エネルギー基本計画の嘘
ブログ管理人
経産省と資源エネルギー庁が出した基本エネルギー計画は数々の嘘で塗り固められ、2030年にどうしても20〜22%を原発の稼働ありきとするために書かれている。
URL: http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/
mitoshi/008/pdf/008_08.pdf
エネルギー需要予測の嘘
2013年に0.96兆kWhであったものが、もし省エネをしない場合には1.18兆kWhと23%増加すると見積もっている。リクルート組織行動研究所の調査によると生産人口(15〜64歳)は2013年には7千9百万人であったが2030年には6千8百万人に13.8%減少すると予測している。生産人口が減れば、生産活動は減少しGDPは減少する。ところがエネ庁の予測では2013年に531兆円であったGDPは年率1.7%で増加し続け2030年には711兆円になるとしているが、これは457兆円になると見るべきであろう。そしてエネルギー需要は0.82兆kWhとなり、エネ庁が言う省エネ効果で17%と言ういかにも消極的な目標の削減ができるとすると0.68兆kWhとなる。需要の自然減と最低の省エネ努力でも△0.28兆kWhの削減となり、これだけでもエネ庁が原発で発電しようとする0.21兆kWhを上回る。このエネルギー需要予測そのものが第一の嘘である。
再生可能エネルギーを不安定電源と決めつける嘘
基本エネルギー計画は閣議決定されたが、その時大臣達に見せられた資料はエネ庁がつくったもので、太陽光・風力などの再生可能エネルギーは不安定で火力や原発に代わる電源とはなり得ないとの説明をしたのが右の図である。
日本のエネルギー需要は10電力会社が独占しており需要データは電力会社が握っており、エネ庁は電力会社から教えて貰って資料を作っている。ひょっとすると資料も作ってもらっている可能性もある。この図の一番外側が一日の電力需要の変化を表し、緑色の部分が再生可能エネルギーである。これを見ると電力需要は緩やかに変化し、再生可能エネルギーは激しく上下するのを火力発電が補っているように見える。
ドイツの電力需要は誰でもインターネットで好きな日の変化を見ることができる。URL; https://energy-charts.de/price.htm
左の図は6月18日のものである。一番外側のカーブが需要で実際の需要はかなり激しく変化している事がわかる。黄色は太陽光で緑は風力で需要の変化ほどの変化はない事がわかる。赤い線は電力単価の予測で、青い線は実際の取引価格である。現在時刻より先は予測である。電力のデマンドサイド・マネジメントが進んでいるドイツではアルミ精錬や平炉メーカーなどの大口需要者は、これを見て価格の高い時には操業をやめることで利益を上げることをしている。
いずれにしても、エネ庁の図は自然エネルギーが不安定であることを言いたいがために露骨に作られた嘘であることが、ドイツの実際データと比べると一目瞭然である。
部門別の需要予測の嘘
ほとんどどれもGDPが年率1.7%で2030年までコンスタントに成長することを前提に書かれているので、全て嘘といえるがその中でもひどいのは、業務用床面積で2013年に18.5億�屬任△辰燭發里�2030年には19.7億�屬藩渋�していることである。生産人口が13.8%減少するのに業務用床面積は6.8%増加する。2030年の事務所は相当広いものになると言うのだろうか。
省エネにはザル基準で力を抜いた政策を徹底。
建築物はエネルギー全体のほぼ40%を消費している最大の分野であるので、欧米諸国ではこの分野の省エネが最も効果を上げやすいとして、注力しているが、国交省が2013年に出した建築物の新省エネ基準では効果が最も出る外皮（壁、ドア、屋根、床下、窓など）の省エネ基準は1999年のままで、重要視されているのは、太陽光発電やエコキュート給湯で2020年に義務化と言っているが、欧州ではとっくに義務付けられている何kWh/�屬噺世Δ茲Δ平�値目標は掲げていないザル基準である。建築物を例えばパッシブハウス基準にすると最低でも90%のエネルギー消費が削減される。ドイツ、スイス、オーストリア、北欧諸国では2020年以降に新築される全ての建築物はパッシブハウス基準が適応される。それまでに、毎年基準が上げられている。また、全ての建築物の売買や賃貸契約にはエネルギーパスと呼ばれる、建築物の省エネ度証明書の提示が義務付けられている。これを行う事で欧州は2030年までにCO2排出量を1990年基準で40%削減するとしている。ちなみに安倍政権は2013年基準で2030年に26%の省エネを約束しており、そのためには20〜22%の原発稼働を前提にしている。
全ては、原発稼働ありきのエネルギー基本計画であり野心的な地球環境への貢献は全く感じることのできない情けないものとしか言えない。 |
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