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17 Mar 2015 07:07:10 pm |
鳩山氏のクリミア訪問 |
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鳩山由紀夫氏のクリミア訪問に対する日本のマスメディアの反応はにべもない。元盟友の岡田民主党代表もけんもほろろである。なぜこうも日本人はものごとを、一元的に見ようとするのだろうか。ロシアの広報サイト「ロシアの声」の扱いは当然のことながら全く違っていた。皆さんは恐らくご覧になる事が無いサイトだと思うので、敢えて取り上げた。日本のマスメディアの言う事だけを聞いていると、あらぬ方向に誘導されてしまう恐れがある事を心得てマスメディアの情報も丸飲みする事無く吟味することが重要である。<ブログ管理人>
日本はクリミアを支援できるはず
ロシアの声 2015年3月12日 19:21
鳩山由紀夫元首相が率いる日本代表団のクリミア訪問が12日、英雄都市セヴァストーポリへの訪問をもって終了する。鳩山氏によると、訪問の目的は、クリミアの住民がロシアへの再統合を求めたことを個人的に確認すること。
11日、鳩山氏は記者会見で、2014年3月16日に実施された住民投票の結果は、クリミアの住民の現実的な意思表明を反映したとの考えを表した。鳩山氏は、次のように語っている。
「私たちはこちらに伺っていろいろとお話をうかがう中で、クリミアの皆さん方が住民投票をウクライナの憲法にのっとって平和裏に民主的に行っていたと。そしてまことに民主的な手続きのもとで、ロシアに皆さん方の意見を統合する形で編入することにしたということでございます。ただこの事が必ずしも日本にも正確に伝わっておりません。それで私たちは日本の皆さん方に歴史的なクリミアの状況や、あるいは編入して1年経ったクリミアの皆さま方の気持ちがどのようにさらに変化をしていっているのかを伺いながら、日本の皆さんに正確な情報をお伝えしたいと思って、こちらに参りました。」
鳩山氏によると、日本が対ロシア制裁に加わらなければ、日本はクリミアの産業ポテンシャルの発揮に役立てたはずだという。鳩山氏は、次のように語っている。
「制裁がなかった場合には、日本とクリミアとの間で、私はまずは、工業、産業のいわゆる技術意見というものを力強く協力することが可能ではないかと思います。クリミアはウクライナ(の一部だった)20年余り必ずしも産業が伸びてこなかったと伺っています。いま潜在的に能力を持つクリミアの皆様方がいわゆる先端の技術も含めて、日本の技術威力というものの協力を求めていくことが、もし制裁が解除された場合にはすぐに可能になるのではないかと思っています。」
鳩山氏は、ロシアに新たに加わったクリミア共和国と日本との間の文化、人道交流の発展につくす覚悟を表し、文化交流、人的交流のおかけで政治問題解決をも含む条件を生み出すことができると信じたいと祈念している。
また鳩山氏は、クリミアの町並みの様子が、欧米のメディアが報じている内容と一致しているか?とのジャーナリストからの質問に対し、次のように答えた。
「クリミアに来てまだ2日目ではございますけれども、大変皆さんが幸せそうに平和に暮らしておられるということをこの目で拝見しています。一方的にロシアの圧力のもとで編入をさせられたということではまるでなくて、むしろ自分たちの意思で、強い意志で結論を出されたということで、当然、戦車などが存在しているのを見ているわけではありません。このように西側の情報が、非常に変更して伝えられてしまっていること、私たちは大変恥ずかしく思っています。むしろ事実を事実としてしっかりと受け止める勇気を私たちは持つべきではないかと思います。」
鳩山氏は続けて、ウクライナ東部の状況や、ルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国が世界に認められる日がくるだろうか?という質問について、次のように語った。
