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14 Feb 2015 02:59:28 pm |
低エネルギー改築 |
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再生可能エネルギー(太陽光パネル)よりも低エネルギー化改築を
ブログ管理人
ある地方銀行がその支店に太陽光パネルを設置して自社で使用する電力を自給し、電力会社から購入する電力を少なくすることで地球温暖化ガスの排出量を削減して環境悪化の緩和に貢献するとしている。
同じ事業費を掛けて、支店の建物を外断熱と断熱窓枠と多層ガラス窓にして断熱構造にして、熱交換器を使った強制換気にすれば冷暖房に使用する電力量が最低でも70%は削減される。これを低エネルギー化改築と言い、欧州における今後の建築ビジネスの主流になるものと言われている。太陽光パネルの設置による発電と低エネルギー化改築による省エネの費用対効果を比較した資料は無い為に、ブログ管理人の今後の調査課題となるものであるが、これまでの知見から言って低エネルギー化改築の方が効果は相当大きいものと思われる。
太陽光パネルの方は、消費する電力を低減することはせずに新たに太陽電池から得られる太陽エネルギーからの電力を、これまで電力会社が化石燃料を燃やして発電していた電力に代えて使う。つまりエネルギーの消費量は減らさない。
一方、低エネルギー化改築は消費電力そのものを減らすものである。今、冷暖房エネルギー削減の対策を行うことを述べたが、省エネできるものはこの他照明、給湯、その他の電気製品が有りこれらを順次進める事で、欧州の国々が2020年には新築建築基準に導入しようとしているエネルギーゼロ建築に近付いてくる。ドイツの低エネルギー建築基準であるパッシブハウスでは一般的に言って従来建築の1/10のエネルギー消費となる。
日本は今「経済成長をもう一度」と政府先頭にやっきとなっている。どういうわけか知らぬが経済成長と省エネは、どうも折り合いが悪いようで経済成長と省エネの同時進行はできないと考えている人が多く、太陽光パネルを新たに増設してエネルギー源を増やすと言うのは、経済的にプラスに見えるため受け入れられやすいらしい。そして低エネルギー改築の方は、ビルの断熱効果が大きくなりこれまで4台有ったエアコンを1台に減らすことは経済の「マイナス」に見えてしまうようである。
現代の世の中では、増大するのは良い事で、縮小するのはどうも悪い事らしい。1970年代に「大きい事は良い事だ」と歌うコマーシャルが流行った時代に何としても戻りたいと思っているのが、安倍政権であり、時代を戻すために一生懸命努力をしている。「ジャパン・イズ・バック」と言う第二次安倍政権発足時に国際社会に向けて出したアピールは、日本経済を1970年代の勢いに戻すと言うことで経済成長一辺倒である。しかし、先進諸国では徐々にではあるが、経済成長一辺倒から脱皮しようとする兆しが見えてきている。
欧州では、不動産には賃貸、販売に関わらず必ずその不動産がどれだけのエネルギー消費をするのかを、公的機関が証明した「エネルギーパス」が必要である。これなしには取引はできない。これを見れば契約しようとしている建物や部屋が、どの位のエネルギー効率であるのかが一目で分かる。年間の電気代、ガス代、水道代も分かる。これは「マイナス」に見えるものを「プラス」に置き換える仕掛けと言えるかも知れない。日本では、このエネルギーパスを普及させようとする民間団体である一般社団法人日本エネルギーパス協会が頑張っている。
日本エネルギーパス協会のURL: http://www.energy-pass.jp/
当ブログでは何度か書いたが、コマツの新粟津工場が昨年5月に完成したが同工場は徹底した省エネ設計を行った為に、従来の工場の1/10のエネルギーしか消費しない。全国の会社はこの工場に習うべきである。
建築物(建築物とは住宅、集合住宅、オフィスビル、工場、店舗、公共建築など全ての建築物を含む)が消費するエネルギーは日本の全エネルギーの40%である。これをすべて低エネルギー化する事で1/10のエネルギー消費量を達成する事ができれば、それだけで日本のエネルギー消費は36%少なくなる。311前の原発が54基全て稼働していた時の原発が受け持っていた割合は25%であるので、建築物の低エネルギー化を達成するだけで、原発を全て直ちに廃炉にしても、CO2は10%削減ができる。実は、これこそ日本の電力業界が最も恐れる事態なのである。世界でトップレベルの電力料金と地域割独占体制で暴利を貪ることを欲しいままにしてきた彼らにとっての理想のシステムの崩壊を意味するからである。 |
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Posted By : dantesforest |
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21 Jan 2015 11:30:59 am |
