温室効果ガス削減:数値明記せず 自民緊急提言
毎日新聞 2015年04月15日 東京朝刊
自民党の環境・温暖化対策調査会(山本公一会長)は14日、エネルギー効率の4割改善を目指すことなどを盛り込んだ2030年までの日本の温室効果ガス削減目標に関する緊急提言をまとめた。焦点だった排出量の削減目標値は、6日の会合で示した原案から「2005年比30%以上削減」という文言を削除。「欧米と遜色のない、国際的にも評価される高い目標」というあいまいな表現にとどまった。週内にも官邸や関係閣僚に提出する。
日本は50年までに80%削減する長期目標を掲げている。調査会はこの道筋に沿うように30年までに2005年比30%以上削減する提言を目指した。しかし、政府・与党内からより低い「2013年比20%前後減」案が浮上。非公開の協議を重ねたが、具体的な数字を盛り込むことを断念した。
これまで欧州連合(EU)は2030年までに1990年比40%以上、米国は2025年までに2005年比26〜28%減らす目標案を国連に提出している。【阿部周一】
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以上は今日の毎日新聞の記事であるが、宮沢洋一経済産業相は4月10日の閣議後記者会見で、日本の温室効果ガスの排出削減目標について「6月初めの主要国首脳会議(サミット)で、安倍晋三首相がそれなりの発言ができる環境は整える」と述べ、6月上旬までに策定する方針を表明している。(各紙)削減目標の前提となる2030年の電源構成をめぐる議論を加速させ、排出削減目標に関する政府内の調整を急ぐ考えだ。それに先駆けて昨日になって自民党内から、数値目標は掲げない方針へ転換しようと言う声が上がった。後は安倍首相の得意の大嘘でサミットを乗り切る肚なのだろうが、嘘を重ねて行くと国際社会から信用され無くなり孤立をすることになる。
ところで環境省が4月14日に発表した「2013 年度(平成 25 年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について」によると2013年度の温室効果ガス排出量はCO2換算で14億800万トンでリーマンショック直前の2007年に次いで多かった。
詳細は次のURL参照: http://www.env.go.jp/press/files/jp/26800.pdf
この資料にあるように2005年以降、産業、運輸、サービス、エネルギー等全ての産業部門でCO2排出量が減少している中で、で著しく増えているのは、オフィイスビル、ホテル、商業施設などの業務部門で16.7%増加している。また家庭部門も11.9%増加している。その理由として、新築の建築物が増えた事が上げられているが、新しく建てられた建築物が全く低エネルギー構造になっておらず、低エネルギー化改築も進んでいない事が読み取れる。
また人口増加が止まり生産人口の減少に伴い減少しつつある産業の実態を示している産業部門のエネルギー消費の削減にも関わらず、景気回復策の成長戦略により建設が続いている状況が読み取れる。また、建築物の低エネルギー化など本格的な決め手となる省エネには、手が付けられていない現状がこの数値から読み取れる。やはり安倍政権は、エネルギー消費こそ経済成長であるとの既得権益からの呪縛に陥っている。 |