ダンテの森    
06 Jun 2014   01:43:40 pm
環境短編映画
ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2014
地球を救え!部門を見てきた。
ブログ管理人

 俳優の別所哲也さんが1999年から主宰する短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」は、米国アカデミー賞公認国際短編映画祭で、グランプリ受賞作品はアカデミー賞にノミネートされ、今回は世界114の国と地域から合計4666作品が応募された。この映画祭に2009年から開設された「ストップ!地球温暖化」部門が2013年から「「地球を救え!部門」として生まれ変わり、2014年度は世界から集まった117作品の中から8作品が上映された。


1. エストニア「命の循環(Communicating Vessels)」3”45 アニメーション
2. スペイン「アイスクリーメン(Creamen)」11”50 クレイアニメーション
3. イラン「人生燦燦(Ray of Gratitude)」18”00 実写
4. 英国「行け行け、エコ活動(Prolyphic & Buddy Peace – Go Green)」3”00
人形劇とアニメの組み合わせ。
5. アイルランド/英国「小さな賢者たち(Wee Wise Words)」5”00 アニメ
6. ドイツ「緑のエネルギー(Green Gold)」13”00 実写(フィクション)
7. 英国「凄く深〜い話(Awfully Deep)」12”29 実写(フィクション)
8. 日本「薪とカンタとじいじいと(Firewood, Kanta & Grandpa)」16”06 アニメーション

 ブログ管理人的には、6番が一番プロットがしっかりしていてメッセージ性も強く、さらに娯楽性も十分で何度も腹を抱えて笑わされて良かったと思うのだが、受賞したのは、一番主張が無い気の抜けたサイダーのような6番の作品であった。6番の作品のスポンサーが大手のエネルギー企業であったのも気に喰わなかった。

 これら8本の映画はいくつかの型に分けられる1. 2. 7. は、お先真っ暗型で、4. はCSR等と誤魔化しをしている大企業批判型、6. は反米型、3. 8.は、自然は良いなと思わせるホンワカ型であった。ブログ管理人が気に入った6.はターゲットが米国に絞られており受賞にはふさわしくないと言う事であろう。応募された114作品の中にはもっと骨の有った作品もあったことであろう。全作品を見てみたい気がする。問題提起と現状批判に終わっているのがほとんどであるが、進むべき道筋と解決策を提示するような作品が出てくるの期待したい。監督の皆さんに「ファクター5(明石書店刊)」を勧めたいところである。

 このショートフィルム祭も年を追うごとに大規模化しているのは、良いことであるが、余りメジャーになると運営の主体が電通や博報堂などに乗っ取られてしまう事を危惧する。これを始められた別所哲也さんが目指すものを大事にしてもらいたい。


ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2014 URL:http://www.shortshorts.org/2014/
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01 Jun 2014   06:13:57 pm
2014環境月間
ご存知でしたか?6月は環境月間です。
ブログ管理人

 6月5日は環境の日です。これは、1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたものです。国連では、日本の提案を受けて6月5日を「世界環境デー」と定めており、日本では「環境基本法」(平成5年)が「環境の日」を定めています。

 「環境基本法」は、事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるという「環境の日」の趣旨を明らかにし、国、地方公共団体等において、この趣旨にふさわしい各種の行事等を実施することとしています。

 我が国では、環境庁の主唱により、平成3年度から6月の一ヶ月間を「環境月間」(昭和48年度〜平成2年度までは、6月5日を初日とする「環境週間」)とし、全国で様々な行事が行われています。世界各国でも、この日に環境保全の重要性を認識し、行動の契機とするため様々な行事が行われています。

 世界各国でいろいろな環境に関する催しものが行われているが、日本でも数々のイベントが繰り広げられている。環境省のホームページには、環境月間データベースと言うサイトが用意されており、ここで検索項目を選んで情報を見る事ができるようになっている。