「一番大事なことは、民族、その地域に住んでおられる皆さん方の意向が最終的に認められる状況というものをつくるということをできるだけ早く実現することが国際的な国々のやらなければならない責務だと思っています。ウクライナ東部で起きていることは大変な悲劇だと思っています。私ども日本人の多くは、東ウクライナとクリミアで起きていることが全く違っていることを理解していないと思っています。その意味でも、私たちがクリミアに来させて頂いた意義があると思っています。大事なことは武力ではなく対話によって問題を解決するという努力を極力積極的に両者が行うようになる(ことだ)と思っています。」
鳩山氏は、今回の訪問が日本政府の立場に反するとして批判が出ていることについて、次のように答えた。
「日本政府は基本的に欧米とくに米国の意向を気にするものですから、クリミアの問題に関して欧米と同じ対応をするということで現在制裁を加えている立場にあります。その立場からすると、制裁をしている状況の中で、日本人がクリミアに行くのはけしからん、というふうに政府は思っているかもしれません。しかし私は外交というものは幅広く考えるべきであって、必ずしも外務省の考えだけが正しいとは思っていません。むしろ正確にこの地域の人々の気持ちというものを理解をして、平和裏に問題を解決していったクリミアの皆さん方が、希望してロシアに編入されたという事実を日本の皆さんにもっと知っていただくことこそが私たちがやるべきことではないかと思います。その思いのもとで、必ずしも政府の立場に沿ってはおりませんが、むしろだからこそ来る価値があると、そんな思いのもとで、みんなやって参っております。」
日本外務省は、 鳩山元首相のクリミア訪問を批判した。菅官房長官は、「総理大臣まで経験した人の行動、発言とは思えず、極めて軽率だ」と述べた。NHKが伝えた。一方で、そもそも鳩山氏はすでに議員ではなく、もし日本の政治活動や決定の承認に何らかの影響を与えることができたとしても、それは非常に限られている。しかし!鳩山氏のクリミア訪問の印象や、鳩山氏の発言は、いずれにせよ日本人の耳に届く。そして、これが日本の人々が状況を別の視点から考え、見るきっかけとなるかもしれない。まさにこれこそが、日ロ協会の指導者である鳩山氏の目的だったのだ。
原文URL: http://japanese.ruvr.ru/2015_03_12/283306966/ |
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12 Mar 2015 02:44:09 pm |
メルケル日本訪問 |
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優しく批判することに努めたメルケル首相
南ドイツ新聞 2015年3月9日
■日本とドイツは通常は協調しているような印象を与えている――しかし、今回の訪問ではメルケル首相はいくつかの批判的な課題も持っていた。
■日本は福島原発事故にも関わらず原発の再稼働をめざしていることと、第二次大戦における日本の戦争犯罪を無視する態度に出ていることである。
■この二つの問題をメルケルは、間接的にかつ大変優しい表現で指摘するにとどめた。
東京発:ロベルト・ロスマン(Robert Rosmann)
アンゲラ・メルケルは首相在任10年間で数百回の海外訪問をしているが今回のような出迎えは始めての事であった。「おはようございます。首相!」声をかけたのは、アシモと言う名の日本ではかなり有名な少年である。彼は、ホールの中を走り回りフットボールを蹴って全身で喜びを表現した。メルケル首相は大変喜んだ。アシモと言うのは人間では無く、人間に似せて作られたヒューマノイドと呼ばれるロボットのことである。
メルケルが東京に到着して最初に訪問したのが「未来博物館」であった。技術に強い首相を最初に出迎える役を仰せつかったのがアシモと言うわけである。歓迎が終わりに近づいた時に首相は突然アシモに近づき、ありがとうと握手をしようと手を差し伸べたが、残念ながらアシモはメルケルの意図を理解できずそれに反応することができなかった。
これに始ったメルケルの日本訪問で、メルケルを理解できなかったのはアシモだけではなかった。
メルケルは批判せず――説明するのみ
メルケルが東京に来たのは、バイエルン州エルマウで開かれるG7サミットの準備の為である。ドイツは、先進7カ国会議の議長国である。ロシア、ウクライナ、シリアなどの問題に対しては、ベルリンと東京の関係は大変に良好で両国は「手に手をとって」と言う感じである。しかし今回の訪問では、メルケル首相は、東京に対して少しでは有るがこの2年間にたまった不満を鞄に詰めて行った。
