ダンテの森    
01 Sep 2012   09:45:05 am
せっかちすぎる人類
長い時間のスパンでサイクルを繰り返す自然

 世の中に存在する物質は全て、濃縮―拡散―濃縮―拡散の流れを繰り返している。それが、水であれ、鉄であれ、木であれ、プラスティックであれ同じである。ぼくたちが手に触れる事ができるのは濃縮している段階である。水は濃縮された状態で手に触れる事ができるが、拡散すると水素と酸素になって手で触れることはできなくなるし、目でも見えない。

 金属は何億・何千万年と言う悠久の時を掛けて濃縮されて金や鉄になっている。木は何百年掛けて炭素と水素を太陽光の力をもらって濃縮して木を作る。木の分子構造はものすごく複雑で、写真(上)の白い色の部分でセルロースとへミセルロースで出来た籠状のものである。この分子をつないでいる接着剤の働きをしているのがオレンジ色のリグニンである。リグニンがたくさんの籠をしっかりつないで100メートルもの高さの木を作っている。この構造は伐採された後も変わらず、法隆寺の心柱のように1200年も塔を支えている。

 人間は木を使いやすい形に切って加工して家や家具を作る。そして使わなくなると燃やしてしまう。また紙として使う場合はセルロースだけを取り出して紙にして、使い終わるとそれも燃やしてしまう。焼かれた木材や紙は炭素と水素に拡散して大気の中に溶け込む。

 木のサイクルは自然界では数100年単位であるが、人間が使うと紙なら数年、材木としてでも数十年のサイクルで有る。この時間の流れの違いに人類はこれまで思いをはせる事が無かった。金属は数億年、化石燃料は数百万年と言う悠久の時間を掛けて濃縮されたものである。それを人間は数年で拡散させてしまっている。ここに持続可能では無くなる原因がある。人間は余りにもせっかちで有る。最近の企業は1四半期毎の決算の数字が重要で、もう人間の生活サイクルよりも短いサイクルで経済活動が動いており、持続可能な社会からますます遠ざかる傾向にある。

 三重大学の舩岡正光教授は、リグニンを分離する技術を開発し、リグニンとセルロースを混ぜて常温で固まる木材プラスティック(写真下)を開発した。この木材プラスティックは分解して再び別の形に成形する事ができ、木材を長期間使い続ける事ができ、少しでもサイクルを延ばす事ができる。

未来館のホームページ
http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/deep_science/topics/18/01.html
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31 Aug 2012   06:43:04 am
残飯ゴミの再利用
GreenBiz.com 2012-08-30 Rachel Nuwerの記事から

パンの食べ残しをプラスティックに

 香港のスターバックスコーヒーは、香港の全てのスターバックスコーヒーから売れ残ったパンやケーキ類を集めてプラスティックの原材料にリサイクルする研究を支援している。香港スターバックスコーヒーは今年から「この惑星を守ろう、キャンペーン」を展開している。キャンペーン用に用意されたコーヒーとクッキーのセットを注文すると、そこから8香港ドル=1米ドル=79円が環境問題に取り組む大学の研究室に寄付されるシステムである。

 香港市立大学の研究室もこのキャンペーンから6400ドル(約50万円)の補助金を受け取っている。この研究は世界で出される13億トンの食物ゴミをプラスティック原料に変えようと言うものである。

 そのプロセスは、パン類を良く撹拌した後、菌類を投入して炭水化物を単純糖グリコ―スと果糖に変える。その後少量の窒素で微生物を活性化させて発酵させる。微生物は糖分を食べてコハク酸に変える。このコハク酸が取り出したい生産物である。コハク酸は、価値の高い原材料で、顔料、樹脂、自動車部品、洗剤、プラスティック、医薬品など用途も大変広い。

 科学者たちは、化石燃料に由来しない原材料とするバイオプラスティックの持続可能な原材料として注目している。

 香港市立大では、パン類以外の残飯もレストランや学生食堂から回収して研究しており、ごはん、麺類、野菜、肉などでも試している。でんぷんとタンパク質を含むものは全てリサイクルが可能であるが、そのプロセスはそれぞれ異なる。ただ、コーヒーかすはバクテリアを不活性にする働きが有り使えないことが分かっている。

原文:
http://www.greenbiz.com/news/2012/08/30/pastry-plastic-starbucks-food-waste

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29 Aug 2012   08:29:24 am
中国の意欲的な計画
SustainableBusiness.com 2012-08-27より

中国が持続可能社会へ向けて積極的投資

 中国政府は来る3年6ヶ月の間に総額3720億ドル(約30兆円)を省エネと公害防止対策に投資すると発表した。

 これは第12次五カ年計画の一環で、現在中国が依存している化石燃料からの脱皮をはかろうとするもので、CO2の排出を低減する事を目標にしている。政府は省エネ、地球温暖化ガス(GHG)の低減、資源のリサイクルに集中してこの予算を消化するとしている。