環境月間データベースURL:http://www.env.go.jp/guide/envdm/h26repo/index.php3

 このデータベースで面白い事が分かる。各省庁別に検索すると、環境省では何10と言うイベントが出てくるのは当然のことであるが、経産省、文科省では0と言うのは興味深い。各都道府県別では、恐らくこのイベント入力は各都道府県に任されているらしく、東京などは環境省で検索して出てくる多くのイベントは東京では出てこない。東京で検索すると2つのイベントしか表示されない。都道府県の環境問題に対する温度差が見えるような気がする。

 ドイツの環境学者で」ローマクラブの共同会長であるエルンスト・ウルリッヒ・フォン・ワイツゼッカー博士が33番目のローマクラブ・レポートとして著した「ファクター5」(明石書店刊、4,200円+税)は、我々の孫の為に気候と地球環境を守ろうとするのに、人は現在の豊かさを犠牲にする必要はないと言うことが書かれている。人類は繁栄を続けながら地球環境負荷は増やさない方法をすでに手に入れている事をこの本は説いている。
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27 May 2014   10:12:24 am
デュール博士の思い出
地球環境保護と軍縮運動の巨星が――ハンス=ペーター・デュール博士逝く
ブログ管理人

 現在、講演の為にドイツに行っている知り合いの大学教授からメールが入った。ハンス=ペーター・デュール(Hans-Peter Dürr)博士が5月20日にミュンヘンの自宅で家族に見守られながら84歳の生涯を閉じたとの事であった。ドイツのほとんどのマスコミがその死を追悼している。

 デュール教授は1929年生まれで、第二次大戦直後はミュンヘンに進駐していた米軍にヒットラーユーゲント(ナチス少年兵)との疑いを掛けられて捕まり、捕虜収容所に収容されると言う経験を持ち、シュトゥットガルト大学を卒業してアメリカに渡り、シカゴ大のエドワード・テラー教授の下で核物理学の博士号を取る。このテラー教授は水爆の父と言われた人で、若きデュール青年は自分の師が水爆の完成を祝っている様子を見て嫌悪し、学位の返上を申しでるが相手にされず、傷心のままドイツに帰国する。しかし、運命の神は粋な事をするもので、テラー教授が紹介してくれた先は皮肉なことにウェルナー・ハイゼンベルグ教授だった。

 マックス・プランク研究所内に作られたばかりのハイゼンベルグ研究所で助手として量子力学の研究を始める。ここで、ハイゼンベルグの思想と哲学を皮膚から吸収してゆくことになる。ハイゼンベルグ亡き跡は、後継者としてハイゼンベルグ研究所を任される。

 1970年代には平和運動と軍縮運動そして地球環境問題と取り組むようになる。この頃から科学と宗教の関係を模索するようになる。ローマクラブの会員となってからドイツの科学者を組織した平和運動グループ「ダビデとゴリアテ」の中心的存在となる。

 この間、科学者の軍縮運動体パグウオッシュのリーダーとして、当時のソ連の首脳部に足しげく通い、核兵器の放棄、軍縮とりわけアメリカ・レーガン政権が進めていたスターウォーズ計画の挑発に乗せられることが無いようにと説得を続けた。継続して説得の甲斐あってゴルバチョフ書記長がそれを聞き入れ、軍部の反対を抑えてソ連は軍縮に踏み切った。この功績によりパグウオッシュ会議はノーベル平和賞を受ける。デュール博士ももう一つのノーベル賞と言われるライト・ライブリフッド賞を受賞する。その後も、独特の風貌と話術で聴衆を魅了する平和論、環境論を世界各地で講演して回った。

