ダンテの森    
25 Oct 2014   04:13:55 pm
遅れる日本の環境政策
国際社会の動向にはお構いなしの日本の環境政策
ブログ管理人

 10月24日、EUが2030年までに温室効果ガス削減目標を40%にすることで合意したとの報道があった。その達成には再生可能エネルギーを27%にまで増やす事と、エネルギー効率を27%改善することの二つが主要な手段である。EUの多くの国では、建築物の低エネルギー化が法律で義務付けられている。また、効率の悪い温水貯水式の温水器の使用の禁止、フィラメント・ランプの禁止などどんどん法律を作って規制をして、京都議定書第二約束期間(2013〜2020年)中の排出目標に近づこうと努力をしている。

 日本は2009年に鳩山首相がこの京都議定書第二約束期間の終わりまでの目標として、1990年を基準として25%のCO2削減を2020年までに達成すると国連で演説し世界各国から喝さいを浴びたが、安倍政権になってその約束は反故にされるだけにとどまらず、CO2削減目標として2005年を基準として6〜7%に大幅下方修正をしたが、この数字は、1990年に比べると3%増と言う増加目標となっている。そればかりか、京都議定書第二約束期間からは離脱をした。

 10月17日まで韓国、平昌で開かれていた国連生物多様性会議(COP12)は、4年前に日本が議長国として名古屋で開かれた、国連生物多様性会議(COP10)では世界54ヶ国が名古屋議定書に批准したが、日本はその批准を見送っている。その理由は、産業界からの反発が強いためとしている。安倍政権は過去の内閣が国際公約として約束してきたありとあらゆる環境保護政策を、片っ端から亡き者としてきている。まるで、環境政策を壊すことが安倍政権の重要な目標ででもあるような執念のようなものを感じる。

 2013年3月11日の東日本大地震が起きる直前の午前中に、菅内閣の閣議で決定されたFIT(電力固定価格買い取り制度)は、ブームとなろうとしていた太陽光発電や風力発電の増加が増えると、原発再稼働の必要性が危うくなると思った電力会社の繋ぎこみ拒否でいまや風前の灯である。経団連はFITの廃止を口にしてはばからない。

 国際的には省エネによるCO2削減が最も現実的であるとの認識が、燎原の火のように広まりつつある。太陽光パネルが空地を埋め尽くし、山の稜線にでは必ず巨大な風車が回っている景色よりも、建築物を低エネルギー化改築をしたり、航空機より鉄道、トラックより鉄道や船舶、自動車より自転車へとより環境負荷の少ない輸送手段の転換を行い、石油由来の窒素固定剤や農薬に依存しない自然農法への転換を行って、CO2の排出量を削減する方向への改革がはじまってきている。

 それに真っ向から対決姿勢をあらわにしているのが日本政府と安倍政権である。この政権の中枢は、いわゆる新自由主義者が実権を握っており、自由市場でお金がお金を生むような仕掛けこそが金持ち国家へのサクセスストーリーであると信じており、それをすこしでも阻害する産業を規制につながるような事は全て「悪」なのである。産業革命以来200年間にわたって、西欧社会を中心に行われてきた、市場優先の産業構造こそが現在の環境破壊の原因である事がはっきりと解明された現在においても、日本は旧態依然とそれを続けるつもりのようである。
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22 Oct 2014   05:36:24 pm
パッシブ冷暖房
パッシブ冷暖房を後付で実現するセラミック熱交換器を使った吸排気システム。
ブログ管理人

 環境に優しいとか可能な成長と言うと、日本ではまず太陽光発電や風力発電を連想する人が多いのではないだろうか。福島原発事故があったので、さすがに原発に持続可能性が有ると考える人は少なくなったと思う。しかし、成長経済と言うと何か、今よりもっとエネルギーが必要であると考える人が多く、新たにエネルギーを作り出す装置を考えてしまうようである。

 先月のことになるが、ブログ管理人の住む東京近郊の人口40万人の市の市長と話す機会があった。この市の11の小中学校の校舎が東京都の予算で、低エネルギー化改築を行ったと言う。校舎を外側断熱にして、窓枠と窓ガラスを断熱性と気密の良いものに変えた結果、エネルギーコストが30%下がったと言う。これに熱交換式の強制換気システムを加えれば更に数10%の省エネが可能になりますよと加えたが、東京都がやってくれた工事で市としての要望ではないので言われるままにやっているだけとの事であった。建築の低エネルギー改築ではいとも簡単にエネルギーの節約が可能である。いかにこれまでの建築物が、エネルギーをふんだんに使う設計になっているかと言う証拠と言える。

