ダンテの森    
04 Jun 2015   02:02:30 pm
政権与党の公約違反
電源構成案 原発優先は「公約違反」
北海道新聞 2015年6月4日社説

 経済産業省の長期エネルギー需給見通し小委員会が、2030年の電源構成比率で、原発を20〜22%、再生可能エネルギーを22〜24%とする政府案を了承した。

 意見公募を経て、7月中にも正式決定される。

 原発維持を優先したエネルギー政策の将来像が、このまま決まってしまうのは納得できない。

 東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえ、原発に頼らぬ社会を目指す民意にも反している。

 一部委員は、再生エネの導入を最大限加速し原発依存度を可能な限り低下させるとうたった安倍晋三政権のエネルギー基本計画との食い違いを指摘し、「公約違反」と批判した。正論である。

 そもそも、原発比率20〜22%という想定自体がおかしい。原発の運転期間を原則40年に制限するルールを厳密に適用すれば、30年には比率は15%程度に下がる。

 1回に限って最大20年の延長が認められるが、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「相当困難」との見方を示した。

 あくまでも例外である40年超の運転を前提とした政府目標は、福島の事故の教訓から独立性を与えられた規制委の審査に対して圧力となる恐れもある。

 政府は、電力各社が安全対策を強化することで、過酷事故の発生確率は低下すると主張する。

 だが、政府の想定通りであれば、30年には多くの老朽原発が稼働することになる。そんな状況で、なぜ事故リスクが減るのか、国民は理解に苦しむだろう。

 規制委の有識者調査団は、北陸電力志賀原発(石川県)の敷地内に活断層がある可能性を指摘した。評価が確定すれば、活断層認定は3例目で再稼働は困難だ。

 こうなると、原発比率の目標達成を理由に、経産省が近い将来、原発新増設を持ち出してくるのは想像に難くない。

 再生エネの比率は原発をわずかに上回っただけだ。固定価格買い取り制度で電気料金に上乗せされる賦課金の負担を抑えるため、太陽光と風力が抑えられた。

 しかし、20年間の買い取り期間が終了すれば、賦課金は減少していく。輸入に頼る化石燃料とは異なり、国産の再生エネに投じられた資金は、自治体や地域住民を含む国内事業者に回る。

 政府案は、こうした可能性にあえて背を向けている。

 最初から「原発ありき」の審議会方式で、エネルギー政策の議論を終わらせてはならない。

原文URL:
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0026681.html

--
 以上は北海道新聞の社説であるが、この中で忘れられているのは同じく与党を組む公明党で、公明党は2012年の選挙で「原発ゼロ」「2030年までに-30%」を公約している。同党も「公約違反」のそしりを免れない。

 一人でも多く反対意見を意見箱に送り国民の意志を示そう! このままだと、賛成の団体や企業は、組織的に賛成意見を送っているので、政府は国民の意見は大半が賛成等と言うことになる。

長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)に関する意見箱のURL:
http://www.enecho.meti.go.jp/notice/topics/031/
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29 May 2015   06:01:00 pm
自民党二軍以下の党
30年 再生エネ「22〜24%」――自民了承30%案は不採用
東京新聞2015年5月28日

 自民党は27日の総務会で、2030年の電源構成比率の目標について、原発を「20〜22%」、再生可能エネルギーを「22〜24%」とする政府案を了承した。公明党もすでに政府案を受け入れており、政府・与党内の調整が決着した。再生エネの構成比は、「20%をさらに上回る水準を目指す」とした現行のエネルギー基本計画を上回ったが、自公両党内には30%とする主張もあっただけに、不十分な印象はぬぐえない。(宮尾幹成)

 自民党では、再生可能エネルギー普及拡大委員会が再生エネ比率30%以上を提言。だが理解は広がらず、党の意見は「22〜24%」に一本化された。

 公明党は2012年衆院選で、2030年に30%を目指すことを公約に掲げたが、その後の国政選挙では公約に明記していない。2014年に閣議決定された現行のエネルギー基本計画でも「20%をさらに上回る水準」を容認。党内の会議が今年4月に出した提言も、基本計画に沿った目標の実現を求めただけだった。