 ブログ管理人は、2013年3月にデュール博士を河口湖に案内すると言う幸運に授かった。河口湖畔を二人だけで散歩しながら1時間以上にわたって、ハイゼンベルグの思考方法などを聞くことができた。ハイゼンベルグは対話の力を信じていたと言う。思考に行き詰ると、デュールを呼び話しかけ小一時間議論をするという。そして、このテーマについては又何日かして話そうと言って別れる。次に会った時にはお互いに自分なりの考えが纏まっており、議論は大きく進展すると言う。対話は自分も気が付かなかった自分の持っている能力を引き出す力が有り、それを発言する勇気も与えてくれると、こんな話であった。

 この後ブログ管理人は、ハイゼンベルグの「部分と全体」を読み、さらにハイゼンベルグが身近なものに感じる事ができ、河口湖畔をハイゼンベルグと歩いたような錯覚を覚えた。そのデュール博士が逝ってしまった。ご冥福を心からお祈りする。
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19 May 2014   01:12:40 pm
バイオ燃料に注意(1)
なぜか日本ではバイオ燃料は失敗し続けている――世界ではビジネスとして成立
ブログ管理人

 バイオ燃料と言うとブラジルで行われているサトウキビをエタノールにして車の燃料としていると言うイメージを浮かべる人が多いと思うが、ブラジルのバイオ燃料政策は、森林伐採と生物多様性保護の面から問題が多いので、環境学的には評価が低い。

 欧州では、既に1992年からアブラナからバイオ燃料を取り出す事がビジネスとして行われている。2000年に入ってからは、北欧、東欧、スペインを中心にアブラナ、使用済み食用油、獣脂、豆類などから大規模(年産5〜20万トン)な設備が作られ商業稼働している。これらの設備の建設あたっては殆どの場合EUから補助金が出されている。

 生産されたバイオ燃料はディーゼルエンジン用として、副産物として作られるグリセリンや固形化学肥料が、いずれも販売され採算が取れるように計画されており、最近の石油価格の高止まりの為に収益が向上している。

 日本には、3つの大規模なバイオエタノールプラントが農水省の補助金によって建設されているが、その内容を見ると目を疑いたくなる。北海道清水町にある北海道バイオエタノール(株)は、甜菜を原料に年間15万トンの生産をしているが、その製造原価は2009年の生産開始時には226円/リットルであったものが2012年には204円/リットルになったが、これだけ高くなったガソリン代はとても追いつかない。売れば売るだけ赤字が出るので、農水省が補てんすることになる。しかし、驚くのはまだ早い清水町は優等生なのである。

 同じく北海道苫小牧市の酒造会社が集まったオエノンホールディングス(株)は、北海道産のコメを原料にバイオエタノールを年間15万トン生産しているが、操業開始の2009年には364円/リットルであったものが2012年には196円に下がっているが、これは政府の備蓄米を15円/キロで買っているからであり、もし北海道米を使うと実際には39円/キロであり単純計算では500円/リットルを超していることになる。備蓄米の購入時の価格とキロ15円には当然差損があるがそれは農水省もちである。さらにガソリン市場価格に合わせる為には補助金が必要となる。同社のホームページを見るとCRC部門もありコーポレートガバナンスを重んじる企業だと書いてあり笑わせられる。

 最後に新潟市全農連が操業するバイオエタノールプラントは年産千トンと少なく、量的にはとても採算が取れそうにない規模であるが、もっと驚かされるのはここではコメを原料としているが、2012年の想定価格が304円/リットルであることと、実際には654円/リットルであることである。こんな、想定価格でそもそもフィージビリティーなどしなくてもはじめから破綻したプロジェクトである事が、素人にも解る。

 なぜこんな採算性の無いプロジェクトが補助金対象事業として認められて巨額の資本を投入されて設備が作られ、エネルギーと労力を費やして操業されることになるのか、全く理解に苦しむ。そして政府は再生可能エネルギーと言うものは日本という国土や風土にはあっておらず、やはり原発に頼らざるを得ないと言い。マスコミも国民も納得するのである。

