事をしたと反省している。
2016年は一体どんな年になるのだろうか、友人の一人が丙申(ひのえさる)は「激動の年」になると言っていた。確かに5月に伊勢志摩サミット、7月には参議院選挙が有るが、「激動」が起きるような雰囲気ではない。ゲリラによるテロでも起きない限り「激動」は起きないのではないだろうか。このままの政治体制が「平穏」に続くのが決して良いとは思わないが、一般国民としては「平穏」が何よりなのかも知れない。
年末に岸田外務大臣の内輪の会合に出る機会があった。岸田大臣は自民党の保守本流と言われている宏池会の代表であるが、その宏池会の会合であった。岸田大臣はスピーチで、外相就任3年間で50数ヶ国を歴訪し要人と話すと、その最重要課題は地球温暖化対策であると言う。特に先進国の首脳は話の8割〜9割が地球温暖化対策と持続可能な社会への移行であり、テロ対策や安全保障が主要課題では無く、ましてや経済成長などは話題には上らない。ところが国内に戻ってくると地球環境問題は全く話題にはならない、このギャップに大きなストレスを感じると、話していた事が印象に残った。
1月15日には国連大学で「SDGsシンポジウム」が開催された。昨年5月に国連総会で決議された「持続可能な開発の為のゴール(Sustainable Development Goals)」の事で、エスディージーズと読み国際社会では最も新しいキーワードである。海外の要人と付き合いのある人は絶対に知っていなければならない言葉である。ところが日本では全く広がっていない。これは2030年までに達成すべき17の目標と169の小目標が設定され、これらを世界196カ国の国連加盟国全ての国が2016年1月1日から実行して行くと国連決議が行われた。その数値目標の設定や達成方法は各国の裁量に任されており、法的な拘束は無い。ただ、各国が設定した目標は国連に報告され、その達成度合いは検証され報告される。
例えば、SDGsの目標1は「すべての場所における、あらゆる形態の貧困の解消」である。そしてその小項目1.1には「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」とある。これは一見日本には関係ない目標のように見えるが、日本の企業が原料を輸入する時にその輸出元が1日1.25ドル未満の労働者を使っていないかどうかを確認する具体策を打つ必要がある。また、米国に次いで先進国中6位と大変高い相対貧困率(2012年で16.1%)を2030年までにX%に下げますと言う目標を設定しなければならない。日本のこども貧困率も先進国では大変に高いのでその為の目標も設定すべきである。
SDGsは貧困と格差、食糧、健康、教育、ジェンダー、水、資源・エネルギー、生物多様性、ガバナンス(制度の構築)など多岐にわたり具体的な目標が決められている。日本では慶応大学の蟹江教授が率いるPOST2015プロジェクトがSDGsの第一人者で、今回のシンポジウムもこのプロジェクトの主催であった。同プロジェクトでは「処方箋」を発表している。
http://www.post2015.jp/
伊勢志摩サミットは世界が注目するが、そこで議長国である日本がG7の議論をSDGsに集中することができれば日本は世界から見直される大きなチャンスを持っていると思うが、今行われている国会の議論を見る限り日本政府にはSDGsは全く頭に無い。
SDGsの全ての項目が達成されるとその向こうに見えてくるのは、まさに「ファクター5」の提言する持続可能な社会が出現する。処方箋に書かれるべき治療法は「ファクター5」の中にあることを広めて行く事を今年の目標にしようと決めた。
本年も宜しくお願い致します。
敬白 ブログ管理人 |