ダンテの森    
11 Nov 2011   07:42:33 am
再生可能エネルギー(5)
デンマークの風力発電

昨日のNHKのゴールデンアワー番組「地球イチバン」をご覧になった方も多いと思う。デンマークのロラン( Lollnad )島を取り上げていた。デンマークは1970年代のオイルショックの際にエネルギー危機に陥り原発導入の議論が巻き起こった。その時にNGOが立ち上がり単に原発反対を唱えるだけではなく、3年間の原発導入への学習期間を要求した。政府はそれに同意し国民に出来る限りの情報提供を行った。結論として1985年にデンマークは原発は導入しないと決定した。原発に代わるエネルギー源として風力発電が発展していったと言う歴史が紹介されていた。その時のスローガンは「決めるのは国民だ!」であったと言う。高度に啓蒙された民主主義国ならではの問題解決方法である。

 当ブログの9月13日にも書いたが、今の世界の風力発電の動向と日本のそれを較べるとその差が余りにも不自然にかけ離れている。現在発電量世界ランキングの1位は中国で42.3GW(ギガワット)、2位はアメリカで40.2GW、3位はドイツで27.2GWで日本は全くベスト10には入らず現在2GWの発電量しかない。昨日の番組でも経済評論家の荻原氏が風力発電の非連続性を指摘する発言があったが、これが現在の日本人に植え付けられた風力発電に対する平均的認識である。

 経済産業省が原発を推進したい余り、他の再生可能エネルギーには全て蓋をしてしまっており、メディアはそのお先棒を担いでいた結果、日本人の意識に風力発電や太陽光発電はお天気まかせであてにならないエネルギー源であるとの常識が刷り込まれてしまっている。このいずれも出来る限り広い範囲に立地する事でお互いに補完しあうので電力が途絶えてしまう事が無いような運用が可能なのである。

 アメリカや中国は表向きには京都議定書に批准しないなど地球温暖化対策に消極的な印象を与えているが、実際には着々と次世代エネルギー源を構築しつつある。国家のエネルギー戦略が存在している。日本には産業保護の政策が有るのみで国家戦略は残念ながら無い。

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03 Nov 2011   01:41:38 pm
EUのプレスリリース(2)
EUでの世論調査の結果、EU市民の心配は経済問題よりも環境問題


昨日に引き続いてEUでの世論調査の結果です。
◆調査対象者の68%は気象変動を深刻な問題と受け止めている。(2009年の調査では64%であった。)全体の89%が大変深刻、深刻と回答している。10段階評価では今回は7.4(2009年7.1)であった。

◆世界の最重要課題は、と言う問いには、貧困、飢餓、水不足がトップとなり、次が環境問題で51%(2009年は47%)で経済問題は3位であった。

◆環境問題と戦う為にエネルギーの効率をアップする事は、EU経済状況を好転させものであるとしたものは2009年には63%であったが、今回は78%となりその期待度が高まっている事がわかる。

◆EU市民の68%は環境税の導入に賛成である。

◆EU市民はEUが2050年までに環境に優しく低炭素社会になっている事を期待しており、より効率の高い車に乗り、再生可能エネルギーを使っているとしている。

◆環境問題は国家レベルの問題であるとし、21%の市民のみが個人にも責任があるとしているが、23%は積極的に協力するとしている。

◆調査対象者の53%は過去6カ月になんらかの環境対策を実行したとしており、66%の市民は省エネとリサイクルを実行していると答えている。

EU市民の意識の高さを認識しました。

次のURLで原文がダウンロードできます。
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/11/1162&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

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02 Nov 2011   02:10:35 pm
EUのプレスリリース(1)
EUでの世論調査の結果、EU市民の心配は経済問題よりも環境問題