 日本のマンションでは、オール電化が標準である。断熱も気密性も悪い建物に、強力なエアコンと夜間式電気温水器による給湯が普通である。特に夜間式電気温水器による給湯は、EUではすでに禁止されている。給湯は、風呂場、洗面所、台所にそれぞれ設置する瞬間湯沸かし式の給湯(電気あるいはガス)の方が、約60%の省エネになる。日本では、原発推進の為に発電量を調整する事ができない原発の夜間電力をむりやり使わせる目的で、電力会社と政府が一体になってオール電化を推進してきた結果である。

 ドイツ人の若い技術者クリスチアン・ドイティンガー(Christian Deutinger)氏が立ち上げた、パッシブエネルギージャパン(Passiv Energy Japan)と言う会社が開発した、ドイツのセラミック熱交換器を使ったダクトレス熱交換器「せせらぎ」と言う商品がある。この商品は、日本の住宅に標準的に付いている換気口に設置できるサイズに作らており、既存の住宅に後付けが簡単にできる。

 冬は暖められた室内の空気をまず、「せせらぎ」を通じて外に排出すると、排出する時に熱交換器のセラミックを温めて蓄熱して出て行く。タイマーで設定された時間だけ排出をおこなうと、次は吸気に切り替わりこんどは、外の冷たい空気がこの熱交換器に蓄熱された熱で温められて室内に入ってくる。つまり、空気の入れ替えはするが、温度は失わないしかけである。使う電力は3.4Wと小さいが、20℃の室内の空気を「せせらぎ」を経由して排出される空気の温度は2℃にまで下がり、0℃の外気を吸入すると18℃に暖められて室内に入ってくる。これにより、最大94%の省エネができると説明されている。

 この条件になるためにはある程度の断熱と気密性が必要になるのではないかと思われるが、大変に興味深い装置である。現在ブログ管理人も自宅の集合住宅に設置が可能かどうか問い合わせ中であるので、今後の報告できるような進展があれば、その都度報告をしたいと思っている。

 パッシブエネルギージャパンのホームページに詳しい。また、ドイティンガー氏は大の日本通で、達者な日本語で自分の事を詳しく書いているのも面白い。
URL:[url] http://www.passivenergie.co.jp/[/url]
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15 Oct 2014   10:23:30 pm
COP10名古屋議定書
COP10で決定された名古屋議定書を無視する日本政府
ブログ管理人

 生物多様性条約第10回国際締約国会議は2010年10月18日〜29日まで日本が議長国となり開催された。COP10に先立つ10月11日〜15日には,生物多様性条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書第5回締約国会議(COP-MOP5)も開催された。COP10には,179の生物多様性条約締約国や関連国際機関,NGO,先住民代表など1万3千人以上(スタッフ,プレス関係者を含む)が参加した。また,地方公共団体,NGO,民間企業などによる過去最大となる約350のサイドイベントが同時開催された他,隣接する会場では一般の人々が生物多様性の考え方に触れる機会として「生物多様性交流フェア」 も開催され,11万8千人を超える来場者でにぎわった。この詳しい様子は外務省のHP
に詳しい。(URL: http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol66/

 この中にEUの生物多様性保護NGO Ecoropaの代表として、約1か月前から来日し精力的に会議の準備や根回しを行っていたのが、クリスティーネ・フォン・ヴァイツゼッカー( Dr. Christine von Weizsacker )博士で、我々が翻訳した「ファクター5」の主著者のエルンスト・ウルリッヒ・フォン・ヴァイツゼッカー博士の奥様である。生物多様性の学者であるばかりか、環境運動家としても名高い。亡くなった、ノーベル平和賞受賞者であるケニアのワンガリ・マータイ博士とも交友が有り、ある時クリスティーネ博士がケニアの国賓として招かれた時の事であるが、ケニアの空港についてマータイ博士は監獄に入れられている事を知った彼女は、「今すぐマータイ博士を釈放しなさい。そうでなければ私はこのままドイツに帰る。」と入国を拒否したそうです。ケニア政府は国賓を返すわけには行かず、しぶしぶマータイ博士を釈放したと言う逸話があるほどパワーに満ち溢れた人である。

 私の知り合いの大学教授が、名古屋に滞在中のクリスティーネ博士のお世話をしていたのですが、それは良く働く人で一体いつ寝ているのかと思う程であったと言っていた。COP10の準備も煮詰まってきた頃、海外にいるご主人のエルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー博士から電話が有り、「クリスティーネは煮詰まってくると食事もしなくなる。何か部屋に食べ物を運んでやってほしい。」とのこと。知り合いの大学教授は、夜食を用意してクリスティーネ博士の部屋に運んだと語っていた。このように、関係者が寝食を忘れて苦労して作った名古屋議定書である。