水曜日には福島原発事故発生から丸4年を迎え、日本におけるエネルギー政策はこの訪問では避けて通れない。安倍首相は、ドイツが間違った方向であるとする原発の再稼働を進めている。メルケル首相は、日本が他の諸国に向けて、頻繁にドイツとは反対の事を説いていることを知っており、それを批判することは避けることにしたのである。そして、そのかわりに何故ドイツが脱原発の道を選んだかを説明するにとどめた。
日本の有力紙の一つである朝日新聞の歓迎レセプションにおいてメルケル首相は、自らが原発推進に努めた専門家の一人であった事を強調して聴衆の興味を引くことに努めた。しかし彼女の努力が報われたとは言えず、同じ日の夕方開かれた記者会見で、安倍首相は福島原発事故の前日本の電力の1/3は原発であり、将来も原発をやめる気は無い事を冷たく言い放っている。
さらに気になったのは、安倍首相の別の問題に対する不理解である。今年日本は第二次大戦から70回目の終戦記念日を迎える。第二次大戦中日本も周辺国に対しひどい仕打ちをしているが、ドイツと違いその責任の所在を明らかにしていない。右寄り保守派の安倍は、戦争犯罪を相対化しようとした。彼の政府は、リベラルとして認められている朝日新聞にも注意を払っている。
安倍のチームは、この新聞が一年前に犯した従軍慰安婦に関する誤報を理由に、旧日本軍の従軍慰安婦問題そのものをなかった事にしようと躍起である。それを知るメルケル首相は彼女の意思表明として、ことさら朝日新聞を今回の訪問で選んでいる。
友好的であった天皇との会見
メルケル首相は、月曜日朝の日本政府との会合で直接的には言及することなく、自らの歴史認識を話す事からはじめた。ドイツは第二次大戦を始め、大量虐殺をおこなった責任があるのにもかかわらず欧州の仲間に戻してもらう事ができたのは、その責任が自らに有った事を明確にしたからであると述べた。過去の清算は「和解を得るための前提条件」であり、ドイツには周辺国からその理解を得る事ができたと言う幸運があった。
日本の公共放送テレビ局であるNHKは、メルケル首相のこのように綿にくるんだような間接的な表現での批判をどのように報道したか。月曜夜のニュースでNHKは、メルケル首相の最初の訪問先が朝日新聞であったことを報ずる事はなく、スピーチの内容も「ドイツには周辺国からその理解を得る事ができたと言う幸運があった」とメルケル首相が述べたところだけが報じられ、ドイツがその為に周辺国に対し戦争責任の所在を明確にしたことには触れることはなかった。記者会見における安倍首相も、この点に触れる事は無かった。
安倍もアシモも、メルケル首相の日本訪問に安らぎを与えることは無かったが、そのかわりに天皇陛下との語らいが際立って良いものとなった。天皇陛下は魚類と海洋生物の研究を長年続けておられ、メルケル首相にとっては気候変動と海洋汚染と言う二つの話題は次のG7のテーマでもあり話が弾んだ。ドイツ首相府は、天皇との会見は予定時間を大幅に超過したと鼻高々で発表した。それによると、メルケル首相はリヒャルト・ワーグナーの「タンホイザー」の直筆のピアノ譜面を贈呈したところ、チェロ奏者としてクラシック音楽に造詣の深い天皇は事の他お喜びになったとしている。
原文(ドイツ語)URL:
http://www.sueddeutsche.de/politik/besuch-in-japan-merkel-versucht-es-mit-hoeflicher-kritik-1.2384590
翻訳:ブログ管理人 |
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05 Mar 2015 11:04:23 am |
報道の自由度ランキング |
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「報道の自由度」ランキング、日本はなぜ61位に後退したのか? 日本大学大学院新聞学研究科教授・福田充
THE PAGE 3月4日(水)17時29分配信
国境なき記者団が発表する「世界報道自由度ランキング」で、2015年に日本が順位を61位まで下げたことが大きく報じられた。その理由は何なのか。言論・報道の自由が保障されている「はず」の日本に対して、なぜそのような評価がなされるのか。その背景を考察したい。
世界報道自由度ランキングとは?