 自民党の普及拡大委メンバーからは、選挙公約にまで30%を掲げながら、政府案を丸のみした公明党に対して「自民党の二軍以下だ」との不満が出ている。

 公明党の石井啓一政調会長は27日の記者会見で「(構成比は)エネルギー基本計画に基づいて、資源エネルギー庁が独自に決めるものだ」と説明した。

 与党の了承を踏まえ、政府は意見公募を行った上で、6月7日からの先進7ヶ国(G7)首脳会議までに2030年の電源構成比率と、2020年の温室効果ガスの排出削減目標を決定する。

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以上は、東京新聞の記事であるが役所が決めたことに異論も言えないのでは、国民から政治を託された公党とは言えないのではないか。

一応政府は、現在意見公募を行っているので、どんどん反対意見を書いて送るべきである。原発賛成の電事連などの団体や企業は、組織的に賛成意見を圧倒的な数で送っている。そして、政府は国民から意見を募ったら賛成意見が多かったと発表して、国民の大多数は原発の再稼働あるいは新設に賛成しているとするに違いない。但し、少数ではあるが有識者委員会には原発反対派もいるので、意見箱に送られた反対意見が闇に葬られる事は無いので、とにかく反対意見を送るべきである。送り方は次のURLに詳しく説明されている。一通でも多く皆さんの声を送って国民の真意を伝えよう。

長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)に関する意見箱のURL:
http://www.enecho.meti.go.jp/notice/topics/031/
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23 May 2015   07:54:35 am
韓国の食品廃棄物
食品廃棄物の削減にハイテクを使った画期的な改革を進める韓国の首都ソウル
エール大学 Environment360 VIDEO May 20. 2015

 E360 VIDEOシリーズの第二弾として映画監督のカリム・クロボグ(Karin Chrobog)は、ハイテクを駆使して食品廃棄物を画期的に削減する事に成功した韓国へと飛んだ。韓国の首都ソウルの成功は、他の大都市の食品廃棄と埋め立てゴミの減量の参考になると考えたからである。

 食品廃棄物は世界的な問題である。国連によると生産されている食糧の内1/3は、腐敗するか、収穫されないまま畑に放置されるか、廃棄されている。1300億トンが年間廃棄されており、環境、経済、エネルギー、労働力を浪費させている。

 E360ビデオ「廃棄物」シリーズの第二弾は、食品廃棄物対策を果敢に進めた韓国を取り上げた。このビデオで映画監督のカリン・クロボグは首都ソウルの1千万人が参加し多大な効果を上げている様子を撮影した。

 ビデオでは、ソウル市民は食品ゴミを直接専用の容器に投入し、IDカードで開閉する容器に投入された食品ゴミの量は直接オンラインで市の環境公社に送られ毎月その量に応じた処理料金が課金される。

 マンションからホテルのレストランまで、食べ残しや食品屑は残らず集められ巨大な処理工場に持ち込まれ、粉砕され、絞られ、真空乾燥された後、家畜用のドライフードになる、残りは発電所の燃料として燃やされ電力となる。

 これらの対策の背景には、この国が過去数十年の間に報われる事の無かった国から豊かな国へと社会変革が起きたことがある。ビデオの中でも語られているように、多くのソウル市民の目から見た米国で出されるゴミは異質のものに映るようである。ソウル市民がアメリカ人からするとお節介すぎると思える政策を受け入れているのは、公共財に対する韓国人の考え方からくるものである。

次のURLからビデオ(英語)を見ることができる。
http://e360.yale.edu/feature/in_south_korea_an_innovative_push_to_cut_back_on_food_waste/2875/#video

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 ビデオの中でも出てくるが、韓国経済は国民一人当たりの収入が1960年には僅か100ドルであったものが、1980年には5,550ドル、2013年には28,000ドルにまで急成長した結果、貧しかった頃には、食品廃棄物など全く出される事が無かったと言って良いほどであったものが、今ではあまりにも多い食品が廃棄されるようになったことにある。RFIDと言うハイテクを使って家庭食品廃棄物の量を管理するようになって、家庭から出される食品廃棄物は30%減少し、ホテルやレストランからの業務用食品廃棄物は40%減少した。