 しかし、10月14日の各紙の報道によると、産業界の反対で議定書の締結は見送られる見通しであると言う。一体、この国はどうなってしまったのだろうか。京都議定書の第二約束期間からは脱退する。CO2の削減目標は2020年までに1990年を基準にして25%の削減と2009年に国連で鳩山首相が国際社会に対し約束し大喝采を受けたが、現在はこれも反故になっている。京都議定書も名古屋議定書も日本が議長国となり、取り決めたものである。それを平気で、産業界が反対すると言う理由で反故にすることができるこの国の政府は、国際的に見て普通の民主主義国の政府では無い。そのおかしな政府に対し、従順に従う国民の一人でいなければならない事が恥ずかしい。
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02 Oct 2014   06:54:43 am
EV初体験報告
初めての日産リーフに乗ってみた。
ブログ管理人

 海外から来たお客様を迎えに行く事になったが、ブログ管理人は最近車を普通自動車から軽自動車に乗り換えたので、夫婦と1歳半の子供の3人家族とスーツケース2つは軽自動車には無理とわかり、レンタカーを借りる事にした。

 折角レンタカーを借りるのなら、前から一度乗ってみたかったEV(電気自動車)の日産リーフを借りる事にした。宿泊先が新宿西口なので、日産レンタカー新宿西口営業所で借りる事にして、自宅のPCから予約を済ませた。借り受ける時に、説明が有りリーフは急速充電で、110km位の表示になるが、これはエアコンもライトも使わないで電気を全て走行に使い、かつエコノミー走行した場合の事なので、実際の走行距離はそれより少なくなるので、とにかくバッテリーの残量(走行可能距離としてkmで、インストパネルの右下に大きく表される)を気にしてみて下さいと言われた。

 車はオフホワイトで、そばで見ると結構大きい。トランクルームにリュックサックのような袋が有り、その中に一般家庭用電源につなぐ接続ケーブルが入っているが、100Vで充電すると12時間ほどかかるので今回は用無しである。
給油口開けレバーのようなレバーを引っ張ると、フロントボンネットの鼻先が開き、その中に大小二つのコネクターが有る。大きい方が急速充電用で、小さい方が100/200Vの電源用である。

 運転席に乗り込んで、ブレーキペダルを踏んでスタートボタンを押すと、ダッシュボードが賑やかに点灯する。色んな色が使われていて、統一性に乏しく決して洗練されたデザインでは無い。BMWなら異なったデザインになるだろうと思った。問題の右下の表示は112kmとなっていた。新宿から成田は80kmくらいなので、余裕である。しかし、たしかリーフは160kmの走行距離を宣伝していたのではなかったか。シフトレバーと言うより、シフトスイッチがセンターコンソールのシフトレバーの位置にある。右下に動かすとドライブポジションになり、もう一度右下に動かすとエコ走行になる。まずドライブポジションで走ってみる。さすが回転の最初から最大トルクが出る電気モーターのせいで、出足は結構シャープである。新宿西口の首都高に上がるランプはグイグイと登り快適である。合流も、加速が良いのでラクラクである。出発した時は午後4時頃で日差しが強く、気温も31℃と結構暑くエアコンを入れての走行である。エンジン音も振動も全くない、タイヤから伝わる道路の凹凸からくる振動だけである。シートも適度に固くバケット型で体をきちんと固定してくれている。ここまでは、合格三重マルを上げたいところである。ちょっと気になったのは、トンネルでライトがオンになると、カーナビが暗くなりすぎて、後ろからトラックのライトなどで照らされると何も見えなくなるが、これは、設定の問題なのだろうと思う。成田空港まで40kmと言う時点で、バッテリー残量が60kmになっているのに気が付き、急に不安になる。まだ、40kmしか走っていないのに、72km走ったのと同じ消費量を使った事になっている。この分では空港までたどり着けないぞと思い、シフトレバーをエコにすると、その操作をしただけで、残量が68kmに増えた。エアコンを切るとさらに、71kmになった。それからは、加速や減速をできるだけしないようにエコ走行を務め、残量計を見ながら走る。成田空港のチェックポイントに差し掛かった時には、残りが15kmになり、「バッテリー残量が少なくなりました」と表示とアナウンスで知らされた。しかし、チャージステーションに寄る時間は無いので、そのまま空港第二ターミナル駐車場に入った。

