ダンテの森    
26 Aug 2014   02:59:08 pm
先端バイオ燃料工場
セルロースからのバイオ燃料工場、オランダ国王ご臨席のもとで竣工式を開催
ENS Newswire 2014-08-21

 POET-DSM社は米国とオランダの合弁会社であるが、このたび米国アイオワ州エメッツバーグ(Emmetsburg, Iowa)にセルロースからバイオエタノールを製造する先端テクノロジー・バイオ燃料工場が完成し、来る9月3日に、オランダ国王陛下のご臨席のもと竣工式が開催される。

 この規模の工場としては初めてのセルロースベースのエタノール精製工場で、穀物のもみ殻や茎、葉などこれまで一部は飼料、堆肥などに使われていたが、ほとんどは廃棄物として処理されていたものを原料にして、これらを一度セルロースに分解してからエタノールを取り出すものである。

 POET-DSM社は米国サウスダコタのPOET社とオランダのダッジ・バイオテクノロジー社の合弁企業で、総工費2億5千万ドル(250億円)のこのプラントでは770トンのトウモロコシの芯、葉、茎の処理能力が有り、最初の一年目で2000万ガロン(約7400kリットル)のエタノールを生産する。このプロジェクトでは現在原材料の前処理を行っており、間もなく最初のエタノールが抽出される段階に来ている。

 竣工式は一般開放され、所内見学、竣工式、エタノール燃料で飛ぶアクロバット飛行チーム「バンガード・スカドロン」のデモ飛行、展示ブース、演芸など盛りだくさんで昼食も用意されている。国王陛下は竣工式と所内見学を行われる。ウイレム・アレクサンダー国王は持続可能な開発、地球環境に造詣が深く水問題に関してのご研究をされている。

 国王は「再生可能エネルギーは地元の雇用にとって重要であると同時に、先端バイオ燃料は、穀物以外の部分にも商品価値を作り出し農家の収入増加に寄与する。ここで開発された技術はこれから世界に広がって行く事であろう。」とコメントされている。

 この技術は、現在全米26ヶ所で稼働中のPOETの在来型トウモロコシ・バイオ燃料工場に順々に適応されて行く。<以下略>

原文(英文)URL: http://ens-newswire.com/2014/08/21/dutch-king-to-attend-iowa-cellulosic-ethanol-refinery-opening/

 以上がENSからの記事からであるが、米国とブラジルで作られているトウモロコシとサトウキビから従来の蒸留酒を作るのと同じ技術―単純発酵―蒸留と言う技術で作られるエタノールは決して環境負荷が少なくなかった。まず広大な耕作地の為に熱帯雨林が開墾されることは生物多様性の観点から環境負荷が大きい。そしてバイオ燃料になる部分は実やシロップのみで、その他は廃棄されることであった。また、トウモロコシはバイオ燃料に使われる事で価格が高騰しトウモロコシを主食としている貧しい国々の人々に手に入りにくくなっている。

 一旦セルロースに分解して微生物の働きでアルコールに換えるテクノロジーを使う事で、植物繊維であれば何でもエタノールに換える事ができる。木片、古紙、衣類などの産業廃棄物、麦わら、稲わら、野菜なども全てエタノールに転換する事ができるので、今後の再生可能エネルギーの中心的な存在となって行くと期待される有望な技術である。
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20 Aug 2014   02:59:35 pm
地球一個の日
本年分のCO2排出許容量は昨日8月19日に達成。
グローバル・フットプリント・ネットワーク2014-08-19

今年地球が供給できる資源を使い切った日を「地球一個の日(Earth Overshoot Day)」と定めている。今年は、8月19日がその日であった。今日8月20日以降は、未来の子孫が使うはずであった資源を前借して使って今年を生き抜く事になる。つまり、地球が本年許容できるCO2を昨日までで出し切ってしまったのだ。

世界的環境NPOグローバル・フットプリント・ネットワークは人類が与える環境負荷を国ごとに集計して、ちょうど預金通帳のように収支が分かるようにしている。その地球全体の総合計でこの「地球一個の日」を決めている。

1961年に人類は、地球が許容できる1/3のCO2排出を行った。1970年に人類の営みは地球が許容できる量を上回るCO2を排出するようになり、毎年その排出量は増加をしている。

図は各国別の最新のエネルギー・フットプリントを示している。アラブ首長国連邦(下から2番目)は、石油は出てもそれ以外の資源が全くないので、自国だけで生きようとすると12.3個のアラブ首長国連邦が必要となる。日本も小資源国であるので、7個の日本(真ん中付近)が無いと存続できない。アラブや日本は、「ファクター5」でも自国のみでは生き残れない。アメリカや中国は、現在の資源効率を2倍にできれば持続可能性が出てくる。欧州の小資源国であってもフランスとデンマークは1.6個、ドイツも2.5個と善戦している。

プレスリリース(英文)URL:
http://www.footprintnetwork.org/images/article_uploads/EarthOvershootDay_2014_PR_General.pdf

