未来に責任あるエネルギー選択を〜気候変動政策とエネルギーミックス〜
第４８回国会エネルギー調査会（準備会）を傍聴して
ブログ管理人
2015年4月16日15:00〜17:00衆議院第一議員会館国際会議室で開催された超党派「原発ゼロの会」／国会エネ調（準備会）有識者チーム主催の第４８回国会エネルギー調査会（準備会）に同会の顧問で公明党前参議院議員の加藤修一さんの招きを受けて傍聴させて戴いたのでその報告である。
永田町の衆議院第一議員会館内の国際会議室と言う立派な国際会議場で開催された。20人位が囲めるオーバル卓を囲む形で２重の列が有り、二つの大型スクリーン、IRワイヤレスマイク、など充実したAV設備と２階の周りには同時通訳ブースが10ほどある素晴らしい国際会議場である。私は、加藤さんのすぐ後ろの席に陣取った。開会寸前に私の前に民主党の菅直人氏が座った。委員長席は恐らく京大の植田和弘教授と思われる人が座り、左隣に事務長の民主党の阿部知子衆議院議員が座っていた。右隣りは環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長が座っていた。委員長席対面には、経産省、環境省、資源エネルギー庁の課長が政府側として参加していた。
最初に阿部さんが開会のあいさつを行い、名古屋大の高村ゆかり教授が名古屋からSkypeで発言をした。音声は明瞭でその場にいるかのように聞こえた。流石に場馴れした話し方で、淀むことなく論点を進めて行ったが内容としてはブログ管理人の認識とさほど差は無かった。本年末のパリ会議に向けて策定が進んでいる政府案に対して、��2030年に向かうシナリオは複数用意すべきであること。�▲┘優襯�ー需要の想定に人口減と省エネ効果を組み入れるべきであること。��実績数値を積み上げて2030を見積もるのか、ビジョンを持ってとりくむのかで見積もり数値に差が出る事。が指摘された。
次に加藤修一さんが、公明党が2012年の総選挙の際に公明党が数百万部印刷して支持者に配布した、マニフェストの一ページをコピーして参加者に配布して、そこにある「公明党は原発ゼロの日本を作る」とあることを指して、数百万の支持者にこのように約束していることの重みを与党として考えるべきであると訴えた。
阿部さんから、今加藤さんから公明党の例が取り上げられたが、他党も政府も国民に対して約束をしている。これについて高村さんの意見はと聞いた。
高村さんは、政府は国民に対しさまざまな形で約束をしているが、それを今実行しなければならない段階にきている。政府の方に聞きたいが、あらたなパブリックコメントでも集めえようと考えているのか、と政府に質問した。
政府の課長は、それぞれ「現在検討中です」と答えた。
続いて気候ネットワークの平田さんから、日本は311発災いらいCO2削減目標は不在のままきており、先日の3月31日に国際社会からの約束として目標を発表する事になっていたがそれもできなかった。それは、まだ日本のエネルギー需要予測が固まっていないからである。また、住民とのアセスの無い中小規模の石炭火力発電所の建設計画が目白押しである。これは、CO2排出量を増やす方向に進んでおり、規制すべきであるとの意見が出された。また、ベースロード電源は石炭と原発で固めれれておりその割合は60%とされているが、これは見直すべきではないかとの意見もだされた。
加藤さんがこれに関連して、風力発電タービンを建設するには小さなものでも住民のアセスが必要で、中規模の石炭火力発電所はアセス無でも建設できると言うのはおかしいとの意見がだされた。
それに対し環境省は、事業者がアセス無で石炭火力発電所の建設計画を立てている事に対しては憤りを感じていると発言した。
加藤さんはカナダと米国では、いかなる規模の石火でもCCSとのコンビでなければ認可されない、そのような措置を加えるべきだ発言した。
阿部さんから、CO2排出量の基準年をこれまでの1990年から非常に多かった2013年にするとの情報が有るがどうなのか、との質問が加えられた。、
環境省は、国際交渉で使う数値であるので、これは政府が決める。平田さんの意見は真摯に受け止めると答えた。
加藤さんが再度、風力ファームはアセスが必要で、石火はいらないと言うのはおかしい、と発言した。
資源エネルギー庁が、石火のアセスはCO2排出量に対するアセスで、風力ファームは環境への影響に関するアセスでその目的が違うと述べた。
平田さんから、石火の建設計画はここのところに来て多数出てきた。役所からゴーサインが出たのだと思う。
資源エネルギー庁が、今エネルギー需要見通しを策定中であり、これが固まらないと何も決められないと回答した。
菅直人元首相から、役所の作った資料を見ると経済成長とエネルギー消費が同じ傾向で増えており、これは古い考え方である。世界の識者の間ではエネルギー消費が減っても経済成長できると言うのが常識である。役所もそう言う意欲的な資料を作ってもらいたい。
資源エネルギー庁はそれに対し、努力していると述べた。
阿部さんから英国では省エネをやった分だけビジネスが増えていると言っているとの発言があった。
加藤さんから、これから国際交渉を行う「緑の気候基金」の資金調達メカニズムの説明に関して、外務省は発展途上国の国同士のスクラムに打ち込む楔であると形容していたが、弱い発展途上国が集まって先進国とやりあうのは普通の事であって、その団結を壊すのが「緑の気候基金」の目的だと言っているのはいかにもおかしい。目的はCO2の排出量を抑制することであるはずである。
環境省は、それに対して途上国には参加したくない国も有り、それらの動きに対抗する国際交渉の手段としてそう言う表現を使ったのだと思うと述べた。
と、言うのがだいたいの議論の内容であるが、学者、政治家、役人、市民運動家が一堂に会して真剣な討議が行われていたのは、意外な思いをした。こんな立派な議論ができる人たちがたくさん集まって、この会だけでも48回も回を重ねている。国際的には1992年のリオサミットから23年間も、エリートたちは会議を続けてきているが地球環境は悪化の一方である。これはどういう事か？ それは一重に環境問題が一般市民にとっての日常の問題になっていないからであると思う。特に日本ではそれが著しい。日本に環境問題を国民の最重要課題にする為のムーブメントを起こして行くのが最も早道ではないだろうか。その為にこの「ゼロの会」の使命は大きいのではないか。幸い「ゼロの会」には市民運動闘争の闘士である菅直人元首相も居る。ゼロの会を学者、政治家、役人、市民運動家に留めず一大国民運動にして行くための策を練る小委員会を作ってはどうかと提案する。 |
原発ゼロの会傍聴記