 この投資により、2015年にはGHGの排出量を2010年時の-15%を達成するとしている。中国は現在、世界最大のCO2排出国であるが、当計画の実施により、2020年には単位GDPあたりのCO2排出量を2005年時の-40〜-45%に低減するとしている。

 この予算の詳細については発表されていないが、1550億ドル(約13兆円)は、重工業におけるエネルギーおよび資源の効率化使用プロジェクトに投入されるとしている。

 中国工業情報省(MIIT)によると、エネルギー関連のCO2排出量を2015年までに21%低減するとしており、特に製鉄分野では25%のGHG低減が求められている。その他石炭火力発電所は8%、セメント産業は3%のGHG排出量の低減が求められている。

 中国は現在世界のGHGの29%を排出しているが、この計画により汚名を挽回したいとしており、石油、石炭、天然ガスの輸入量を低減したいとしている。

 建築セクターでは、グリーンビル化が進行中で2020年には30%のGHG低減を目指している。


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26 Aug 2012   11:35:04 am
石油資本の持続可能性
GreenBiz.com 2012-8-23 Robert Kroppの記事より

新たな化石燃料を探し続けるオイルアンドガス企業達

 ドイツにエーコム・リサーチ(oekom reserch)と言う、世界の企業、国際組織、国の持続可能性の格付けを行っている会社がある。世界850の企業、債権を発行している100の国際機関、OECDをはじめとする51の国家の格付けをおこない、投資家に対して情報を提供している。
http://www.oekom-research.com/index_jp.php

 最新のエーコム報告によると、オイルアンドガス業界の興味は専ら新化石燃料の開発に注がれており、持続可能性についてはスローガンはあるものの、カラ回りしている状態であると報告されている。

 評価された149のオイルアンドガス企業の内、持続可能性評価できた企業は26社しかなく、その他は評価に必要なデータが無いか公開されておらず評価不能であった。26社のうち9社のみが持続可能性企業としての最低基準に達していた。

 エーコム報告は、オイルアンドガス企業の全体像として、「環境に対する態度は中途半端」と評価している。例えば、Hess、Statoil、Totalの三社のみが、オイルサンドやシェールガスの採取における、地球温暖化ガス排出基準を設けているだけであり、他社には基準さえ無い。

 オイルアンドガス企業は現在、株主からの新化石燃料開発への強力な圧力を受けており、一部の大企業は、まだ採掘が始まっていないオイルサンドやシェール・ガスを既に財務諸表に組み込んでいる。これらの企業は新化石燃料の開発を緊急課題にしている。このような火急な開発は、メキシコ湾の深海油田漏出事件や、北極海油田の爆発など、地球環境を破壊する大事故を招く可能性が高いと警告している。

 さらに、オイルアンドガス企業の40%の経営は腐敗しており、権益と利益を守る為に法律で禁じられている談合による価格操作を続けていると報告している。業界の経営の透明性は悪く、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)はそれを指摘はしているが、改善の見通しは立っていない。

 この問題の解決には、政策立案者の強力なリーダーシップによる改革が必要で、これまでのように業界団体の自主規制に委ねる方法では機能しないとしている。

原文:
http://www.greenbiz.com/news/2012/08/23/sustainability-management-oil-slippery

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24 Aug 2012   10:08:03 pm
バイク・シェアリング
自転車の共同使用で自動車の排ガスと燃料消費を大幅削減

 シティバイクはニューヨークの交通の革命的な改革になる。ニューヨーク市は大々的なバイクシェアリング・システムを来年3月に開始する。

 シティバイクは会員が市内600ヶ所のステーションから合計1万台の自転車を利用する事ができる。まずは、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ地区でサービスが始まる。このサービスは民間企業NYC ShareLLC社が運営し、シティバンクとマスターカードがスポンサーとなりニューヨーク市の出資は無い。

 統計によるとニューヨーク市内の移動の54%は2マイル(3.6km)以下である。この距離は自転車移動が最も早く目的地に到着する。これまで、タクシーや自動車で移動していたものが、自転車に置き換えられる事で地球温暖化ガスの排出量を下げることになる。

 ニューヨーク市は2002年から自転車レーンの拡充に努力をしてきており現在総延長450kmの自転車専用レーンが整備された。これ以外に公園内や緑地に従来からあるサイクリングロードの総延長が1000kmあり、自転車ライダーには夢のような環境が整った。

 バイク・シェアリングの会員になるには年会費95ドル(7,200円)で、一回の使用が45分以内、移動距離が3マイル(4.8km)以内であれば、追加料金なしに何回でも使える。時間と距離が超過した部分は超過料金を払う必要がある。

 利用者は600ヶ所のいずれかのステーションキオスクと言うターミナルに決まったコードをインプットする事で、自転車を借りる。返す時は目的地近くのステーションにドックして使用が終わる。週間パスや1日パスも用意されているので、来年3月以降にニューヨークへ行かれる方は自転車での移動を楽しんでもらいたい。

原文:
http://citibikenyc.com/home

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