 ドイツの環境学者エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ワイツゼッカー博士の「ファクター5」では、現在のエネルギーと資源の使い方には膨大な無駄があり、それは正しく使う事で現在の消費量の1/5で済むと訴えている。その方法には全く特別な技術開発を必要とせず既存の技術を、システマティックに応用する事で可能である。しかし、経済成長する事が目的となっている現在の市場経済の考え方とは相容れないので、税法、法律、政策での対策が必要になり、それに対する提言が書かれている。さらに、例え「ファクター5」が実現しても地球を人類が末永く生き延びる事ができる天体にしておく為には十分では無く、その為には人類の生き様そのものにかかっていると言及している。(2014年、明石書店刊)
アマゾンのURLは次の通り。:http://www.amazon.co.jp/BC/dp/4750339903/
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19 Aug 2014   09:44:13 pm
凍土壁は結局失敗
凍結止水断念の恐れ 第1原発トレンチ、作業完了できず
2014年8月15日 福島民友ニュース

 東京電力福島第1原発の海側で電源ケーブルなどが通る地下道(トレンチ)の凍結止水工事が難航している問題で、東電は14日、氷とドライアイスの投入を続けてもトレンチと2号機タービン建屋の接続部の汚染水が完全に凍結していないと明らかにした。原子力規制委員会から指示された今月中旬までの凍結完了の達成が事実上不可能となった。

 東電は、19日に開かれる規制委の会合で検証結果を報告するが、専門家には実効性を疑問視する意見が根強く、凍結止水の断念を迫られる可能性が出てきた。

 凍結止水は、接合部付近の汚染水を凍らせて水の流れを止め、トレンチ内の汚染水を抜き取るのが目的。東電は「水温を5度まで下げられれば約2週間で凍る」と想定。7月下旬から今月13日までに氷約307トンとドライアイス約2.1トンを観測用の穴から投入した。

原文URL: http://www.minyu-net.com/news/news/0815/news10.html

 小ブログでは2013年8月8日にこの凍土壁を批判している。つぎは、そのブログからである。。

 凍土方式はとんでもない方法である。1.4kmにもわたり、深さ50mのマイナス50度ほどに凍った凍土の壁を作ると言うのである。一定間隔で冷却パイプを入れてその中をマイナス50度以下の冷媒を循環させるのだそうだ。地下の温度は年間を通じてだいたい15度前後で一定である。それをマイナス50度に冷却し続ける為には、莫大なエネルギーを送り続ける必要が有る。50mの深さまで冷媒を送って吸い上げるポンプも必要である。鹿島建設が作った計画書によると400kWが14ユニット必要と言う事なので、5600kWとなる。この電力を1年365日24時間絶え間なく消費するシステムが必要となる。それだけで、年間5万ギガワット時、電気代1kWh20円とすると10億円が出費、CO2にして2万7千トンが排出される。

 その上、24時間の稼働を担保するためには、保守点検が怠れない。維持管理の為の百人規模の会社が必要になる。ひょっとすると、これこそが経産省の最終目標であるのかも知れない。なにしろ省庁と言うところは、天下り先企業を作るのがその主な仕事であるからである。

 なんと言ってもこのシステムの欠陥は、何らかの事情で電源が喪失すれば、遮蔽壁としての能力が消え失せて汚染水が流出すると言う大きなリスクを抱えている事である。鋼矢板の壁を2重3重にする方がずーっと安心できると思うが、鋼矢板ではなぜダメなのか不思議である。

 日量400トンという大量の水が流れている水流の中で氷を凍らせると言う常識では考えられないバカな方法を採用した東電から提案したゼネコン(鹿島)には既に600億円が支払われているのであろう。ポンプメーカーや冷凍機メーカーには美味しい仕事ができたので、安倍政権としては売り上げに貢献できたか知らないが、またまた大幅な遅れと資源の無駄遣いが行われた事になる。
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17 Aug 2014   04:01:01 pm
「終戦」特集
朝日新聞2014-08-17 朝刊8面 声欄「終戦」特集(下)から

負の歴史見つめ続けるドイツ
文筆家 シャーウィン裕子さん(英国77)


 ドイツのベルリンには今も、ナチスによるユダヤ人大虐殺「ホロコースト」の記憶が残されている。
 7月に訪れたとき、ある家の前の石畳に真鍮の板「つまずきの石」が埋め込まれていた。その家からユダヤ人が連れ出された印だ。ベルリンには同じものが数多く有るという。
 街の中心にあるホロコースト記念碑には、棺型の碑が墓地のように広がる。ドイツの友人は「戦後、国中が負の歴史を振り返った。碑は過去を繰り返さないという願い。教育の一環として、子どもたちは碑や記念館、かつての強制収容所を見学する」と語った。
 ユダヤ人の夫は、ドイツへの旅を長年拒んできた。今回しぶしぶ出かけた。彼は「罪は許せないが、これだけの謝罪の努力を国民と政府が協力してやってきたことは称賛に値する。来てよかった」と言った。
 さて、日本は加害の歴史をどう考えるだろうか。

