ダンテの森    
23 Mar 2015 11:15:39 am
「環境権」の行方
公明:「環境権」の除外検討 憲法改正で方針転換
毎日新聞 2015年03月23日 07時45分

 公明党は憲法を改正し新たな条項を加える「加憲」の対象から、環境権を除外する検討に入った。環境権の加憲は、同党が選挙公約で掲げており、憲法改正に関する中心的な主張だが、欧州諸国で環境権に関する違憲訴訟が相次ぎ、開発や投資の妨げになっていることを受け慎重姿勢に傾いた。早期の改憲を目指す自民党は、環境権加憲に応じることで公明党の抱き込みを狙ってきたが、戦略の練り直しを迫られることになりそうだ。【高本耕太】

 ◇経済への支障懸念

 公明党がこれまで提唱してきた環境権は、国民に「良好な環境で生きる権利」を付与し、国に「環境問題に取り組む義務」を課すもの。1990年代から掲げており、象徴的政策の一つだ。昨年12月の衆院選の重点政策集にも、加憲の対象として「例えば、環境権など新しい人権」と掲げた。

 しかし、昨年夏に衆院憲法審査会の与野党議員が行った欧州視察では、環境権を憲法に盛り込んだ結果、経済的なダメージがあったなど否定的な意見が多いことが判明。ギリシャでは「開発と環境保護のバランスをとるのが困難だ」として、経済成長の支障になる可能性が指摘された。ポルトガルでは「個人主義を助長する恐れがある」などと、社会的な秩序が混乱することへの懸念が出された。

 公明党幹部は「環境権を盛り込むことで、地理的に離れた場所での違憲訴訟も可能になるかもしれない。公共工事は立ち行かなくなってしまう」と懸念する。

 日本には、憲法13条(幸福追求権)に基づき、環境保全の施策を定めた環境基本法が既に存在する。党憲法調査会幹部は「環境権の加憲はデメリットも大きく、ことさら書き込む必要はないのではないか」と、環境基本法での対応で十分と指摘。別の党幹部も「(党内は)かなり否定的に傾いている」と語った。

 衆院憲法審査会は月内にも、改憲項目の絞り込みのための議論を始める予定だ。自民党は各党との合意形成を優先し、多くの党に比較的認められやすいテーマとして「環境権などの新しい人権設定」を提唱しているが、公明党の方針転換でテーマの再考を迫られる可能性がある。

原文URL: http://mainichi.jp/select/news/20150323k0000m010120000c.html

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 以上が毎日新聞デジタル版の今朝のニュースである。

 公明党は長年、憲法改正にはプライバシー権や環境権を加える「加憲」を主張してきており、前回の総選挙での公約にもなっている。各候補はそれを支持者に訴えていた。今回公明党が環境権を引っ込めると言う方向に動くのであれば、公約違反となり、支持者をいや国民を愚弄する行為であると言われても仕方がない。直ちに臨時党大会を開いて、党員の総意を聞くべきであろう。

 今や環境先進国として定評のあるドイツが大きく変化を遂げたのは、ドイツの憲法である「ドイツ基本法」に環境権を掲げた後である。1994年にドイツ政府は第20a条を追記し、国には「次世代のために自然を守る責任がある」ことを基本法で保障している。それは環境権までふみこんでおり、その条文には第20a条 [自然的な生活基盤]・・・「国は、将来の世代に対する責任からも憲法的秩序の枠内で、立法により、ならびに法律および法に基づく執行権および司法により、自然的な生活基盤を保護する。 」と有る。

 公明党によれば、昨年夏7月16日〜26日まで衆議院憲法審査会の与野党議員が欧州を訪問して「環境権」の弊害を感じてきたとあるが、彼らが訪問したのはギリシャ、ポルトガル、スペインの3カ国のみであり、環境先進国である北欧やドイツには立ち寄っていない。欧州の中でも最も経済成長を必要としている国々を選んで視察を行い、そこで起きている環境と経済の葛藤を問題視するのは的外れである。

環境学者で認定NPO法人環境文明21を主宰する加藤三郎氏は、
 「経済の規模拡大」への偏重から、「経済の質の維持」と「環境の保全」の二軸構造の社会へと転換する大きな一歩となろう。 また、環境条項の導入について議論する中で、今よりはるかに多くの国民が環境問題の重要性により深く気づき、環境を守るための政策手段、例えば、税制、文教政策、法規制といったものの転換を志すようになると考える。
  二十一世紀には、国のすべての施策を立案し決定し実施していく過程で、常に「経済の質の確保」とともに「環境保全」という二軸の視点からもチェックされるような構造に変えるべきと信ずる。「経済の質の確保」と「環境の保全」が互いに背中合わせの対立した関係にあってはならず、統合されていなければならない。その統合の視点が社会の「永続性」または「持続可能性」である。と言っている。

衆議院議員を9期務めた第24代環境庁長官の愛知和男氏は、
 「環境問題はアメリカには全くむかないテーマだと思いますよ。ヨーロッパもアメリカのライフスタイルの原点がありますから、似ているところが多分にある。要するに、キリスト教における人間の位置付けを考えると、人間は万物の霊長で、特別な生き物として他の生物を支配してもいいというおスミ付きを与えられている。しかしこれが間違いの原点なんです。地球全体のバランスの中で人間が生きているのに、そういうことを無視して人間が自然界に対し勝手なことをしてきた。日本は人間だけが突出しているのではないというのが伝統的な考え方ですよね。ですからドイツがある部分突出しているのも事実ですが、私はどうも違う気がする。そういう伝統的な考え方を持つ日本こそがリーダーシップを発揮しないといけないと思っています。」

 いつまでも経済成長、経済成長と壊れたラジオのように叫んでいるだけでは国政を預けられる政党としては落第である。

 最後まで残っていた「環境権」の看板を下げてどうやって自民党との差別化をアピールする気だろうか、それとも自民党北川派となるのか。

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