車椅子の乗客 |
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駅員や運転手が対応する日本と乗客が相互に助け合う欧州。
ブログ管理人
ぼくは都心に出るのには東急田園都市線を使っている。最近この電車に乗って気になるのは、電車が駅に到着すると駅の構内放送で「お客様のご案内があります」とあり、それを確認する車掌の「お客様ご案内確認しました」と言う車内放送が有り、しばらくすると駅員が「お客様のご案内が終了しました」それに答えて車掌が「お客様のご案内終了を確認しました」となって発車のアナウンスになる。
もうお気づきと思うが、これは車椅子利用者を乗せるために駅員がその都度プラットフォームと車両の間に渡す金属板をセットしたり、畳んだりしているのを車掌と連絡を取り合っているやり取りである。これが最近だんだんと多くなってきたように思うのは気のせいだろうか。都内の駅はバリアフリーが進みエレベータが完備した。その為車椅子利用者は、電車を利用しやすくなったと言う事だろう。それはもちろんとても歓迎すべき事である。しかし、電車に車椅子利用者の乗降が有る都度駅員が渡し板を持ってセットするのでは、今後車椅子利用者が増大する高齢化社会に有っては対応が難しくなるのではないだろうか。
バスの車椅子での利用はもっと大変で、まずノンステップバスである事が前提となり、車椅子利用者は運転手にそれを告げ一般客の乗降が終わった後に、運転手が降りてきて、乗降口のスロープを引き出して車椅子の乗車を手伝い、車椅子を所定の場所に固定したのち運転手は運転席に戻って発車する。降車時にはこの反対が行われる。これも、今後どんどん車椅子利用者が増えてきたら運転手の負担が大きくなりサービスにも限度が有ろうと言う議論が起こることになるだろう。
バリアフリーの進んだ欧州では車椅子での公共交通機関の利用はごく当たり前のことである。しかし、その対応は全く日本とは異なる。バスでも電車でも車いすの人が来ると乗客が進んで2〜3人降りてきて、よいしょと持ち上げて乗せる。たいていは、屈強な男性である。降りる時も同じである。これがごく普通の事として行われている。車いす用のスロープや渡し板など全くない。特に、長距離列車の乗降口は狭く段差も大きいので大変であるが、何人かが集まって来てあっという間に片づけてしまう。日本では、車椅子の乗客のお世話を駅員やバスの運転手がやるのを他の乗客はただ見ているだけであるが、乗客同士が相互に助け合う事が当たり前になっている社会をバリアフリー社会と呼ぶのでは無いだろうか。
車椅子利用者も公共交通機関を使う場合には、重量の重い電動車椅子には乗らずに軽量な車椅子を使っているようで、援助してもらう側のエチケットも心得ているようである。
若いころにドイツの市電に乗っていて、うとうととしてしまい自分の前に老婦人が立っている事に気がつかなかった。その老婦人にステッキで靴をつつかれて「お立ちなさい」と言われて飛び上がったことを思い出す。欧州では老人に席を譲るのは当たり前の事で、ドイツの車両では日本のようにプライオリティーシートの指定など無く、どこでも老人や障害のある人が優先である。日本では、プライオリティーシートに若い人が座って老人が来ても知らんぷりと言う場面に良く出会うが、老人が「お立ちなさい」と言うのも聞いたことが無い。
将来は、介護用のロボットなどが発達して問題は解決するのかも知れないが、援助を必要としている人が目の前に居れば、それを助けるのが当たり前と言う社会の方が心地よいのではないだろうか。企業やシステムに解決策を求めるのと、社会として相互扶助の考え方を中心とするのか、どちらの社会がより持続可能性があるのか考えて見たい。 |
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Posted By : dantesforest |
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20 Jan 2015 11:41:08 am |
国立競技場建替反対デモ |
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キラキラ外苑ウォークに参加してきました。
ブログ管理人
1月17日(土)17時から国立競技場周辺で開催された「キラキラ外苑ウォーク」に参加した。当日は、晴天ながら寒いせいも有ってか主催者の呼びかけにも関わらず参加者数は伸び悩み200人に満たなかった。ブログ管理人はそもそも東京オリンピックそのものに反対であるが、現実に国民の血税を湯水のごとく使おうとしていることには反対しなければならないので参加した。主催者の呼びかけでは、集まったみんな一人ひとりが、懐中電灯、スマホのライト、ケミカルライトなど小さな光を持って国立競技場を取り囲もうと言うものであったが、今回は取り囲むまでには至らなかった。