2011年10月7日発表

EU市民の2/3は気象変動を非常に深刻な問題としてとらえ、80%の人はこの問題に対処する事が経済と職場を潤すものと考えていることが分かった。

調査は2011年7月に実施されEU市民は2009年の調査でも気象変動を一番心配していたが、今回も経済問題よりもより深刻としている。またEU27の加盟国は今世紀半ばには環境に優しい低炭素社会が訪れると考えている。

EUの報道官Connie Hedegaard氏は「大変勇気づけられる結果である。EU市民は政治家、財界人に対し環境問題こそが現在最も深刻な問題であり、これに挑戦することが経済状況を好転させるものだと訴えている。3/4のEU市民がエネルギーの効率的利用が新しい職場を創りだすと期待している。」と手放しで絶賛していた。

主な調査結果については明日書きます。

次のURLで原文がダウンロードできます。
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/11/1162&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en


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28 Oct 2011   12:25:03 pm
再生可能エネルギー(4)
インドネシアの地熱発電

オーストラリアの地熱発電については9月6日に書いたが、10月26日付けのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)にインドネシアの地熱発電について載っていた。インドネシアではいまだに電力不足の問題を抱えており都市部でも停電することが有ると言う。インドネシアではスハルト政権時代に地熱発電を最重要エネルギー源と定め開発を進める事に決定されたが、遅々として進んでいない。専門家によればインドネシアの地熱発電のポテンシャルは2万8千メガワットを年間を通じて発電でき、これは現在のインドネシアの総電気使用量を賄っても余りある十分な量である。現在は純石油輸入国となったインドネシアにとっては最重要課題である。政府は現在の1200MWから2025年までに12,000MWにしたいとしている。約8000億円の投資金額となる。
WSJによると開発が進まない理由はお金ではない市場は有望市場として投資を望んでいるが、問題は地域住民との摩擦である。数年前に起きたバリ島での爆破テロのグループは地熱発電の阻止も主張していた。地熱発電の為のボーリングがすぐ近くの地元住民の信仰の対象となっている湖の水を涸れさせると言うのがその事情である。この事件以来地元の知事は開発にゴーサインを出していない。国家のエネルギー政策も市場の圧力も及ばない問題のようである。添付の表で気づくのはこの分野でもアメリカはちゃっかり進めているなと言う感じを持つ。それに比べ十分なポテンシャルを持つ日本は地震に怯えるだけでなく地熱発電にももっと力を入れるべきである。

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26 Oct 2011   02:31:52 pm
航空機(2)
バージン航空の世界初の低炭素航空燃料

ぼくが大好きな現代のビジネスマンは先日亡くなったスティーブ・ジョブスとバージン・アトランティック航空のサー・リチャード・ブランソンである。二人に共通していると思うのは人を喜ばせる夢を追い続けている(いた)事である。スティーブ亡きあとリッキーは長生きして僕らを喜ばせ続けて貰いたい。
10月11日にバージン・アトランティック航空はニュージーランドの低炭素燃料開発企業ランザテック(LanzaTech)社とパートナー契約を締結したと発表した。スウェーデンのバイオ燃料開発技術を使い、従来製鉄所が排ガスとして処分していたCO2を回収して、発酵させ、化学的工程を経たのちジェット燃料を作りだすと言うものである。
バージン・アトランティック航空によると2〜3年のうちにこの新燃料で上海とデリーからロンドン便を運航したいとしている。ランザテック社は精製設備を上海とデリーに建設する。将来は英国内の製鉄所のレトロフィットも行って行きたいとしている。この新航空燃料による航空機の運航は従来のジェット燃料の半分のCO2排出量に換算される。
現在ニュージーランドにパイロットプラントがあり、近いうちに実証実験設備を上海に建設する。最初の商業施設は2014年に中国に建設される。
詳しくはつぎのURLをご覧ください。英文のみですがビデオへのリンクもあり、そのビデオの中でリッキーがこの新燃料の事を本当に楽しそうに興奮して話す表情を見て戴きたいと思います。

http://changeisintheair.virginatlantic.com/world-first-low-carbon-aviation-fuel-for-virgin-atlantic/

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