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01 Aug 2012 11:12:31 am |
光冷暖房の話 |
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省エネ冷暖房システムの新しい考え方
遠赤外線のパワーを利用した光冷暖房システムについての本、佐々木久夫著「遠赤外線 光冷暖房」(人間と歴史社)を読んだ。
地球温暖化ガス排出源のトップは建築物(住宅、商業ビル、公共建築、工場など)で全体の40%を占めている。その上、この分野は新興国ではものすごい勢いで伸びており、2030年まで新興国では増え続け、その後は後発新興国が続くと見られている。その為この分野でのグリーン化は最重要課題である。この分野で消費されるエネルギーの約40%は冷暖房により消費されている。
大規模建築物の躯体はコンクリートであるが、コンクリートは熱の良導体である上に蓄熱体でもある。その為冬は冷気を吸収して冷たくなり、夏は熱を吸収して熱くなる。殆どの建物はその熱を室内に伝えにくくするする為にコンクリート壁の内側にグラスウールなどの断熱材を貼っているが、コンクリートそのものが保熱、保冷材の役目をして、冬はより冷たく、夏はより熱くしている。
そこで快適に生活する為に、大量のエネルギーを消費するエアコンを設備して力ずくで室内の空気の温度を調整しているのが現代の冷暖房システムである。それを解決するのが「外断熱」である。コンクリートの外側を断熱材ですっぽりくるんで断熱することで、ビル全体が外気温と断熱される。したがって冷暖房のエネルギーが最大80%も省エネできる。
このエアコンの原理は空気を熱媒体として使っている。空気は断熱材で温度の伝達が大変悪いそれを使うのでエネルギーを大量に消費する。
遠赤外線と言うと暖める働きとしては知られていても冷やす力が有る事は知られていないが、室内の壁を全て遠赤外線を良く吸収するセラミックの塗料でペイントし、部屋に畳1畳大のセラミック製熱交換器一基を設置してその中に夏は10℃前後の冷水を冬は40℃前後の温水を流すことで、部屋全体が快適な温度になると言う画期的な技術である。なぜ、一基で良いかと言うと光の性質、直進、屈折、反射、回折で壁のセラミックに当った遠赤外線が隅々まで行き渡るからである。
なぜ冷えるのかと言うと、人間、ペットや機器が出す放射熱(遠赤外線)が周りのセラミックに当り最も温度の低い熱交換器まで行き着きそのエネルギーを流れる水に放出するからである。トイレの中まで快適になるとの事である。この方法だと空気を媒体としたエアコンより更にエネルギー消費が少なくて済む。
この本のアマゾンURL:
http://www.amazon.co.jp/%E9%81%A0%E8%B5%A4%E5%A4%96%E7%B7%9A-%E5%85%89%E5%86%B7%E6%9A%96%E9%9D%A9%E5%91%BD-%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8-%E4%B9%85%E5%A4%AB/dp/4890071857/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1343787373&sr=8-1
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24 Jul 2012 07:38:41 am |
ソラ―ばあちゃん |
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ベアフット・カレッジは最貧国に希望の光を与えている。
最貧国の最貧の女性のみを対象にしてソラ―照明装置の技術者に育てているインドの「ベアフット・カレッジ」については2012年1月12日と13日に書いた。これは最貧国の最貧の村の最貧の家庭からおばあちゃんを募集してインドで6カ月のトレーニングを受けてソラ―照明装置を部品から自分で作ることを覚え、自分の村に帰って村で最初の電力会社を作ると言うプロジェクトだ。
おばあちゃん達は殆どの人が学校になど一度も通った事が無く文盲である。ベアフットは色と絵と数字だけで、太陽電池パネル、充電器、バッテリー、インバーター、蛍光灯かLEDランプを組み合わせて太陽光照明装置を作る。インバーターの複雑なICチップや部品を基板にはんだ付けするところまで覚える。そうすることで、村に戻って機器が壊れても部品さえあれば修理ができるからである。これまでに先進国や国連の支援で同じようなシステムが電気の無い村に寄贈されても一度壊れると修理ができなかったからである。
おばあちゃん達は自分の孫達が夜間学校で学べるようにと一生懸命に覚える。最貧の子供達は昼間は労働をしており勉強のチャンスは夜しか無い、しかし照明は石油ランプだけであった。電気照明が付いた夜間学校で勉強させたいと言うおばあちゃん達の熱意がこの事業を成功させている。