このデモの目的は、2020年のオリンピック開催に備え国立競技場を完全に取り壊して新築することを止めて現競技場を改築することで間に合わせるべきだと訴えるものである。現在進行中の計画によると、3000億円の巨額を投じて高さ20階建てのイタリア人デザインの巨大な自転車乗り用ヘルメット型の斬新なデザインの外観を持つ競技場を建設すると言うものである。このデザインのコンペそのものや、選定プロセスにも疑義があるうえ、解体業者の入札も「官製談合」のうわさがついて回り、落札した解体業者はスポーツ界で君臨する元首相に近しい企業であるなど、神宮外苑は胡散臭い霧に閉ざされてしまった。新国立競技場を審査した有識者委員会の長はあの安藤忠雄氏なので何をかいわんやであるが、委員にはあの毎日新聞の岸井氏も名を連ねているが、彼がこの委員会でどのような発言をしたのかは残念ながら伝わって来ない。
それに対する代替案は、現在の国立競技場のスタンドを増設して座席数を現在の5万から8万人に増やすもので、その費用は700億円である。横浜にある日産スタジアムの建設費が650億円であった事を考えると、改築とはいえかなりのものである事が分かる。しかし国と東京都はどうしても、オリンピックを機会に巨大な建設予算を使いたいらしい。まず3000億円と言うお金を使う事ありきで始まっているようである。安倍政権は、なんであれGDPを押し上げる事は「善」であるので、諸手をあげて賛成である。少しでもお金を掛けて消費を押し上げる事が景気回復で日本復興だと思っているのであるから始末が悪い。
「ジャパン・イズ・バック」の安倍政権にとって、世界に大ウソをついて分捕ってきたオリンピックは、国威掲揚を理由に国家予算をジャブジャブ使ってゼネコンの懐を温めその分け前は政治家がもらい、オリンピックのお陰でできる数々の団体に官僚の天下り先をと作る良いチャンスである。一円でも多くむだ金を使う事がその目的であることは明らかである。
国際競技場の周りは既に工事用のフェンスで取り囲まれ、フェンス内の樹木は全て伐採されて丸太になって積み上げられており、既に解体工事は始っていた。それにしても、デモへの参加者の少なさは都民の無関心を表すものなのか、それとも景気回復にはオリンピック建設ブームが必要だなどと本当に考える人が多いのか、誠に残念至極な結果ではあった。
主催者URL; http://2020-tokyo.sakura.ne.jp/ |
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30 Dec 2014 05:09:14 pm |
今年を振り返って |
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2014年は日本には環境問題が存在しないと言う事を認識させられた年
ブログ管理人
今年も残すところあとわずかとなった。ブログ管理者的には、久しぶりに迎えるゆっくりとした年末である。昨年末は、「ファクター5」の出版を3か月後に控えて、原稿の最後の仕上げに年末の大掃除もすることなく慌ただしく過ごしたが、今年に入ってやっと年金受給者としてゆっくりとした年末を迎える事ができた。
国際社会が持続可能性社会、グリーン経済への移行などとそれぞれにこれまでのアングロサクソン文化が築いてきた経済システムには持続可能性がない事に気づき、新たな経済システムへの転換を模索しようとする中、先進国の中にあってひとり日本だけが、旧態依然と経済成長のみが国家の目標であると「ジャパン・イズ・バック」と過去へ戻る道を進んでいる。
年末に行われた衆議院選挙では、いずれの政党の選挙公約やマニフェストにも環境や地球温暖化対策の文字は見えなかったし、知る限りでは候補者の選挙運動で環境問題を争点にしていた人も見かけなかった。政党の選挙公約やマニフェストは、大手のシンクタンクや広告代理店も一緒に作っているが、そこで行われる市場調査結果やアンケートの結果に地球環境は表れなかったと言うことだろう。つまり日本人に取って地球環境は「問題」では無いと言うことになる。恐らくそれは正しいのであろう。長年にわたるマスメディアの教育の成果と言えるかも知れない。エネルギー政策と環境負荷軽減は表裏一体のものであるので、エネルギー政策関連の今年の動きを考えてみた。