「国境なき記者団」(Reporters Without Borders, http://en.rsf.org/ )は、世界の報道の自由や言論の自由を守るために、1985年にパリで設立された世界のジャーナリストによるNGOである。活動の中心は、世界各国の報道機関の活動と政府による規制の状況を監視することであり、その他にも、世界で拘束された記者の解放や保護を求める運動や、戦場や紛争地帯で危険に晒された記者を守る活動など、幅広い活動が展開されている。
その中心的な活動である世界各国の報道機関と政府の関係についての監視と調査の結果をまとめた年次報告書が「世界報道自由度ランキング」(World Press Freedom Index)である。これは2002年から開始された調査報告書であり、世界180か国と地域のメディア報道の状況について、メディアの独立性、多様性、透明性、自主規制、インフラ、法規制などの側面から客観的な計算式により数値化された指標に基づいたランキングである。つまり、その国のメディアの独立性が高く、多様性、透明性が確保されていて、インフラが整備され、法規制や自主規制などの規制が少ないほど、メディア報道の自由度が高いとされる指標である。
世界的なトレンドは?
2002年から2015年までの間で13回発表されているが、国際的には、フィンランド、ノルウェー、デンマークなどの北欧諸国の報道がランキングの上位を占めてきた。一方で、毎年の変動はあるものの、アメリカやイギリス、フランスといった先進国は、その時代情勢によって10位代から40位代の中間よりやや上位を推移している。また、中国や北朝鮮、ベトナム、キューバといった社会主義諸国のランキングは170位代前後を推移し、常に最下位レベルである。中東のシリアやイラン、アフリカで紛争の続いたソマリアやスーダンなどのランキングも常に最下位レベルである。このように、国家の体制により、または国内の政治情勢により、政府とメディアの関係は大きな影響を受け、メディア報道の自由度が決まってくるという考え方である。同報告書では、2014年に報道の自由が世界的に低下したとされており、その一因をイスラム国やボコ・ハラムなど過激派組織の活動によるものと指摘している。
日本の評価は?
日本のランキングは2002年から2008年までの間、20位代から50位代まで時代により推移してきたが、民主党政権が誕生した2009年から17位、11位とランキングを上げた。2008年までの間は欧米の先進諸国、アメリカやイギリス、フランス、ドイツと変わらない中堅層やや上位を保っていたが、民主党政権誕生以降、政権交代の実現という社会的状況の変化や、政府による記者会見の一部オープン化もあり、2010年には最高の11位を獲得している。
しかしながら、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の発生の後、2012年のランキングでは22位に下落、2013年には53位、2014年には59位を記録した。そして今年2015年にはついに過去最低の61位までランキングを下げる結果となった。自由度を5段階に分けた3段階目の「顕著な問題」レベルに転落した状況である。
なぜ日本の順位は後退したのか?
