ダンテの森    
19 Mar 2013   11:15:05 am
エコ意識調査結果
日本とドイツの主婦を対象にしたエコ意識調査
旭化成ホームプロダクツ(株) 2013-02-28プレスリリースより、

 昨年暮れにぼくがドイツを訪れた時にドイツ人の環境意識の高さを2012-12-14に書いたが、その時訪れた友人宅のタオルがゴワゴワであった。それは柔軟剤は環境負荷が大きいから使わないと、奥さんが話してくれた。とにかく10年ぶりに訪れたドイツの環境意識の高さには驚かされた。

 この調査は日本とドイツの20〜59歳の主婦それぞれ208名(子供の有る主婦104名と無い主婦104名)ずつにインターネットによるアンケートで行われた。その結果、日本、ドイツ共に主婦の「エコ」意識は高く、積極的にエコを取り入れたり実践している事が分かった。しかし、その目的には大きな違いが認められた。日本では8割以上が「節約」が目的であるのに対し、ドイツでは「環境保護」が目的であった。

 「エコに関心を持ち始めた年齢は?」と言う設問には、日本では7割以上が25歳を過ぎてからであるのに対し、ドイツでは6割以上が25歳までであった、そのきっかけは日本の主婦のほとんどは「メディアの影響」と回答し、ドイツの主婦は「家庭での教育」を上げている。日本ではメディアからエコについて情報を入手するのがほとんどであるのに対し、ドイツの家庭では環境問題を教育している事がわかる。

 食器洗いに関してのエコは、日本、ドイツとも「節水」が1番に上げられており、これは結構なことである。食器洗い洗剤に関して(実はこれがこの調査の商業的目的であるのだが、)ドイツでは環境に配慮してが68%で、日本では22%であった。

 「エコ」と言うと「節約」と答える日本人、「環境」と答えるドイツ人、メディアから学ぶ日本人と、家庭内で環境教育をするドイツ人の違いが浮かび上がった調査結果である。

 環境と言うと省エネ=節約、それが企業にとっての売上減少、経済の停滞とマイナスイメージを持つ日本人を作って来たマスメディアの責任は重い。「寒さとつきあおう」などと呼びかける民放連のCMなどはその最たるものである。

 「エコ」と言った時にエコロジー(環境)ではなくエコノミー(経済)を思い浮かべししまい、混乱している日本人像も浮かび上がっていた。

 もっとも、安倍政権には、最初からエコノミーしか頭に無いので、混乱はない。

旭化成ホームプロダクツ(株) 2013-02-28プレスリリースURL:
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000006556.html
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17 Mar 2013   12:02:12 pm
シーメンスの米戦略
良く見かける「米高官のシーメンス工場訪問」
Wall Street Journal 2013-03-17から

 3月14日(木)に新任の米財務長官ジェイコブ・リュー(Jacob Lew)氏がアトランタ郊外のシーメンスの工場を訪問した。しかし、オバマ大統領本人を含めオバマ政権の高官がシーメンスの工場を訪れるのは、決して珍しい事ではなくなった。

 ドイツ・ミュンヘンに本社を置く、この多国籍企業は全米全ての州に130余りの工場を持ち、6万人を雇用している。今回、リュー財務長官が訪れた工場では鉄道用のトラクションモーターや制御装置を製造しており、地元アトランタ市内のライトレールでも使われている。ここでは700人の地元大学卒業者やコミュニティー・カレッジ出の熟練工が採用されている。

 「中間層を拡充する為に、アメリカ経済はシーメンスの様な企業がモデルとなる。アメリカで開発、製造され、技術革新をもたらす製品が世界に販売されてゆく。それにより更に数千人の雇用が創出されている。」とリュー長官は語る。

 オバマはシーメンス贔屓である。

 大統領はアイオワの風力タービン工場を訪れ、再生可能エネルギーは彼のゴールの一つであると語っているし、2012年と2013年の一般教書演説ではシーメンスを上げて、同社の教育プログラムがアメリカの中間層を増やす力になる例として話している。2013年にはファースト・レディーのゲストとして招かれた、シングルマザーのジャッキー・ブレイ(Jackie Bray)がシーメンスのトレーニングでレーザーとロボットを学び、エンジニアとして自立できた話しを取り上げた。

 シーメンスは米国内で、建築物の省エネ改築ビジネス、小規模水力発電用タービン、コジェネ用ガスタービン、ライトレール(市内電車)、高速鉄道網建設など、オバマ政権のグリーン経済へのシフト政策に焦点を合わせたマーケティングで米国内に根を下ろしていくつもりのようだ。

 日本の電機業界は一日も早く原発の夢を捨ててグリーン化に乗り換えなければ世界に取り残されるだけである。

原文(英文)URL:http://blogs.wsj.com/washwire/2013/03/14/look-familiar-treasurys-lew-latest-to-visit-siemens/?mod=wsj_valettop_email