 こんな無理をして再生可能エネルギーを作り出すよりも、建築物を省エネ改築することで簡単に25%程度の電力消費は下げる事が可能である。つまり政府が原発で生産しようとしている分は建築物の省エネ改築だけで達成できる。そのほかにも、農業分野、交通、重工業でシステマティックに省エネをすることで現在のエネルギーは5倍に使う事ができることを、「ファクター5」(明石書店、4,200円(税別)は提案している。
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12 May 2014   12:38:38 pm
日本独自の標準化か
下水処理から出る汚泥からバイオマス燃料の標準化――国交省
ブログ管理人

 5月11日国交省は、下水処理の過程で生じる下水汚泥を原料としたバイオマス燃料「下水汚泥固形燃料」の需要拡大を支援するため、今年度中に同燃料のJIS(日本工業規格)を制定する。JIS認証により品質や性能についての信頼を高め、普及につなげる。同燃料は石炭などの化石燃料の代わりに使えば二酸化炭素(CO2)を削減できるが、使用する企業などに十分浸透していないという。

 国交省によると、2011年に全国で発生した下水汚泥221万8000トン(水分を除く重量ベース)のうち、燃料として有効利用されたのは1%。同省は、下水処理場などでの燃料化が進まない原因について、企業側に「きちんと燃えるのか」「製品に悪影響はないか」などの懸念があり、需要が少ないためと分析している。

 日本下水道協会は既に、下水汚泥固形燃料の発熱量や水分量などを盛り込んだJIS原案を作成。同協会から規格制定を申請された国交省は、日本工業標準調査会に原案の審議を依頼した。同調査会の答申を受け、同省が14年度中に制定する。

 同燃料は、愛知県の衣浦東部浄化センターや広島市の西部水資源再生センターなどの下水処理場が製造。大量の石炭を消費する火力発電所に販売している。

 以上が国交省の発表であるが、この報道を読んで感じることがいくつかある。一つは、この類のシステムの効率を上げるためにはある程度の規模が重要になると言うことである。規模が小さいと効率が上がらず、採算が取れなくなり尻すぼみになる。ブログ管理者は関西電力の舞鶴石炭火力発電所で、あるプロジェクトに携わった経験がある。同発電所ではバイオマスも使用していると対外的に謳っているが、その割合は微々たるものであった。黒い石炭に木材由来のバイオマスの薄茶色のペレットがちらちらと見える程度であったので、恐らく0.1%以下であったと思う。

 衣浦東部浄化センターでは一日100トンの汚泥を処理して8トンの固形燃料を生産しているが、8トンの固形燃料を作るのにどのくらいのエネルギーが消費されているのかを示す資料は見当たらなかった。規模が小さいと、8トンのバイオ燃料を作る為にそれ以上の化石燃料を燃やしてしまっている場合が多々見受けられ、実質的には環境負荷を増やしている場合がある。

 次に工業標準には国際標準化機構(ISO)と言うものがある。欧州ではバイオマス燃料は以前から利用されており、標準化も現在進行中である。固体バイオ燃料規格(欧州標準化委員会TC335)として8本が既に標準化され、16本が審議中であるが、これらも本年度中に標準化される。日本下水道協会の原案がISOに準拠したものかどうかが疑問である。ここでも日本独自の標準を作り、海外から安いバイオ燃料が入ってくる事を妨害するのが目的である可能性がある。背後にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の工作を感じる。メディアはただただ、国交省の発表を聞いてそれを垂れ流すだけでなく、その背後にある意図や作意を見つけ出して国民に知らせるという、ジャーナリスト精神で報道をしてもらいたい。

 グリーン経済への移行においては、ある程度の法的規制が必要となってくる。市場の動向に任せていたのでは、エネルギー・資源の浪費は止まらないからである。ドイツの環境学者エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ワイツゼッカー博士の「ファクター5」では、法的規制、国家と市場のバランスについても論及している。「ファクター5」は明石書店から4,200円(+税)で絶賛販売中である。
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