世界報道自由度ランキングのレポートでは、日本の順位が下がった理由を解説している。ひとつは東日本大震災によって発生した福島第一原発事故に対する報道の問題である。例えば、福島第一原発事故に関する電力会社や「原子力ムラ」によって形成されたメディア体制の閉鎖性と、記者クラブによるフリーランス記者や外国メディアの排除の構造などが指摘されている。
戦争やテロリズムの問題と同様に、大震災や原発事故などの危機が発生したときにも、その情報源が政府に集中することにより、「発表ジャーナリズム」という問題が発生する。政府が記者会見で発表した情報をそのまま鵜呑みにして報道する姿勢である。また、同様に戦場や被災地など危険な地域に自社の記者を派遣しないで、フリー・ジャーナリストに依存する「コンプライアンス・ジャーナリズム」の問題も重要である。メディアとしての企業コンプライアンスによって、危険な地域に自社の社員を派遣できないという状況から、危険な地域に入るのはフリー・ジャーナリストばかりになるという構造的問題である。
このような日本のメディアの状況下で一昨年に成立した特定秘密保護法の成立が日本の順位下落に拍車をかけた形である。特定秘密保護法の成立により、戦争やテロリズムに関する特定秘密の存在が自由な報道の妨げになるという評価である。日本が置かれる国際状況や、日本国内の政治状況が大きく変化している現在こそ、日本のメディア、ジャーナリズムに自浄作用と改革が求められている。
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福田 充(ふくだ・みつる)
1969(昭和44)年生まれ。コロンビア大学客員研究員を経て、日本大学大学院新聞学研究科教授。博士(政治学)。東京大学大学院・博士課程単位取得退学。専門はテロや災害などメディアの危機管理。内閣官房等でテロ対策や危機管理関連の委員を歴任。著書に『メディアとテロリズム』 (新潮新書) 、『大震災とメディア〜東日本大震災の教訓』(北樹出版)などがある。
国境なき記者団HP(英語): http://en.rsf.org/ |
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27 Feb 2015 12:37:34 pm |
日本礼賛ブーム |
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特集ワイド:嫌韓・嫌中しのぐ勢い? 日本礼賛本がブームのわけ
毎日新聞 2015年02月25日 東京夕刊
書店で“嫌韓・嫌中本”をしのぐ勢いで売れているのが「日本はこんなにスゴイ!」と褒めたたえる“日本礼賛本”だ。謙遜が美徳、自己PRは下手だったはずのこの国で今なぜ、この手の本が売れるのか。理由が知りたくて、尋ねて回った。【小国綾子】
◇将来不安癒やす安定剤? 震災機に広がり
書店でタイトルを拾ってみる。「ドイツ大使も納得した、日本が世界で愛される理由」「やっぱりすごいよ、日本人」「イギリスから見れば日本は桃源郷に一番近い国」「イギリス、日本、フランス、アメリカ、全部住んでみた私の結論。日本が一番暮らしやすい国でした。」「だから日本は世界から尊敬される」。どれもこの1年間に出版された。
そういえば、テレビでも「所さんのニッポンの出番」「世界が驚いたニッポン!スゴ?イデスネ!!視察団」など外国人に日本を褒めてもらう番組がいっぱいだ。
ブームの「火付け役」の一つは、47万部売れた2010年12月出版の「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」(竹田恒泰著、PHP新書)。担当編集者、藤岡岳哉さんは「当時、正面切って自国を褒める本はほとんどなかった。自国を褒めていいというメッセージが読者に待ち望まれていた」と分析する。
出版の3カ月後、東日本大震災が発生。整然と助け合う日本人の姿が世界から称賛を浴びた。「『日本は素晴らしい』と口に出す人が増え、部数は大きく伸びた」。シリーズ3冊で累計約81万部。3冊目「日本人はいつ日本が好きになったのか」の表紙のキャッチフレーズはこうだ。
<「自分の国がいちばん」とやっと素直に僕らは言えた>
実際、NHKの「日本人の意識」調査(13年)で「日本人はすぐれた素質をもっている」「日本は一流国だ」と答えた人はそれぞれ68%、54%。03年の51%、36%を底にU字回復し、1983年の最高値レベルまで戻している。やはりこのブーム、日本を好きな人が増えたせいなのか。