ベアフットはその他、雨水を溜めて飲料水を作る。ある村の夜間学校の屋根から集まった年間340トンの水で19もの村の4100人に安全な飲料水を提供した。村人の健康管理をおこなう保健婦さんのトレーニングも行う。生理ナプキンの製造法を教えるコースもある。幼児教育の為の保育士としてのトレーニングもある。幼児は労働力にならないので時間が有る、この子たちに学ぶ楽しみを教える事で夜間学校に通う子供を増やしたいからである。さらに太陽熱温水器、太陽光調理器、井戸水のくみ上げポンプ、織物、工芸品などのコースもある。
実在のソラ―ばあちゃんのプロファイルを紹介する。
ヌーラヤミ・エネ・ルヤさん1971年生まれ。文盲。子供6人。孫9人。居住村:ナラシャ(ケニア)。土地:7エーカー。家:泥とトタン。家畜:30頭。家の職業:農業。飲料水:1km先の川から。近くの都市:400km。
ミラ・デビさん、1972年生まれ。文盲。子供3人。孫4人。インド。家畜:7頭。家の職業:農業。土地:3ヘクタール。家:泥製1間。年収:24,000ルピー(34,000円)。近隣の都市まで50km。
なぜ、おばあちゃんでなければならないのか、男に教育を施すと金儲け主義のビジネスにして、成功すると村を出て行くからである。
ベアフット・カレッジのホームページ:
http://www.barefootcollege.org/
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22 Jul 2012 07:44:11 am |
新興国のCSR |
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2012/7/20 GreenBiz.com Guy Morganの記事から
中国、インド、ブラジルは「持続可能な開発」を再定義しようとしている。
過去20年間にはこれらの新興国にとって「持続可能な開発」は西欧諸国から持ち込まれた、いわば、お客さんがそうしろと言うから行う受動的なものであった。しかし、ここ数年の経済状況の変化はそのバランスを変えた。そして天津で開かれた世界経済会議や、先だって開かれたリオ+20等でホスト国を務め国際的な発言力も強くなってきている。
これらの新興国は現在、経済のファンダメンタル、環境問題、格差などの社会問題に直面しており、この問題解決にCSR(企業の社会的責任、Corporate Social Responsibility)を経済活動の柱にしようと動き始めた。その為には、持続可能な開発が重要課題となり、国内企業が能動的に取り組むように変わってきた。
中国では、これまでの公害防止、人道的労働環境、製造責任と言った取り組みから、グリーン経済への移行をこれからのビジネスチャンスと捉えるような変化が起きている。また中国の国営企業には、温情主義で果たしてきた地域の社会基盤的な一面がありこれは中国的CSRとして残す動きもある。
インドでは歴史的に企業のCSRは社会的課題である不平等、貧困にどう対応するかであった。教育機会の不平等や医療保険制度の不備から生じている社会的ギャップを埋める存在としての企業への期待がインド社会には存在する。
ブラジルでは中国、インドよりも社会的側面はバランスが良いと言える。世界はブラジルに対しアマゾンの自然保護を最重要な持続可能な開発への鍵として要求し続けてきた。世界中からの資本がアマゾンの自然保護に注がれている。しかし、ブラジル政府のお役所仕事ぶりは有名で、西欧諸国の企業では「ブラジル割増」を原価計算に加える。この国が直面している問題は「人材不足」の一言に尽きる。企業は人材を作ることが最重要のCSRと考えている。
このように、中国では企業は人々の調和の中心となるものであり、インドでは橋を架け、病院を作るものであり、ブラジルでは学校の代わりをしている。
しかし、いずれの国も持続可能な開発しか自らの国の発展は無いと理解しており、グリーン経済への移行へと舵を切った。
わが、日本は失われた20年からいまだに立ちあがることができずにいるが、経済再生をグリーン経済指向で進めると言う話は聞かない。もし今でも日本が環境大国だ等と思っているとしたら、間もなく新興国に水をあけられる。
原文:
http://www.greenbiz.com/blog/2012/07/20/how-brazil-china-india-redefining-sustainability
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21 Jul 2012 09:51:19 am |
異常気象と地球温暖化 |
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微妙なバランスの上に成り立っている地球の環境
九州の集中豪雨で多くの犠牲者が出た事に心より追悼の意を表します。
気象庁は「これまでに経験したことの無い豪雨」と言う表現を使ったが、これからはもっと「これまでに経験したことの無い気象」を経験することになる。もともと雨の多い地域では洪水が起き、乾燥した地域では旱魃が起きている。インドの旱魃は「これまでに無い」ものだし、アメリカ東部の熱波も「これまでに無かった」ものである。
