ダンテの森    
13 Dec 2011   05:57:28 am
COP17ダーバン
あやふやな日本の態度は禍根を残した

 COP17が閉会した。南アフリカで開かれていた国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議は昨日11日に閉幕した。2012年末で期限を迎える京都議定書の温室効果ガス削減義務期間を延長することを決定したほか、2020年にすべての国が参加する新枠組みを発効させることを盛り込んだ工程表を採択し、閉幕した。日本は議定書の延長期間に参加せず、新枠組みまで自主的な対策を実施する。

 今回のCOP17では早々と離脱を決めたアメリカと京都議定書の継続を推進しようとするEUは京都議定書には削減義務が謳われていない発展途上国が腕を組んだ。日本はアメリカに気兼ねをしてEUには与しない態度をとった。

 現在地球上に70億人の人類がいる。この内10億人が先進国(OECD諸国)であり、それに続いて中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア等の超大国を含む開発途上国の30億人が急速な発展をしている。さらに30億人が後発開発途上国と呼ばれる貧困な国々で人間が生きる事が出来る最低のレベルでの生活を強いられている。4億人の人々は1日1ドル以下の生活を強いられている。

 現在のエネルギー問題は先進国が産業革命以来200年にわたって地球の資源が有限である事を考えずに開発・発展を続けた結果である。残りの60億人の人達の責任では無い事は明らかである。持続可能社会を作る時にそのことを織り込んで行く事が肝要である。

 いま開発途上国ではインフラの整備の為の土木工事、ビル、住宅建設、自動車の増加がものすごい勢いで進んでいる。これらを持続可能性社会としての発展を促す必要がある。例えばセメントはポートランドセメントでは無くジオポリマーセメントを使う、建築物は高断熱構造、照明は自然光の有効利用とLED等の高効率光源の利用、等いずれもファクター5の中で実証例が示され省エネの為に投下された資本は数年から数十年で回収できる経済性も立証されている。これらの持続可能社会建設の為に有用な技術を開発途上国が利用できるように先進国は十分な援助をすべきである。

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23 Nov 2011   06:46:13 am
閑話休題
中国人戦争被害者の訴訟支援に命を賭ける

 昨日、NPO法人731部隊・細菌戦資料センターで長年活動をされておられる方とお話をする機会があった。731部隊の名前を聞いたことがある人もいるとは思うが、日本政府はいまだにその存在すら認めていないが、731部隊は中国で細菌兵器の開発を行い、人体実験や実際に兵器として使用した部隊である。
 氏は1984年頃からピースボートの事務局の活動を通じて、東南アジアの国々で日本軍による理不尽な被害を受けた方やその家族との交流を行って来られたと言う。その後731部隊による細菌戦で家族を失った中国人被害者が日本政府を相手に起こした損害賠償訴訟の援助活動を始められている。ぼくがバブルに浮かされていた頃に、180人の中国人原告団の為にひたすら身を粉にして証拠物件を集めたり、証言を集めたりされていたと思うと頭が下がる思いで有る。
 731部隊については米軍の公式文書にも細菌兵器の開発を行っていた部隊との記録が残っているとの話をされていた。つい最近も証拠となる資料が国会図書館で発見されたが、それでも日本政府は証拠が無いと認めていないと言う。
 氏は還暦を過ぎたばかりであるが、最近得られた心臓病と戦いながらも、まだ10年は死ぬわけには行かないと戦いの勢いを緩める気は毛頭ないようであった。自分の命を賭けて社会正義を貫いている姿に潔さを感じ感動を覚えた。同時に、このような方の活動があってこそ本当の日中友好があると確信した。
 うわべの経済活動だけの付き合いでは東南アジアの人々が日本人の起こした過ちを赦す事はないだろうと深く考えさせられた晩秋の語らいのひと時で有った。是非又お会いして話をお聞きしたい。

同センターのホームページのURL:
http://www.anti731saikinsen.net/

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20 Nov 2011   02:17:46 pm
持続可能社会とファクター5
今日までブログを書いて見て思う事

  このブログを8月15日に始め昨日で90回書いた。ワイツゼッカー博士の「ファクター5」を一人でも多くの人に知ってもらいたいとの思いで書いて来た。総合雑誌月間「潮」12月号から連載されているが、これまで日本国内でこの「ファクター5」に触れるものはぼくが知る限りこのブログ以外には無かった。

 ファクター5と言う1の資源を5倍に使うと言う事でしか我々がこの地球で生き続ける事はできない。人類は産業革命以来200年間にわたって、地球の化石燃料を使い続け地下深く埋蔵されていた炭酸ガスを大気中に放出し続けてきた。その結果CO2は過去1万年の間250〜270ppmで推移していたのがこの200年間で370ppmに1.37倍に増加した。これはまぎれもない事実である。最近の気象変動や地球の温度が上がっている事とCO2等の温暖化ガスの排出問題は関係性が立証されていないとするむきもあるが、ここに掲げたグラフのようにCO2と地球気候変動には関連が有ると見る方が自然であると思う。