一方、斬新な書名が話題の「住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち」と「住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち」(川口マーン恵美著、講談社+α新書)。前者は16万部、後者が14万部。いかにも日本礼賛といった題名だが、中身は日本をベタ褒めしているわけではない。教育面を中心に日本にも苦言を呈しており、読後の印象はせいぜい「6勝4敗」だ。
担当編集者、間渕隆さんは「日本を誇る本は売れるので著者と相談の上、少々盛って『7勝3敗』とする予定だったが、ゴロが悪いので『8勝2敗』にした」と種明かしする。「00年代半ばまでは欧米人と結婚した日本人女性が日本の情けないところを指摘する本が売れていた。07年、デュラン・れい子さんの『一度も植民地になったことがない日本』が20万部を超えたあたりで潮目が変わった。震災がその傾向に拍車をかけた」
昨年は「呆韓論」など韓国や中国をたたく書籍が多くベストセラーに入り、「嫌韓・嫌中本ブーム」として注目された。「読者も飽きてきた」(間渕さん)ところで盛り上がったのが、今回の「日本礼賛本ブーム」だ。ネット上では「ヘイト本ブームと表裏一体」「まるで“愛国ポルノ”」などの批判の声もある。
もっとも間渕さんは「日本礼賛本=嫌韓・嫌中本の裏返し」という図式には懐疑的だ。「愛国心を動機に読む人だけなら数万部止まり。16万部も売れません。確かに1冊目は最初、産経新聞の読者層や嫌韓・嫌中本を読む50、60代男性に売れた。しかし読者層は広がり、2冊目は女性にもよく読まれている」
多くの読者を引きつけるには、もっと別の理由があるということか。
過去にも、日本や日本人をたたえる本が売れた時代はあった。「『日本人論』再考」の著者で東大名誉教授(文化人類学)の船曳建夫(ふなびきたけお)さんは、その手の書籍がブームになる背景には常に「不安」があったと指摘する。「明治維新以来、国が苦境にある時も右肩上がりの時にも、日本人論は日本人がアイデンティティーに不安を抱えた時代に流行し、不安を癒やす『安定剤』の役目を果たしてきました」
船曳さんによると、日本人論ブームの第1期は日清・日露戦争の富国強兵の時期の「武士道」(新渡戸稲造著)や「代表的日本人」(内村鑑三著)など。西洋の先進国と比較し、日本をポジティブに評価しようとした外向きの時代だ。第2期は29年世界恐慌から開戦ごろまで。九鬼周造の「『いき』の構造」など「日本は非西洋である」を前提に日本の伝統に価値を求めた内向的な時代。
◇出版側「自主規制」も
第3期は敗戦から経済復興までの半世紀。「『菊と刀』から『ジャパン・アズ・ナンバーワン』まで、右肩上がりでも『これでいいのか』という不安を背景に、長く日本人論が読まれてきた」と船曳さんは言う。「今回は第2期に似ている。第2期の不安の相手は西洋だったが、今は中国や韓国を意識している点が特徴。人口減など将来に不安を抱えた日本人が未来に明るいものが見えないゆえに、古来の伝統や西洋人からの評価に価値や癒やしを求め、日本人、ひいては自分自身のアイデンティティーを守ろうとしているのでは」と分析する。
一方、このブームは出版現場に影を落としているようだ。
中堅出版社の編集者は「売れる売れないだけでなくイデオロギー面でも自粛ムードが漂う。安倍晋三政権批判や、中国や韓国に好意的な本の企画が『反日』出版社というレッテル貼りを恐れて通らない。ジワジワと自主規制が広がっている」。
サブカルチャーをけん引する太田出版の前社長で、今は生活クラブ運動系シンクタンク「市民セクター政策機構」で隔月雑誌「社会運動」を編集する高瀬幸途さんは、「批判的な知性こそが90年ごろまでの出版文化の背骨を支えてきた。しかし今は自国に批判的な言説は読者に嫌われる。編集者は広告代理店のようにデータ分析し、手を替え品を替え売れ筋を狙う。結果、肯定的言説の本があふれ、編集者も読者もそこに溺れている」と語る。
日本礼賛本を「自己啓発本の変種。不安な時代に自己否定的にならず、自己肯定するための実用ツール」と見る高瀬さん、「本は本来、内面の反省を迫る存在だったはずなのに」と懸念する。
船曳さんからはこんな一言も。「適度なお国自慢は望ましいが、『いいことだらけ』とか『世界で一番』とか、他国を見下すところまで行くと、排他的になり、社会は劣化する。自国の首を絞めます」
日本を礼賛し過ぎて、自国の足を引っ張ったのでは笑えない。 |
