まず、毎日新聞の続報から。
環境権:「除外」に自民困惑 公明方針転換、早期改憲に壁
毎日新聞 2015年03月24日 東京朝刊
公明党が憲法改正で新条項を加える「加憲」の対象から環境権を除外する検討を始めたことを受け、公明党を巻き込んで改憲の早期実現を目指してきた自民党内には困惑が広がっている。環境権の加憲はイメージが先行し、具体的な議論はほとんどなかった。自民党内からは「いずれは行き詰まったはず」などと冷ややかな声も聞こえてくる。【高本耕太】
自民党の憲法改正推進本部の幹部は23日、「環境権もプライバシー権の論議とよく似ている。具体論に入った途端にいろいろな問題が出てくる。合意形成は容易ではない」と述べ、「環境権を加える改憲なら容易だ」との党内の主張を戒めた。
細田博之幹事長代行は同日の記者会見で、「(環境権で問題があるという)意見があることは今日知った」と語り、党内で環境権について詰めた議論がされていなかったことを印象付けた。
公明党が掲げる環境権の加憲に自民党が理解を示してきたのは、最初の憲法改正を「本丸」である9条からではなく、「理解の得られやすい条項から始めた方が、改憲が実現しやすい」との思惑からだ。
ただ、公明党内では昨年夏の衆院憲法審査会による欧州視察の後、慎重論が広がった。環境権と経済的な利益などが衝突する問題が各国で起きていたからだ。
23日に沖縄県知事が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設作業停止を求めたことに関連し、公明党関係者は、「環境権が憲法に盛り込まれていれば、この移設問題でも違憲訴訟を起こされていたかもしれない」と指摘。違憲訴訟で行政が停滞する危険性を強調した。
自民党内には改憲項目として、大規模災害時などを想定した「緊急事態条項」を先行させるべきだとの意見もある。だが、これについても私権を制限する議論となるため、自民党幹部は「『災害時の衆院解散延期』などに議論が収まればいいが、そうでなければ集約には時間がかかる」との見通しを示している。
本文URL: http://mainichi.jp/shimen/news/20150324ddm005010102000c.html
以上が毎日新聞の続報であるが、昨日の公明党が環境権の加憲を憲法議論から除外する事を検討していると言う毎日新聞の報道は、不思議な事に他のメディアに広まる事は無かった。昨日のNHKの定時ニュースでも取り上げられなかった。気になったので、ネットで検索してみた。各テレビのキー局のホームページで「公明党 環境権」とインプットして検索して見たがどの局のHPにもヒットはなかった。
毎日新聞以外では、朝日、読売、産経、日経は取り上げていない。通信社では共同ニュースだけが次のように取り上げていた。東京新聞は共同通信がソースであることを明記してほとんど、共同通信の記事のまま出していた。共同の記事を次に紹介する。
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公明に環境権除外論 条文新設「加憲」で
共同ニュース 2015/03/23 12:47【共同通信】
公明党内で、憲法を改正して新たな理念を書き込む「加憲」をめぐり、環境権を対象から除外すべきだとの意見が浮上していることが23日、分かった。党関係者が明らかにした。公共工事などに対する訴訟が相次ぎ、必要な開発の妨げになるとの懸念があるとみられる。議論の行方次第では、環境権の明記に応じることで公明党を巻き込み、早期の改憲を目指すとしてきた自民党の戦略にも影響を与えそうだ。
環境権明記は、改憲に関する公明党の選挙公約の中核となっている。
公明党幹部は「環境権は現憲法の条文で読み込める。『既に環境基本法が制定されている』との意見もある」と語った。
本文URL: http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015032301001493.html
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ネット上で検索を行った結果、北海道新聞、上毛新聞、岐阜新聞、長崎新聞、
茨城新聞、神戸新聞、福島民報、中国新聞、琉球新報、沖縄タイムスは共同通信の記事を掲載して報道していた。興味深い事に東京新聞と同じグループである中日新聞は報道しなかった。因みに、おひざ元の公明新聞と聖教新聞ではこのニュースは取り上げられなかった。
つまり、公明党が環境権を加憲論議から除外しようとしている事を知っているのは、毎日新聞と東京新聞の読者やネットで知った人に限られる事になる。マスメディアの取捨選択の自由裁量は報道自由の一部であるが、中央紙がこぞってだんまりを決め込んでいるのは何か胡散臭いものを感じる。
公明党のHPサイト内検索で「環境権」と打ち込むと2014年4月9日を最後に「環境権」に関する記事のヒットは無かった。 |