 事前に調べた情報では、第二ターミナル駐車場に急速チャージステーションがある。しかし、駐車場内にはどこにもチャージステーションの表示は無い。ぐるぐる回って探しているうちにバッテリーが無くなっては仕方が無いので、一旦車を止めて、マニュアルを見ると、不明な事は情報センターに聞けとあるので、カーナビから情報センターを呼び出す。親切な女性が出てきたので、成田第二ターミナルのチャージステーションの場所を知りたいと言うと、その位置をカーナビにダウンロードします。それでもわからない時は「ジャパンチャージネットワーク」に聞くようにと電話番号もカーナビに表示された。カーナビの表示を最も詳細にすると、壁の向こう側に位置しているが、壁には通路が無く、ましてや何階なのかも解らない。電話番号に電話すると、自動応答で、質問の種類を聞いてくるが、駐車場内の場所は無く役に立たない。車を降りて歩いて、駐車場管理事務所に行き聞いてやっと場所が北棟1階エレベータ前とわかり、30分チャージして、111kmとなった。帰りは、夜でライトも付け、人数が増えエアコンが要るので、幕張で再度チャージをして、新宿に着いたときはまだ80kmと余裕があった。でも幕張でチャージしなかったらまたハラハラしたであろう。

 以上、EVの乗り方のご参考になれば幸いである。
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13 Sep 2014   11:16:15 am
朝日新聞騒動
今回も環境には直接関係ありませんが、朝日新聞騒動を考えて見ました。
ブログ管理人

 ブログ管理人のように、日本の大手マスコミはどれもどんぐりの背比べであると考え、新聞は図書館で各紙を斜め読みしているものにとっては、特に朝日新聞に思い入れが有る訳では無いので、この騒動を距離を持って見ることができる。しかし、今回はこれまで朝日の読者であった友人たちが、これを機に朝日の購読をやめると言う話を聞き、この人たちはこれまで朝日をジャーナリズムだと信じており、この騒動がショックでそれを受け入れる事ができず購読中止と言う行動に出ているのだと思い、波紋は思ったより大きい事に気づいた。朝日はこの件で経営にも影響が出るほど大きく部数を減らすことになるだろう。

 今回の騒動は、旧日本軍が済州島で従軍慰安婦にするために女子を連れ去ったとの吉田証言をもとにした報道が虚偽であったと言う事で、それを朝日は前例のない全面を使っての謝罪広告を出した。続いて、評論家の池上彰氏がコラム掲載を断られたと他紙が報じ、ドタバタの後結局予定通り掲載となった一件があった。そして極めつけは木村社長が会見し、福島第一発電所の当時現場の最高指揮官であった吉田所長(死亡)が語ったとされる吉田調書を、朝日の編集部が意図的に読み違えて、東電社員が吉田所長の命令に反して、現場から退避していたと報道したことは、誤報であったと認め謝罪し自らの辞任にも言及すると言う前代未聞の一連の騒動は、なにか田舎芝居を見ているようで、後味が悪い。

 朝日新聞と言えば、少し左寄りに演出されて巷のインテリが好むような記事の取り扱いが特徴である。一応反権力のように見せかけ、政治家もあたかも朝日を目の敵にしているようなジェスチャーをしている。しかし、同紙の本質は単なる商業紙で、朝日好き読者のご希望に沿った紙面づくりをしているだけで、ジャーナリズムとしての主張が有るとはとても思えない。いずれにしても、現在の日本の大手新聞社は第二次大戦当時はこぞって大政翼賛で、大本営発表をそのまま垂れ流していただけの新聞社であった。一社として軍部と対決し、発行禁止処分を受けたところは無かった。それ以来日本の大手新聞社は、魂を権力者に売り渡してしまった。朝日とて同じである。

 朝日はそのアロガンスなところが、プチ・インテリに好まれていた。朝日こそジャーナリズムさますと言う姿勢であった。その朝日が、今回恥も外聞もかなぐり捨てて、訂正、謝罪の連続である。これは何かあったと、勘ぐりたくなる。その一つ目は、朝日が何か天下がひっくり返るほどのネタを掴み、それが発表されると困る勢力に潰された。二つ目はそのバリエーションで、朝日が掴んだ重要ネタを餌に、権力側に朝日への特別な計らいを得られるような工作を仕掛けそれが失敗し、権力側からしっぺ返しを喰った。三つ目は、社内の御家騒動が起きている。この三つのいずれかに真実が有るのではないかと、ブログ管理人は考えている。

 これは権力者側からの、今後、大本営発表だけを垂れ流す事に徹する事ができないなら朝日の二の舞だとの、マスコミに対する脅しでは無いのだろうか。脅しなど掛けなくても日本のマスコミは、とっくの昔からお上の瓦版屋になっているのに。安倍政権の進むべき方向にはチリひとつ落ちていてもいけないようである。
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