 因みに日本は年間5500万トンの食糧を輸入し、1800万トンを廃棄しており、そのうち1000万トンは家庭から、800万トンは事業者からである。「もったいないの国」を自認する日本は、食品廃棄物対策に真剣に取り組むお隣の韓国を少しは見習ってはどうだろうか。韓国の食品廃棄物法は、この種の法律としては世界で最も厳しい。
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22 May 2015   08:34:57 am
地方リードで温暖化対策
12人の地方自治体の首長は気候変動に対する戦いを始めた。
Environment News Service May 20, 2015

 カリフォルニア州サクラメント――5月19日、ジェリー・ブラウン カリフォルニア州知事は、世界11の地方政府の首長と共に、この種の協定としては世界初となる、地球温暖化を2℃以内にすると言う覚書に署名した。この12の地方には合計1億人以上の人口が居住している。科学者たちは、世界の平均気温が2℃以上高くなることは急激な気候変動を招くものとしている。


 この協定は「2本の覚書の下に(Under 2 MOU)」と呼ばれ、本年末にパリで開催される国連気候変動会議で議論される予定の、全ての国に対し法的拘束力を持つ地球温暖化ガス削減条約を先取りするものと位置付けている。

 ブラウン知事は今日の調印式で「この世界的挑戦は、地球上の全ての地域の政府に本格的な政策の実行を要求するものである」とし、「今こそ決断の時である。今こそ実行の時である。」と述べた。

 この”Under 2 MOU”に署名したのは、3つの先進及び開発途上大陸の7ヶ国の12の地方政府である。これらの地方を合計したGDPは4.5兆ドル(540兆円)となる。

 これらは、米国のカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、バーモント州、カナダのブリティッシュ・コロンビアとオンタリオ、メキシコのバハ・カリフォルニア州とハリスコ州、ブラジルのアークレ州、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルグ州、スペインのカタロニア、英国のウエールズの12の地方である。

“Under 2 MOU”の署名地方は、温室効果ガスの排出量を1990年を基準として80〜95%削減目標を、自らに課している。これは2050年において人口一人当たり年間2トン以下のCO2換算の温暖化ガス排出を目指すものである。

 この目標を達成するための削減政策を各地方政府は、他の署名地方と連携を取りながら策定する。

  “Under 2 MOU”は、まずアメリカ西海岸に北はブリティッシュ・コロンビアから始まりバハ・カリフォルニアに終わる一つの連続した5500kmに渡る長大なエリアを創出する。

 署名した各地方は、セロエミッション自動車の普及について協力し合う。また、省エネ技術の研究開発や、エネルギー効率の向上と再生可能エネルギーについての経験の共有が行われる。温暖化ガスの排出量の間断の無いモニタリングと相互報告、炭素粉塵やメタンなどの比較的滞留時間の短い大気汚染物質の観測結果の交換、各コミュニティーで計画された気候変動対策プロジェクトの進捗状況についての情報交換が行われる。<以下略>

原文(英文)URL:
http://ens-newswire.com/2015/05/19/12-governments-fight-climate-change-with-under-2-mou/

--
 以上はENSの記事の一部であるが、これで注目したいのは環境対策に意識がある地方公共団体レベルで、国際的協調が始まった事である。現在、世界で最も積極的に温暖化防止に取り組んでいるのはEU各国であるが、この”Under 2 MOU”は、2050年までに最大95%のCO2削減を目標にするなど非常に革新的であり、このようなコンソーシアムが続いて出てくる事を期待したい。ロシア、日本、韓国、中国、台湾、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイの大都市を繋ぐ太平洋の西側を繋ぐ国の、温暖化対策連合を日本の都市が主導して作るような事は夢の又夢か。舛添都知事はオリンピックで手一杯で、無理だろうから都構想に敗れた大阪の橋元市長が、これを残りの任期の間に起動させてはどうだろうかと提案したい。2050年のアジアの人たちから感謝される事請け合いである。これこそ真の積極的平和主義と言うものではないだろうか。
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19 May 2015   02:16:52 pm
原発継続ありきの日本
原発の発電コスト 微増も最安10.3円 経産省会合 報告書案了承
東京新聞 2015年5月12日朝刊

