ダンテの森    
25 May 2013   10:41:08 am
20年の経験の差
ドイツ企業と組んでノウハウ取得 工事期間短縮、熊本のメガソーラー
Finance Greenwatch 2013-05-24の記事より、

 メガソーラーを建設するにあたってはMW当たりの材料コスト、建設コストだけを追求してはいけない。ドイツ企業と組んでメガソーラーを立ち上げた事例を紹介する。[畑陽一郎,スマートジャパン]

 メガソーラーは設計や施工、運営にポイントがある。このような指摘が増えてきた。適切な設計と施工、運営に基づいていなければ、完成後に思うような発電量が得られず、20年間の保守管理コストも高くなってしまうということだ。

 熊本製粉が発注した「熊本製粉 弁天太陽光発電所」(熊本県合志市)は、設計と施工に特徴があるメガソーラーだ。

 同メガソーラーは、熊本製粉の西合志倉庫内の倉庫3棟の屋根(面積7934m2)に太陽電池モジュール4088枚を敷き詰め、出力1MWを得るというもの(図)。

 同発電所の事業性を判断し、ドイツjuwi Renewable Energiesに設計、施工、運営を依頼したのは自然電力だ。「まず倉庫の上に太陽電池モジュールを設置し、20年間の耐久性が得られるかどうか、倉庫の9つの屋根について構造計算をやり直した。その結果、設置対象となる3つの屋根を選んだ」。

 弁天太陽光発電所は、2013年2月に着工し、3月31日に完成、送電を開始している。工期が非常に短い。「juwi Renewable Energiesはドイツの先進的な事例のノウハウを多数もっている上に、資材の購買網も大きい。今回、工期が短くなったのは同社の人材配置能力はもちろん、工事マネジメント能力全体が高いからだ。施工性のよい機器も使った」(自然電力)。自然電力はjuwi Renewable Energiesとの協力関係を高めるため、2013年1月にジョイントベンチャーを設立しており、今後受注する太陽光発電事業に生かす。

 なお、熊本製粉が太陽光発電を事業化するのは、今回が2件目である。2012年12月に送電を開始した「合志市・熊本製粉太陽光発電所」(出力1MW)は市の清掃工場跡地を利用したメガソーラーだ。

 ドイツはすでに20年間、風力発電所、太陽光発電所を作って来た実績が有る。事前調査、躯体設計、施工技術、施行監督、予防保全、運営管理から経営に至るまで、太陽光発電所ならではの技術ノウハウが有る。彼らは、技術が未熟な段階からの発展を自ら経験して来ているので、蓄積された技術は一朝一夕には真似できない。日本に有るのは太陽電池の製造技術だけで、それ以外は彼らに学ぶのが一番早道だ。環境先進国などと言う昔の看板は外して謙虚に学ぶ姿勢が必要である。この自然電力の判断は大いに評価できる。

原文URL: http://financegreenwatch.org/jp/?p=30953

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24 May 2013   12:57:51 pm
使用済み食用油の活用
使用済み食用油からバイオディーゼルを製造――米国コロラド州
ENS 2013-05-21 コロラド、ボールダー発の記事より、

 コロラド州ボールダーに建設されるバイオディーゼル工場ではボールダー近郊のレストランから集められた食用油から年間4400万リットルのバイオディーゼルを生産する。

 このバイオディーゼルプラントはコロラド大学のキャンパス内に設置される。

 このビジネスを運営するのは、5年前に設立されレストランから使用済みの食用油の回収する事業を行っているCleanEcos社であるが、同社は「コロラドにきれいな空気を」を目標に掲げるグリーンビジネスを目指す企業で、パートナーであるレストランと一緒により美しいコミュニティーを作って行きたいとしている。

 製造されたバイオディーゼルは全量コロラド州内の公共交通機関のバスの運行に使用される。このビジネスの規模が大きくなる事で新たな雇用の創出にもなる。

 バイオディーゼルプラントはGHPバイオディーゼルUSA社が納入する。同社はドイツに本社を置くバイオディーゼルプラントメーカーである。このプラントから製造されるB100バイオディーゼルは、石油由来のディーゼルに比べてCO2排出量が78%少ない。その上、窒素酸化物や硫黄酸化物の排出が無く、喘息や肺がんの発生も少なくなると期待されている。