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15 Mar 2013   11:14:59 am
グリーンな畜産
牛が出すメタンは環境負荷要因と言われていたが、、。
GreenBiz.com 2013-03-14 Mark Guntherの記事より

 これまで環境問題を語る中で牛が出すゲップ、おなら、糞から出るメタンガスが環境負荷要因の大きな部分を占めていると言うのは常識であった。数年前には牛が出すメタンは地球温暖化ガスの51%を占めると言うセンセーショナルな論文が出され大騒ぎになったことは記憶に新しい。いまだにそのホームページは健在である。URL:http://51percent.org/

 FAO(国連食糧農業機関)は18%と発表しており、こちらの方が信憑性は高いとしても結構大きな部分であることには違いがない。その為、環境保護者達の中には後ろめたいものを感じならがステーキを食べている人もいる事であろう。

 ジム・ハウウェル(Jim Howell)は1800年から代々続く農場経営者で現在グラスランド(Grassland)社のCEOである。同社はサウスダコタ州とモンタナ州に4つの農場を経営している。同社の行う放牧経営は地球環境に負荷を与えるどころかCO2吸収が大きく環境改善に寄与していると言う。「総体的経営」と言う方法で放牧を計画することで、牛は健康になり、牧草地は活力に満ち光合成が活性化されてCO2の吸収量が増えると言うものである。

 ハウウェル氏のパートナーで師と仰ぐアラン・サボリ―(Allan Savory)氏は、ジンバブエ出身の農業経営者、環境保護運動家であるが、彼は1988年に「総体的経営」と題する564ページの本を出版している。その中で、従来考えられているよりも大規模、広範囲で計画的に放牧を行う事で、逆説的であるが単位面積当たりの飼育頭数を増やす事が可能で、牛も、土壌も健康になると論じている。しかし、出版当時の専門家の評価は低く注目を受ける事は無かった。

 ハウウェル氏はそれに目と付けたのである。かれの農場でサボリ―氏の「総体的経営」を実践したところ彼の主張が正しかった事が証明された。グラスランド社の成功は大手投資家からも投資されるほどで、今や優良企業となっている。

 農場の総体的経営のキ―は計画に有ると言う。従来の放牧での間違いは一か所で多数の頭数を長時間放牧していた為に、牛は牧草の若芽や根まで喰いつくしてしまう事であった。その為、栄養分の少ない若芽を食べた牛は空腹を抱え、光合成が行われなくなり土壌は窒素の固定ができなくなり活力を無くす。牛フンや尿は処理されることなくメタンを放出する。そうなる前に牛を別の牧草地に移すことで、牧草は育ち、根は伸びて、バクテリアも増殖し牛フンや尿は土地の栄養となって光合成が活発に行われCO2を吸収する。牛は十分に栄養分に満ちた牧草をたらふく食べて健康になる。

 その為に、地形、日照、土壌、天候を考えて精密な計画を立てる必要がある。この計画立案で全てが決まる為に、この作業は日夜を問わず討議と思考を重ねる必要があると言う。計画が決まればその計画通りに牛を放牧して行く。

 世界の50億ヘクタールの放牧地をこの方法に変えれば、年間270ギガトンのCO2が削減され135ppm下がることになる。その上この変更には特に出費は伴わない。サボリ―氏は「これは何も特別な事では無い。アフリカのサバンナの草食動物は何万年もの間、この方法でサバンナと共存してきている。」と語る。これもバイオミミクリ―である。
原文(英文)URL:http://www.greenbiz.com/blog/2013/03/14/can-cattle-be-part-of-climate-change-solution
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14 Mar 2013   11:51:54 am
M2Mのグリーン経済
ものインターネット + M2M = 1兆ドル市場
GreenBiz.com 2013-03-13 Heather Clancyの記事より

 M2Mとものインターネット(Thing Internet)については一昨日(2013/03/12)にも書いたが、今日はその続編である。今回は英国の調査会社カーボン・ワ―・ルーム(Carbon War Room, 炭素戦指令室)の調査報告書からである。カーボン・ワ―・ルームはバージングループのリチャード・ブランソン氏が主宰する営利企業で、グリーン経済のビジネス開発・研究をしており、その目的はグリーンビジネスを投資家にとって魅力あるものにして行くことで今後の経済の中心として行こうとするものである。

 リチャード・ブランソン氏は「過去には持続可能ビジネスと言うと、禁欲的な響きが有り、収縮の経済と考えられていたが、グリーンビジネスを最適化することで、現在の経済を更に力強く発展させて行く事ができる。例えばM2Mやものインターネットはその良い例で、大きな可能性を持っている。」と語っている。

