食品廃棄物の削減にハイテクを使った画期的な改革を進める韓国の首都ソウル
エール大学 Environment360 VIDEO May 20. 2015
E360 VIDEOシリーズの第二弾として映画監督のカリム・クロボグ(Karin Chrobog)は、ハイテクを駆使して食品廃棄物を画期的に削減する事に成功した韓国へと飛んだ。韓国の首都ソウルの成功は、他の大都市の食品廃棄と埋め立てゴミの減量の参考になると考えたからである。
食品廃棄物は世界的な問題である。国連によると生産されている食糧の内1/3は、腐敗するか、収穫されないまま畑に放置されるか、廃棄されている。1300億トンが年間廃棄されており、環境、経済、エネルギー、労働力を浪費させている。
E360ビデオ「廃棄物」シリーズの第二弾は、食品廃棄物対策を果敢に進めた韓国を取り上げた。このビデオで映画監督のカリン・クロボグは首都ソウルの1千万人が参加し多大な効果を上げている様子を撮影した。
ビデオでは、ソウル市民は食品ゴミを直接専用の容器に投入し、IDカードで開閉する容器に投入された食品ゴミの量は直接オンラインで市の環境公社に送られ毎月その量に応じた処理料金が課金される。
マンションからホテルのレストランまで、食べ残しや食品屑は残らず集められ巨大な処理工場に持ち込まれ、粉砕され、絞られ、真空乾燥された後、家畜用のドライフードになる、残りは発電所の燃料として燃やされ電力となる。
これらの対策の背景には、この国が過去数十年の間に報われる事の無かった国から豊かな国へと社会変革が起きたことがある。ビデオの中でも語られているように、多くのソウル市民の目から見た米国で出されるゴミは異質のものに映るようである。ソウル市民がアメリカ人からするとお節介すぎると思える政策を受け入れているのは、公共財に対する韓国人の考え方からくるものである。
次のURLからビデオ(英語)を見ることができる。
http://e360.yale.edu/feature/in_south_korea_an_innovative_push_to_cut_back_on_food_waste/2875/#video
--
ビデオの中でも出てくるが、韓国経済は国民一人当たりの収入が1960年には僅か100ドルであったものが、1980年には5,550ドル、2013年には28,000ドルにまで急成長した結果、貧しかった頃には、食品廃棄物など全く出される事が無かったと言って良いほどであったものが、今ではあまりにも多い食品が廃棄されるようになったことにある。RFIDと言うハイテクを使って家庭食品廃棄物の量を管理するようになって、家庭から出される食品廃棄物は30%減少し、ホテルやレストランからの業務用食品廃棄物は40%減少した。
因みに日本は年間5500万トンの食糧を輸入し、1800万トンを廃棄しており、そのうち1000万トンは家庭から、800万トンは事業者からである。「もったいないの国」を自認する日本は、食品廃棄物対策に真剣に取り組むお隣の韓国を少しは見習ってはどうだろうか。韓国の食品廃棄物法は、この種の法律としては世界で最も厳しい。 |