地球は多様な生命を育む事ができる数少ない奇跡の惑星である。地球は46億年かけて現在の状態になった。地球の気候は、他の惑星に較べて著しく不安定である。数日単位でめまぐるしく変わる天気、この様な惑星は我々が現在観測し得る範囲には無い。どんなに激しい台風が来ても数日経てば必ず穏やかな天気にもどる。他の惑星では強烈な嵐が何ヶ月も何年も続いているのが観測されている。
地球の気候は太陽から受けるエネルギーにより海の水が蒸発し、雲となり、雨となって地表に注がれると言う水のサイクルに支配されている。一日単位で変わる大変不安定な状態で、微妙なバランスの上に成り立っている。このバランスにとっての1℃と言う温度差はとてつもなく大きい。
これまで、コンピュータシミュレーションで地球の温度がどれくらい上がると我々の生活に致命的な影響をもたらす変化が有るかをIPCC(気候変動に対する政府間パネル)は計算して2℃がその限界であるとしており、現在国連環境計画(UNEP)が世界に呼び掛けて地球温暖化防止に取り組んでいる。過去にはこれに異論を唱える国も有ったが現在は無い。
アメリカのローレンス・リバモア国立研究所のポール・J・デュラック(Paul J. Durack)は海面の塩分濃度を計測したデータを統計処理することで、実測値で証明する事に成功した。太陽光が強く蒸発が激しい海面の塩分は上がり、雨が降り注いた海面の塩分濃度は下がる。地球の71%は水で覆われている。そして水の97%は海にあるので海の海面温度と塩分濃度を解析すれば地球の気候の変化が分かることになる。幸いな事に航行する船舶がサンプルした海水のデータや、各国の気象観測船や定点観測ブイのデータなど海面の温度、塩分濃度のデータは十分に蓄積されている。
この研究の結果驚くべき結果が出た。過去50年間に地球の温度は0.5℃上がったが、水のサイクルの速さは4%も加速されている事が分かった。これはIPCCのシミュレーション結果の倍の速さで有る。IPCCの発表を大げさであると異論を唱えた学者も過去には大勢いたし現在も居るが、この研究結果はIPCCの結果は大変保守的で有ったと言う証明になる。
水のサイクルが早まることは気候がますます狂暴になると言う事である。地球はエネルギー消費を80%改善する事で気温の上昇を止めることができる。1日も早くエネルギー政策を転換しないと孫達に地球を引き継ぐ事はできなくなる。
2012年4月27日のニューヨークタイムスのURL:
http://www.nytimes.com/2012/04/27/world/study-hints-at-greater-threat-of-extreme-weather.html?_r=1&pagewanted=print
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20 Jul 2012 05:56:51 am |
食糧の安全保障 |
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国連環境計画(UNEP)が報告書で警告:食料安全保障を支える生態学的基盤が弱体化
UNEPは6月20日、リオデジャネイロで新たな報告書『将来における飢饉の回避:持続可能な食料システムを通して食料安全保障の生態学的基礎を強化する(Avoiding Future Famines: Strengthening the Ecological Basis of Food Security through Sustainable Food Systems)』を発表した。
報告書によると、食料生産を支える生態学的基盤が人類の経済活動の為に悪化し脅威に直面しているとしている。増え続ける人口を支える食糧安全保障を確かなものにするためには、世界は早急に、根本的な生態学的基盤の維持と強化に集中的に取り組まなければならないとのこと。
そして現在70億、2050年には90億になろうとしている人口を養うためには、自然が提供する環境サービスを受け入れることが、食料安全保障にとって不可欠であるとしている。
また食糧サプライチェーンの複雑化が食糧を効率的に消費者まで行きわたらせておらず、年間総生産量の1/3が失われ、あるいは廃棄されており、その量は年間13億トンであるとしている。
またこの報告書では、農業と漁業システムを脅かすものとして気候変動が挙げられている。たとえば気候変動やその影響によって作物の育つ場所が変化し、またゆくゆくは生産量が減少することで、農業に対する脅威は深刻化するとしている。
原文のURL:
http://www.unep.org/newscentre/Default.aspx?DocumentID=2688&ArticleID=9189&l=en
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