ダンテの森    
30 Dec 2014 05:09:14 pm
今年を振り返って
2014年は日本には環境問題が存在しないと言う事を認識させられた年
ブログ管理人

 今年も残すところあとわずかとなった。ブログ管理者的には、久しぶりに迎えるゆっくりとした年末である。昨年末は、「ファクター5」の出版を3か月後に控えて、原稿の最後の仕上げに年末の大掃除もすることなく慌ただしく過ごしたが、今年に入ってやっと年金受給者としてゆっくりとした年末を迎える事ができた。

 国際社会が持続可能性社会、グリーン経済への移行などとそれぞれにこれまでのアングロサクソン文化が築いてきた経済システムには持続可能性がない事に気づき、新たな経済システムへの転換を模索しようとする中、先進国の中にあってひとり日本だけが、旧態依然と経済成長のみが国家の目標であると「ジャパン・イズ・バック」と過去へ戻る道を進んでいる。

 年末に行われた衆議院選挙では、いずれの政党の選挙公約やマニフェストにも環境や地球温暖化対策の文字は見えなかったし、知る限りでは候補者の選挙運動で環境問題を争点にしていた人も見かけなかった。政党の選挙公約やマニフェストは、大手のシンクタンクや広告代理店も一緒に作っているが、そこで行われる市場調査結果やアンケートの結果に地球環境は表れなかったと言うことだろう。つまり日本人に取って地球環境は「問題」では無いと言うことになる。恐らくそれは正しいのであろう。長年にわたるマスメディアの教育の成果と言えるかも知れない。エネルギー政策と環境負荷軽減は表裏一体のものであるので、エネルギー政策関連の今年の動きを考えてみた。

 奇しくも2011年3月11日東日本大震災が発災する数時間前の午前中に菅首相は電力固定価格買取制度(FIT)を閣議決定した。一年後の2012年から制度の運用が発効し、太陽光パネル、風力発電などの再生可能エネルギーが1kWhはたり43円で電力会社が購入しなければならないと言うことで、投資がはじまった。その為、接続希望者が増えた為に送電線に余裕がなくなったと言う理由で、北海道電力が2013年4月、沖縄電力が2014年4月、九州電力が2014年9月にと各電力会社が次々と接続拒否をする事態が始まった。2014年4月にエネルギー庁からだされたエネルギー基本計画によると、2020年に再生可能エネルギーの割合を13.5%(1,414億kWh)に、2030年に約2割(2,140億kWh)を目指すとなっている。2013〜2014年に掛けて急激に再生可能エネルギーが増えたと言うが例えば沖縄電力を例にとると、沖縄電力の現在の総設備容量は約2000MWであり、接続しようとされる再生可能エネルギーの総量は186MWと1割に満たない。送電設備は通常でも25%の余裕は見てあるし、沖縄電力では火力発電所が主な発電所なので、出力調整は可能であるのでこの再生可能エネルギーを接続できない理由は考えられない。経産省はこれらの例を取り上げて、2015年初頭には電力固定買取制度の見直し案を出すと言っており、早くも電力業界はFIT制度はこれで終わったと言う人までいる始末である。

 2014年にエネ庁から出されたエネルギー基本計画は、2009年に見積もられた最後のエネルギー需要見積もりに基づいて作られたものと思われる、と言うのはそれ以降エネルギー需要見積もりが作られていないからである。その間に総務省は人口動向統計を発表しており、人口の減少、生産人口の減少の見直しが行われ下方修正されている。2010年には8000万人であった生産人口が2030年には6700万人と約16%減少する、つまりGDPもそれ位減少するのが普通である。GDPの減少と、エネルギー効率の上昇(省エネの増進)は、エネルギー需要を大幅に押し下げることになるが、それがこの計画には反映されていない。

 電力の問題一つを取り上げても、そこには経済成長が今後も続いて行く事を前提にしか考える事ができない硬直した経産省などの考え方が表れている。安倍政権は「日本を取り戻す!」と言っているのは、官僚や役人が天下り先となる電力業界などの企業・団体を作り続ける事が目的となった役人の為の「政策」を温存することに他ならない。その為には、なんとしても経済成長が必要なのである。いくら円安を誘導しても、売る製品が無い日本の産業を活性化する為には、軍備の輸出、原発の輸出、リニア新幹線の輸出などなりふり構わずやろうとしているのだ。そして、原発を早く再稼働させないと電力料金を上げるぞと国民を脅して、この地震多発の国土でどうあっても原発を動かして「原発先進国」の看板を掲げて世界の国々に原発を売ろうとしているのである。

 孫の世代に日本を残すためには、来年こそ、この流れを変えるような国民的運動を起こす必要があると考える。

 本年一年ご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。どうか、良いお年をお迎えください。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
Apr 2025 5月 2025 Jun 2025
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
にほんブ�前村
カテゴリー
Factor Five [220]
General [13]
ブログ管理人 [315]
他メディアより [577]
リーセント
北極海氷、2番目の小ささ
地球環境の救世主になるトランプ?
Oceans’18Kobeを訪ねて。
第三回国連環境総会
気候変動は国際社会の責任
トランプに消されるEnergy Star
トランプ大統領の誤算
ドイツ市民の誇り
水中CO2センサー
6年ぶりのメキシコ
アーカイブ
7月 2012[77]
6月 2012[80]
5月 2012[93]
4月 2012[97]
3月 2012[98]
2月 2012[68]
1月 2012[96]
12月 2011[100]
11月 2011[99]
10月 2011[109]
9月 2011[111]
8月 2011[97]
ユーザーリスト
Admin[5]
dantesforest[1120]
組織化
Powered by myBloggie 2.1.4