原発の発電コスト 微増も最安10.3円 経産省会合 報告書案了承
東京新聞 2015年5月12日朝刊
経済産業省は11日、有識者会合「発電コスト検証ワーキンググループ」を開き、原子力発電にかかる費用を2030年時点で一キロワット時当たり最低10.3円とする報告書案を了承した。4月27日に公表した素案の「10.1円」から微増としたが、火力などほかの電源と比べて最も安いという結論は変えていない。
微修正したのは、2030年に目指す原発や再生可能エネルギーなど発電手法別に目指す発電量の構成比率が4月28日に大筋で固まったため。発電量の見通しが修正されたため、各手法別に割り振っている交付金や助成金などの1キロワット時当たりの政策経費が変わった。
原発の発電量は素案段階より13%減ることになり、1キロワット時当たりにかかる交付金など政策経費は0.2円増える計算になった。同じく石油火力も1キロワット時当たりの政策経費がわずかに増えた。逆に風力は導入が進む見込みとなり、1キロワット時当たりの政策経費は減少。地熱も16.8円と素案段階より2.4円下がった。風力や地熱の割合が増えると、太陽光に割り振られる予算が増えるため太陽光の費用の上限が微増した。
政府はこうした発電手法別の費用を基に2030年までに目指す原発20〜22%、再生エネ22〜24%などとする比率の目標を大筋で固めている。与党に諮り、意見公募(パブリックコメント)のうえで最終的に決める方針。
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以上は東京新聞の記事からであるが、この有識者会合「発電コスト検証ワーキンググループ」なるものが曲者で、次のURLで議事の概要が見ることができる。。
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/
mitoshi/cost_wg/007/pdf/007_10.pdf
そのメンバーを見ると、有識者としての出席者は6名で、座長は山地憲治東大名誉教授で名だたる原発推進派、以下委員は秋元圭吾氏(地球環境産業技術研究機構と言う電事連・日本原子力発電・原発メーカーが出資の団体所属、荻本和彦東京大学生産技術研究所教授、増井利彦国立環境研究所教授、松尾雄司日本エネルギー経済研究所研究主幹、山名元原子力損害賠償・廃炉等支援機構副理事長・京大名誉教授と全員が原発推進派である。なお同じく委員で原発再稼働反対派の植田和弘京都大学大学院教授と省エネ再エネ推進派の松村敏弘東京大学社会科学研究所教授とボストンコンサルタントの秋池玲子氏は欠席している。そして役所からは経産省は審議官1、課4、参事官1、室長4、調整官1が、内閣官房から参事官1、内閣府から企画官1、環境省から室長1の合計14名が出席している。このメンバーで議論すれば当然このような結論がでる。
原発発電コストは廃炉費用は低く見積もられており、放射性廃棄物の処理と保管費用は計算に入っていないし、事故が起きた時に掛かる費用に至っては全く想定していない。オンカロと言う自前の核燃廃棄物貯蔵システムを持っているフィンランドは、福島事故の結果を見てより安全性の高い原子炉に設計しなおした結果、3号機の建設コストは1兆円となり、4号機の建設は経済性無しとの結論で中止となった。世界では高安全性の原発はコスト高となるとの考えが一般的で、原発は安い発電方法とは言えないとの常識が広まって来ているが、日本ではまだ最も安いとしたいと言う政府と電事連の意志が強く働いている。
経産省は一般からのパブリックコメントを公募しているので、どんどん意見を書いてもらいたい。電事連に属する原発推進派では、組織的にパブリックコメントに投書をしているので、放っておくとそれが国民の意見になってしまう。
長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)に関する意見箱のURL:
http://www.enecho.meti.go.jp/notice/topics/031/ |