 以上は、朝日新聞声欄に投稿されたものであるが、ドイツが今も、どのように過去の負の遺産と向き合っているのかを示す例としてとりあげさせて貰った。8月15日が行ってしまったが、日本ではやはり加害者としての日本を見直すようなテレビの特番は無かったし、新聞各紙にも取り上げるほどの特集は無かった。

「つまずきの石(Stolpersteine)」は、ベルリンに生まれ現在はケルン在住のアーティスト、グンター・デムニッヒ(Gunter Demnig)氏が1992年に始めたプロジェクトで、ナチス政権の犠牲になったユダヤ人、反体制活動家、同性愛者、ロマといった人々を弔い、記憶の忘却から防ぐために、彼らがかつて住んでいた場所に赴いて、名前、生れた年、死亡年とその場所が刻まれた10センチの正方形(真鍮製)の石を、その町の協力を求めながら埋め込んでいったのだ。ベルリンで初めてつまずきの石が埋められたのは、1996年のこと。現在まで、その数はドイツを中心に約1万4000個にも達するという。

 ブログ管理人は、1972年に北海道室蘭に長期出張していた事がある。そこで、地元の有力者の老人から、彼が満州で憲兵をしていた頃の自慢話を酒の肴にするのを何度も聞かされた。それは、満州における日本の憲兵と言うものがどんな権力を持っていたのか、現地の人の生命など虫けらのように考えていたことを滔々と話すのであった。今、考えればきちんと録音して、場所や時間を記録しておけば良かったと思うが、当時はそんな話は聞きたくも無く、いやいや聞き流していた。一説では、第二次大戦で中国大陸では1000万人もの民間人が死んでいるが、その多くが、ヒステリックになり前後をわきまえなくなった兵士に理不尽な殺され方をしたのではないだろうか。

ナチスドイツが殺したユダヤ人は600万人と言われているが、日本人が殺した北東・東南アジアの人たちの数は一体何人だったのだろうか、確たる記録は無いようである。その点、ドイツの強制収容所の記録はドイツ人の緻密さの為にきちんと文書で残されているようである。ブログ監理人がダッハウの強制収容所で見た資料では、ナチス政府からユダヤ人一人当たり日額何マルクと予算が有るのに対し、実際はその半分も使わずに、収容所長たちの懐に入っていた証拠の帳簿なども残されていた。ネット上のブログの書き込みを見ていると、1000万は多すぎる、それは多くても200万だろうなどの議論があるが、それが200万人であれば、罪が軽くなるというわけでは断じてない。日本人には過去の過ちを見つめて二度と起こしませんとの誓いが必要なのだ。今年の広島と長崎での首相のスピーチから、歴代の首相が必ず入れていた「過去の過ち」と言う言葉が無くなった。

 ネット上でも、英語ではあるがダッハウの強制収容所の見学ができるので、そのURLを紹介しておく。

http://www.kz-gedenkstaette-dachau.de/
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14 Aug 2014   12:30:37 pm
国連MDGs部会原案
2030年に省エネ2倍――持続可能社会へ17目標<国連部会原案>
東京新聞2014年8月12日朝刊より

 2030年までに貧困や飢餓をなくす一方で、省エネのペースを二倍に加速させるなど、環境保全と経済発展の両立を目指した17項目からなる「持続可能な開発目標(SDGs)」の原案を国連の作業部会がまとめた。国内の所得格差削減や女性差別の撤廃、廃棄食品の半減など日本の国内政策に影響する目標も多く盛り込まれた。

 2000年に決まった「ミレニアム開発目標(MDGs)」に続く新たな国際目標で、MDGsが途上国中心だったのに対し、先進国も含めて努力を求めたのが特徴。2015年9月から開かれる国連総会で採択する。

 原案は「すべての場所で貧困を撲滅」「海洋資源を保全し、持続的に利用する」などと貧困、飢餓、森林、エネルギー、漁業資源などの課題ごとに17の大目標を定め、さらに計169件のより具体的な目標を示した。

 貧困、飢餓問題では、2030年までに「一日の収入が1.25ドル以下の貧困をなくす」などを盛り込み、MDGsを拡充。エネルギー分野は「すべての人に持続的な形でエネルギーを保障する」を目標とし、2030年までに再生可能エネルギー比率を大幅に拡大するほか、省エネによる世界のエネルギー利用効率の改善ベースを2倍に加速させることを目指すとした。

国連、持続可能な開発のサイトURL: http://sustainabledevelopment.un.org/?menu=1300

 この国連のSDGsに従えば、2030年までに先進国は大幅な省エネを要請されている。これが達成されれば当然原発は必要なくなる。まさに「ファクター5」が主張する世界に近づく。小ブログが啓蒙している「ファクター5」はドイツの環境学者エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ワイツゼッカー博士他が著した本で、5倍のエネルギー効率が現有の技術で達成できことが、建築、交通、農業、重工業の分野別に述べられている。パート2ではそれをこれまで実行されることを阻んできた要因、それを解決する方法が論じられている。
 アマゾンから購入できる。URL: http://www.amazon.co.jp/BC/dp/4750339903/
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