 M2Mとものインターネットが形成するビジネスはカーボン・ワ−・ルームの最新の報告によると2020年には1兆ドル(96兆円)ビジネスに成長する。具体的には、125億のM2Mデバイス(組み込み電子部品)が機械に組み込まれ、機械が持つセンサーの情報がネットワークに送られ、制御、モニター、自動化が機械同士が人間を介することなく情報交換を行って最適化を行われる。

 同報告書によれば、2020年までにM2Mと関連の技術により9.1ギガトンのCO2排出を削減できる。この量は2010年度の世界でもCO2排出がダントツに多いアメリカとインドを合わせた量に匹敵する。また、M2MはCO2の削減のみならず淡水資源の消費量の大幅な削減に寄与することも報告されている。

その内訳の主要なものは次の通りである。
■エネルギー分野:スマートメーター、デマンド・レスポンス(エネルギーが大量に必要な時には供給側の判断で供給に制限を加えることで発電設備の無駄運転を無くす事ができるシステム。ユーザーはこの契約をする事で安い電力料金で契約ができる。)により2ギガトン(Gt)のCO2の削減ができる。
■交通分野:航空、船舶、列車、トラックのルートの最適化により、1.9Gt。
■建築物:暖冷房、換気、照明、給湯、セキュリティーの最適化で、1.6Gt。
■農業分野:森林管理、収穫管理、施肥、灌漑の最適化で、1.6GtのそれぞれCO2削減ができる。

留意点としては、
■M2Mが複数のプロバイダー毎に分けられ、プロバイダーの囲い込みが発生してエンドユーザー間の情報交換が阻害される可能性がある事。
■世界標準を早急に決めて、データやアプリケーションの互換性を担保する事で市場の発展を図ること。
■M2Mの効果は長期的にしか出ないので、ROIの計算方法を確立する必要が有ること。

 リチャード・ブランソン氏がグリーン・ビジネスをやるだけでも夢が大きく膨らむ。

原文(英文)URL:
http://www.greenbiz.com/blog/2013/03/12/why-m2m-internet-things-1-trillion

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12 Mar 2013   12:30:16 pm
機械同士を繋ぐM2M
人間を介さずに機械同士が情報を交換して効率向上を図る
GreenBiz.com 2013-03-11 Joel Makowerの記事より、

 SFの世界では良く機械同士が繋がって人類に対して反乱を起こすと言うストーリーがある。スタートレック・ファンのぼくなどは機械同士の繋がりと言うとまず一番に最強の機械連続生命集団「ボーグ」を連想してしまうが、この話をはじめるとマニアックになり終わらなくなるので止めるが、今、現実に機械同士が人間を介さないで情報交換を行い、いわば自律的にエネルギー効率アップを行う事が始まっている。マシン・トゥ・マシン(Machine to Machine, M2M)あるいは「物インターネット(Thing Internet)」と呼ばれて急速に拡大をしている。

 現状でネットワークに接続されている機械の数はたったの25億台に過ぎず、PCや携帯、スマホが100億接続されているのに較べると少ない。ネットワークに繋がれている機械は全て、何らかのセンサーを持っており、電力量、温度、湿度、風力、風向、人の動き、画像、などのリアルタイムの情報をネットに送出することができる。

 エリクソン社の最新の年次報告書によると接続する機能を持ったチップ(電子部品)は2020年までに500億個が出荷されると予測している。ABIリサーチによると、2013年だけで50億個の無線通信デバイス(組み込み電子部品)が出荷されると言う。「物インターネット」は企業各社の重要戦略ターゲット、トップ10には必ず入っていると言う。

 「物インターネット」、M2Mは一体どのような働きをするのだろうか。セキュリティー、エネルギー効率向上、予防保全、資産管理などを人間の介入を必要とせずに行う事ができる。例えば、ビルの人の出入りを管理しているデータを使ってビルのどの部分が無人になっているかを知り、そのエリアの消灯をする、エアコンを切る、温水供給を止める等を行って省エネをする事ができる。電力供給側(スマートグリッド)のデマンド・レスポンス情報を得て、安い電力時間帯に駐車スペースに接続されている電気自動車の充電を行うとか、電力マネージメントも可能となる。また、これまでのデータと現在データを比較する事で、空調システムの機器不良による異常を事前に発見して、故障が起きる前にメンテナンス部門に知らせる事ができる。

 マイクロソフト社はワシントン州レッドモンドの本社キャンパスに有る118の建物のうち、13棟を選んでM2Mの実用化実験を行っている。この13のビルには多数のセンサーが設置され刻々変わるデータが半リアルタイムでネットに送出されている。センターはこれらのデータと契約している気象データサービス会社から得るデータと付き合わせて、各ビルの電力、照明、エアコン、換気、給湯などの制御を細かく連続的に行っている。この実験を行っている一角のエネルギー消費は他と較べ低いものになっているとの事である。

原文(英文)URL:
http://www.greenbiz.com/blog/2013/03/11/state-green-business-m2m-enables-rise-greener-machines

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