 副産物のグリセリンからは生分解性の洗浄用溶剤が製造され、レストランに販売される。これは石油から作る合成洗剤に比べ環境に優しく、健康にも良い。

 今後、同社は一般家庭からの使用済み食用油の回収の計画をしている。


原文(英語) URL:
http://ens-newswire.com/2013/05/21/cooking-oil-to-biodiesel-plant-planned-for-colorado/

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23 May 2013   11:40:31 am
従来技術で省エネビル
現有の技術のみの低エネルギービル、62%のCO2削減を達成――鹿島

 建設大手の鹿島が東京赤坂の鹿島KIビルを改修して低エネルギービル化を図ったことは当ブログの2013-05-07に書いたが、同じ鹿島が新築ビルで現存技術のみを使って低エネルギービルを建設した。

 2013年5月21日付けの鹿島のプレスリリースによると、東京調布に2011年11月に新築された地上5階、地下1階、延べ床面積8914平米の鹿島研究所本館研究棟のエネルギー消費が同規模の従来型ビルより62%のCO2排出量削減ができたとしている。

 同ビルは鹿島が2030年新築ビルのZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化に先駆けて2020年にZEB第一号を完成させると言う独自目標の一環として建設したものである。

 特徴は、現有技術のみを採用して低エネルギー化、省資源化を図ったことである。
■ダクトレス空調システムとリモートパッケージの併用で、設備コスト、運用コストの両方の低減をしている。
■明るさ感演出のアンビエント照明により、自然光とLEDによる人口光のミックスの最適化を追求して低エネルギーで快適な明るさを得ている。
■OAフロアと天井の廃止で、コスト削減と同時に居住空間の高さに余裕をもたせている。
■フラットスラブと耐震壁構造で広い空間の確保。
■構造体をボックス庇型状の外装としたことで、自然光の採光と夏場の日光による温度上昇を防ぐ効果がある。
■再生骨材コンクリートの使用で、省資源化を図った。
■CO2の排出量の見える化システムの導入で、居住者の省エネ意識啓蒙を日常的に行うようにした。
■省エネビル第三者認証CASBEEの取得

 今回のプレスリリースからは、断熱方式が外断熱になっているのか、気密度とQ値やC値についての記述は無く、熱交換器を使った換気をしているか等の記述も無いところから、あくまでも従来の日本のビル建設の現存技術のままでの低エネルギー化を図ったものと思われる。それでも62%のCO2削減が出来たと言う事には拍手を送りたい。これにパッシブハウスの考え方をプラスすればZEBの達成は間違いない。

 今後、他のゼネコンからも低エネルギービルへの動きが有ることを期待したい。日本の建築物がファクター5を達成すればそれだけで、日本の全エネルギー量の32%が削減され、原発はおろかかなりの数の石炭火力発電所もいらなくなる。

鹿島プレスリリースURL: http://www.kajima.co.jp/news/press/201305/21a1-j.htm

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22 May 2013   12:17:09 pm
原発を輸出したい日本
世界の原発、最大370基増加 2030年までに、経産省試算
東京新聞 TOKYO Web 2013-05-20から、

 経済産業省は20日、総合資源エネルギー調査会の総合部会を開き、2030年までに世界の原発が90〜370基程度増えるとの試算を示した。経済成長に伴うエネルギー需要の拡大が理由。部会が担う新たなエネルギー基本計画案の検討に当たり、日本の原発輸出を促す根拠とする思惑がある。

 ただ、委員からは「エネルギー政策の軸を決めてから国際社会に(原発を)売り込まないと日本のスタンスに異議が出る」(寺島実郎日本総合研究所理事長)との意見も出た。

 原発は現在、世界で400基程度が稼働中。中国、ロシア、インドなど新興国を中心に新設が進むとみている。(共同)

原文URL: http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013052001002648.html

 今、欧州は低エネルギー化とエネルギーシフトで持続可能社会へ移行しようと躍起である。あの米国でさえ世論が変わりつつあり、オバマ大統領は本格的に地球温暖化と戦った大統領との名前を歴史に残そうとグリーン化の旗を振っている。グリーン経済への移行とは低エネルギー社会に作り直して行くことである。つまり、これからだんだんとエネルギーを使わなくしようとしているのである。