 その原因となるCO2排出源つまりエネルギーを消費しているトップ3は建築物40%、産業30%、交通22%である。これら全ての分野でのファクター5の達成は可能である。いかに人類がこれまでエネルギーの効率化について考えなかったどころか、エネルギーを大量に消費するもの=豊かなものとの幻想を持っていたと言う事が分かる。建築物が消費するエネルギーはその基本設計から考え直す事でファクター5が達成でき、その実証例は今や数限りなく有る。産業もジオポリマーセメントに代表される様な、エネルギー大量消費に頼らなない方法でセメントや鉄が作り得る事が実証されている。交通も電気自動車やハイブリッドカーに代表される交通手段と都市の車によらない交通手段によってファクター5の達成が可能である。また再生可能エネルギーもリスクの大きい原子力に頼らなくても良い風力、太陽光、地熱等が実証されている。

 15年前にファクター4が出された時に「もう我々には時間が無い」と訴えていたのに拘わらず、その後に著しい変化は無かったかに見える。しかし、世界は着実に変革に歩み始めているようである。歩みの速度を速め、間に合わなくならないうちに持続可能社会を作らなければならない。


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19 Nov 2011   10:16:21 pm
日本のエネルギー政策の偏り
何故日本だけ再生可能エネルギーが遅れているのか

今国会で民主党の目玉である事業仕分けが行われている。その中に原発関連の予算が挙げられている。初めて原発関連の補助金等の予算に疑問が呈された。3.11の賜物である。

これは今までの日本政府と言うか経産省はまず原発ありきでそれ以外には蓋をしていた。その結果が風力、太陽光、地熱のいずれでも世界ランキングの10位にも入らないと言う現状を生んだ。

政・官・学にマスコミが加わって「原発立国」を推進していた間に世界は原発以外の再生可能エネルギーにスイッチを切り替えていたのだ。今年の夏は3.11のお陰で東電の発電量予想が毎日発表され暑い日には計画停電が実施された。連続性が無いので役に立たないとされる太陽光発電を夏の暑い日、つまり太陽の日射が多い日のエネルギー源に充てれば十分その役目を果たせる。日が陰る日には冷房の使用量も減るので、太陽光発電量が減っても問題ない。

2011年の太陽光発電の世界ランキングは1位が中国で、米国、インド、ドイツ、イタリア、英国、フランス、スペイン、カナダ、ギリシャがベスト10である。

3.11以降、経産省の計画も少しは変わったのかも知れないが、エネルギー政策を経産省だけに任せている事が心配である。

再生可能エネルギーの旗振りをしているのはNEDOであるが、これも経産省の一部である。


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10 Nov 2011   07:27:34 am
アメリカ出張を終えて
個人の意識改革だけでは持続可能社会は作れないと実感。

約一カ月にわたるアメリカ、テネシー州コフィー郡デカードへの出張を終えての感想である。ガソリンの価格は前回訪れた2004年には1ガロン(3.78リッター)が1ドル(2004年10月頃は105円)付近であったのが、3倍以上の3ドル20セントに上がっていた。これは、日本式に換算するとリッターあたり27円だったのが89円に跳ね上がった事になる。この値上がりが長距離自動車通勤を持続不可能にし、大都市周辺の不動産価格の急落につながり、サブプライムローンの崩壊となり、やがてリーマンショックになっていったとする「ファクター5」の解釈を実感させる。

しかし、私のまわりの平均的ないわゆる中産階級のアメリカ人の生活を見る限りそんなに変化が見受けられなかった。相変わらず彼らが「トラック」と呼ぶSUVに乗り、秋の狩猟シーズンにはライフルを何丁も持ってこのSUVを駆って狩りに出かける、そう言うライフスタイルに変化を認める事は出来なかった。彼らの地球温暖化に対する考え方も、今地球で起きている事が人類が地球に負担を与えた為の変化なのか、地球の本来の温暖化サイクルからくるものなのか証明はされていないと言うのが彼らのコモンセンスの様であった。

滞在していた間、目を通し続けたウォール・ストリート・ジャーナルには持続可能社会を啓蒙するような記事も、オピニオンも、私がブログで紹介した広告記事以外には残念ながら見つける事ができなかった。
テレビのコマーシャルでも相変わらず、巨大な車が宣伝されている。ただ、必ず「効率」「燃費」と言うキーワードは入っている。これが変化の兆しなのかも知れない。

ただ、今回毎日車を使っての通勤でレンタカーの走行距離は3200kmとなる程であったが、アメリカを走っていてこの広い豊かな自然の中のフリーウェイを走るのにコンパクトな車では心もとない気持ちは何となく分る気がした。個人の意識の変化のみに期待したのでは持続可能社会の建設は難しいと実感させられた。

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