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25 Feb 2015 01:02:09 pm |
変わらぬ東電の体質 |
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汚染水 外洋に垂れ流し 1年前に把握、放置 福島第一
東京新聞2015年2月25日 朝刊
東京電力が、福島第一原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けるのを放置していたことが24日、分かった。外洋への継続的な漏出を昨年四月に把握しながら公表せず、排水溝を専用港内に付け替えるなどの対策も取っていなかった。(荒井六貴)
東電によると、昨年4月16日以降、一週間に一回、四本ある排水溝の出口付近で流れる水を採取し、放射性セシウムやストロンチウムなどを分析。当初から四本とも明確に汚染が確認され、特に1〜4号機の山側を通る排水溝(K排水溝)では、ほかよりも一段高い濃度を示していた。
例えば、昨年8月26日には、1リットル当たりセシウムが1010ベクレル、骨にたまりやすいストロンチウムなどは1500ベクレルと、水としては非常に高い値だった。日常的に、両物質とも数10ベクレル以上のレベルで推移している。流量は1日当たり約1700トンに上る計算になる。2号機の建屋屋根にたまった放射性物質などが雨で流され、溝に入り込んだ可能性がある。
ほかの排水溝も、K排水溝ほどではないものの、日常的に汚染が確認され、降雨で濃度が上がる同様の傾向を示している。
東電は、一昨年8月にタンクからの高濃度汚染水漏れを受け、タンク群近くのC排水溝の出口は、水が比較的拡散しにくい専用港内に付け替えた。
しかし、東電は他の排水溝は対策を取ろうとせず、昨年4月以降のデータを公表しようともしなかった。
東電は、自社が実施する外洋の濃度測定で、セシウムとストロンチウムなどはほとんどが同一ベクレル以下であるとして、「外洋には影響はない」と説明している。
東電の小林照明原子力・立地本部長代理は「(排水溝内を清掃するなど)できるだけ放射性物質の濃度を下げるという方策を取ってきた。(漏出防止については)重要な項目であるので、検討を進めたい」と話した。
◆東電、今も続く隠蔽体質
<解説> 東京電力は「福島復興への責任を果たす」と強調する一方で、福島第一原発から高濃度汚染水が漏れ続けているのを知りつつ公表せず、対策を講じようともしなかった。東電の隠蔽(いんぺい)体質は今も続き、福島を裏切り続けていたとも言える。
海に出た汚染水は、波や潮流で急速に薄まる。海水魚は取り込んだ塩類をどんどん放出するため、淡水魚に比べセシウムなどを体内にためにくいのも事実だ。
しかし、汚染水は「八」の字形をした原発専用港の中でブロックされているどころか、外洋を直接汚していた。しかも雨のたび通常の100倍の濃度にまで高まる状況。こんな状況を放置していて何も影響が出ない保証はない。
東電の精度の低いモニタリングでも、原発の南北にある放水口近くの海水から時折、1リットル当たり数ベクレル、高い時には10ベクレルを大きく超える放射性セシウムが検出されてきた。こうしたデータは、海の浄化作用でもカバーしきれない汚染が続いていることを示している。
せめて問題の排水溝を専用港内に付け替え、港内の海水を浄化する機能を強化しないと、復興に向けて試験操業を続ける地元の漁業者にとっても大きな痛手となりかねない。
本紙と共同で福島や首都圏各地の放射能汚染調査を続けてきた独協医科大の木村真三准教授は「やはり原発の状況を、東電自身ではなく、第三者がきちんと調べないと、信頼回復につながらないのではないか」と指摘した。(山川剛史)
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以上は、今日の東京新聞の記事である。外海とは太平洋のことであり、太平洋の周囲にはAPEC各国が有る。東電が騙しているのは決して福島の漁民にとどまらない国際社会を騙していることを知るべきである。日本にもドイツに有るような原子力倫理委員会を設置すべきである。ちなみにドイツの原子力倫理委員会には、名だたる原発反対派の論客が名を連ねており、原発賛成派や原子力関連企業の代表は入っておらず、原子力規制委員会を監視する働きをしている。 |
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