 これから370基の原発が作られる等と考えるのは、エネルギー需要が今まで通りに増加すると予測しているからに他ならない。そんな予測を作って経産省は取らぬ狸の皮算用をはじいているわけである。日本では1954年から2012年の58年間でなんと14兆円の巨額を原発の開発に投じて来た。その結果がフクシマであった。この数字をテコに経産省はさらに開発予算を国民から出させて、NEDO、J-Power、三菱重工、日立、東芝にばらまこうとしている。

 日本のエネルギー政策は原発一辺倒であった為に、欧州ではすでに20%を超えている再生可能エネルギーによる発電は、日本ではいまだに1%程度である。経産省のエネルギー政策の間違いである。経産省はまた同じ間違いを犯そうとしている。

 開発途上国にODAの仕掛けを使ってJICA等も使って、原発を売り込もうとしている。治安が不安定になる可能性が大きい開発途上国で、もし将来原発がテロの対象にでもなる可能性を経産省は考えたことはあるのだろうか。日本はその時に世界にどう言い訳をするつもりなのか。

 豊かな生活とエネルギー消費の増加を切り離して考えるのが、持続可能な開発であり、グリーン経済である。UNEPはそれをデカップリングと呼んでいるが、経産省はそんなものは絵にかいたモチにしたいようだ。古典経済に毒された経産省官僚には理解できないようである。

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21 May 2013   07:44:14 am
米国のエネルギーシフト
政府よりも先を行くアメリカ国民世論と企業トップのグリーン度
フォーブス電子版 2013-03-15から、

 オバマ大統領はシカゴ郊外のアルゴンヌ国立研究所で演説し、予算教書演説で述べた20億ドル(2000億円)のエネルギー安全保障トラストについて、クリーンな運輸交通技術のR&Dに充てると説明した。

 民主党主導で政府は、この原資をグリーン経済へのシフトに充てるとしている。デューク大の2013年2月の調査によると、84%のアメリカ人は「まちがいなく」か「恐らく」地球温暖化の原因は人類の営みによるものであると考えるようになってきている。2/3の人は発電所、工場、自動車から排出される地球温暖化ガスに制限がかけられるべきであると考えている。これを見て政府はより地球温暖化ガス排出の少ないエネルギー源へとシフトをしようとしている。

 アメリカ国民は長年否定し続けて来た地球温暖化に対する態度をすでに改めている。そして、何かが為されるべきであると、例えCO2に税金が掛けられるようになるとしても、すぐにでも何かをやらなければならないと考え始めている。

 オバマの計画は、かなり緩やかである。石油とガスが出る国有地の地代は2012〜2022年の10年間の合計で1500億ドル(15兆円)であるが、大統領はその僅か1.3%を未来の自動車の先端技術の開発に充てようとしている。

 エネルギー安全保障トラストは市場と国民のグリーン経済への移行への意欲と化石燃料から再生可能エネルギー、あるいは他のCO2の少ないエネルギー源へのシフトを後押しする。

●風力タービンの価格の下落と税制優遇措置により、風力発電は2011年から2012年で28%増加し、13.1GWとなった。
●太陽電池市場は2011年から2012年に76%増え3.3GWになった。2012年の市場規模は115億ドル(1兆1500億円)となる。
●再生可能エネルギーのマイクログリッドへの接続は2013年には83億ドル(8,300億円)となり2020年には400億ドル(4兆円)となる。
●石炭火力と原子力発電から決別したいとの国民の思いは日に日に強くなっている。

 以上の4点は全て、政府主導が始まる前から動き始めていた現象であり、国民の考え方が変わって来ていることを示している。この考え方の変化は大手石油資本の重役室にも広まってきており、石油大手のロイヤル・ダッジ・シェルはソラ―とバイオパワーに重心を移すと発表している。

原文(英語) URL:
http://www.forbes.com/sites/pikeresearch/2013/03/15/with-new-energy-fund-obama-tries-to-catch-up-with-the-market/

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