奇しくも2011年3月11日東日本大震災が発災する数時間前の午前中に菅首相は電力固定価格買取制度(FIT)を閣議決定した。一年後の2012年から制度の運用が発効し、太陽光パネル、風力発電などの再生可能エネルギーが1kWhはたり43円で電力会社が購入しなければならないと言うことで、投資がはじまった。その為、接続希望者が増えた為に送電線に余裕がなくなったと言う理由で、北海道電力が2013年4月、沖縄電力が2014年4月、九州電力が2014年9月にと各電力会社が次々と接続拒否をする事態が始まった。2014年4月にエネルギー庁からだされたエネルギー基本計画によると、2020年に再生可能エネルギーの割合を13.5%(1,414億kWh)に、2030年に約2割(2,140億kWh)を目指すとなっている。2013〜2014年に掛けて急激に再生可能エネルギーが増えたと言うが例えば沖縄電力を例にとると、沖縄電力の現在の総設備容量は約2000MWであり、接続しようとされる再生可能エネルギーの総量は186MWと1割に満たない。送電設備は通常でも25%の余裕は見てあるし、沖縄電力では火力発電所が主な発電所なので、出力調整は可能であるのでこの再生可能エネルギーを接続できない理由は考えられない。経産省はこれらの例を取り上げて、2015年初頭には電力固定買取制度の見直し案を出すと言っており、早くも電力業界はFIT制度はこれで終わったと言う人までいる始末である。
2014年にエネ庁から出されたエネルギー基本計画は、2009年に見積もられた最後のエネルギー需要見積もりに基づいて作られたものと思われる、と言うのはそれ以降エネルギー需要見積もりが作られていないからである。その間に総務省は人口動向統計を発表しており、人口の減少、生産人口の減少の見直しが行われ下方修正されている。2010年には8000万人であった生産人口が2030年には6700万人と約16%減少する、つまりGDPもそれ位減少するのが普通である。GDPの減少と、エネルギー効率の上昇(省エネの増進)は、エネルギー需要を大幅に押し下げることになるが、それがこの計画には反映されていない。
電力の問題一つを取り上げても、そこには経済成長が今後も続いて行く事を前提にしか考える事ができない硬直した経産省などの考え方が表れている。安倍政権は「日本を取り戻す!」と言っているのは、官僚や役人が天下り先となる電力業界などの企業・団体を作り続ける事が目的となった役人の為の「政策」を温存することに他ならない。その為には、なんとしても経済成長が必要なのである。いくら円安を誘導しても、売る製品が無い日本の産業を活性化する為には、軍備の輸出、原発の輸出、リニア新幹線の輸出などなりふり構わずやろうとしているのだ。そして、原発を早く再稼働させないと電力料金を上げるぞと国民を脅して、この地震多発の国土でどうあっても原発を動かして「原発先進国」の看板を掲げて世界の国々に原発を売ろうとしているのである。
孫の世代に日本を残すためには、来年こそ、この流れを変えるような国民的運動を起こす必要があると考える。
本年一年ご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。どうか、良いお年をお迎えください。 |
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Posted By : dantesforest |
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19 Dec 2014 12:31:53 pm |
お勧めの本 |
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若杉冽著「東京ブラックアウト」を前作「原発ホワイトアウト」と共にお正月休みに。
若杉冽の「東京ブラックアウト」を読んだ。ベストセラーとなった前作「原発ホワイトアウト」の後編である。各章は現実の大手日刊紙のクリップからはじまり、この新聞記事はこれに続くストーリーの舞台装置である。読者は、この記事の存在により、フィクションが現実であるかの錯覚に入りこむ。登場人物は全て現存する人物に置き換えることが、読者にとってそのネーミングからも可能なようになっており、なおさら現実世界の出来事のように作られている。
著者の訴えているのは、ほとんど的を得たもので本の帯に書かれた「現役キャリア官僚のリアル告発ノベル」と言うのが、決してうたい文句だけではないことは、取り上げられたテーマについて興味を持って日常少し詳しく新聞を読んでいる読者にとっては良く分かる。
前作、本作を読むことで、なぜ日本では建築物の低エネルギー化など欧米では主流となっている本格的な省エネが行われることなく、クールビズやウオームビズなどと言う小手先の省エネしか行われず、また欧米では既に基幹電力の一部となっている太陽光発電や風力発電に代表される再生可能エネルギーが日本ではいまだに一人前のエネルギーになれないのかが良く理解できる。
また、これから日本で本格的にエネルギー改革を叫ぶ運動をしようとする団体の活動家にとっては、その敵の巨大さ強大さを知る事になり運動戦略の構築への手がかりとなろう。
まだ前作を読まずにこの本を読もうとされている方には、まず前作「原発ホワイトアウト」を読まれてから本書を読まれる事をお勧めする。 |
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Posted By : dantesforest |
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