 経済産業省は11日、有識者会合「発電コスト検証ワーキンググループ」を開き、原子力発電にかかる費用を2030年時点で一キロワット時当たり最低10.3円とする報告書案を了承した。4月27日に公表した素案の「10.1円」から微増としたが、火力などほかの電源と比べて最も安いという結論は変えていない。

 微修正したのは、2030年に目指す原発や再生可能エネルギーなど発電手法別に目指す発電量の構成比率が4月28日に大筋で固まったため。発電量の見通しが修正されたため、各手法別に割り振っている交付金や助成金などの1キロワット時当たりの政策経費が変わった。

 原発の発電量は素案段階より13%減ることになり、1キロワット時当たりにかかる交付金など政策経費は0.2円増える計算になった。同じく石油火力も1キロワット時当たりの政策経費がわずかに増えた。逆に風力は導入が進む見込みとなり、1キロワット時当たりの政策経費は減少。地熱も16.8円と素案段階より2.4円下がった。風力や地熱の割合が増えると、太陽光に割り振られる予算が増えるため太陽光の費用の上限が微増した。

 政府はこうした発電手法別の費用を基に2030年までに目指す原発20〜22%、再生エネ22〜24%などとする比率の目標を大筋で固めている。与党に諮り、意見公募(パブリックコメント)のうえで最終的に決める方針。
--
 以上は東京新聞の記事からであるが、この有識者会合「発電コスト検証ワーキンググループ」なるものが曲者で、次のURLで議事の概要が見ることができる。。
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/
mitoshi/cost_wg/007/pdf/007_10.pdf

 そのメンバーを見ると、有識者としての出席者は6名で、座長は山地憲治東大名誉教授で名だたる原発推進派、以下委員は秋元圭吾氏(地球環境産業技術研究機構と言う電事連・日本原子力発電・原発メーカーが出資の団体所属、荻本和彦東京大学生産技術研究所教授、増井利彦国立環境研究所教授、松尾雄司日本エネルギー経済研究所研究主幹、山名元原子力損害賠償・廃炉等支援機構副理事長・京大名誉教授と全員が原発推進派である。なお同じく委員で原発再稼働反対派の植田和弘京都大学大学院教授と省エネ再エネ推進派の松村敏弘東京大学社会科学研究所教授とボストンコンサルタントの秋池玲子氏は欠席している。そして役所からは経産省は審議官1、課4、参事官1、室長4、調整官1が、内閣官房から参事官1、内閣府から企画官1、環境省から室長1の合計14名が出席している。このメンバーで議論すれば当然このような結論がでる。

 原発発電コストは廃炉費用は低く見積もられており、放射性廃棄物の処理と保管費用は計算に入っていないし、事故が起きた時に掛かる費用に至っては全く想定していない。オンカロと言う自前の核燃廃棄物貯蔵システムを持っているフィンランドは、福島事故の結果を見てより安全性の高い原子炉に設計しなおした結果、3号機の建設コストは1兆円となり、4号機の建設は経済性無しとの結論で中止となった。世界では高安全性の原発はコスト高となるとの考えが一般的で、原発は安い発電方法とは言えないとの常識が広まって来ているが、日本ではまだ最も安いとしたいと言う政府と電事連の意志が強く働いている。

 経産省は一般からのパブリックコメントを公募しているので、どんどん意見を書いてもらいたい。電事連に属する原発推進派では、組織的にパブリックコメントに投書をしているので、放っておくとそれが国民の意見になってしまう。

長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)に関する意見箱のURL:
http://www.enecho.meti.go.jp/notice/topics/031/
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