ダンテの森    
02 Feb 2012   05:59:32 am
展示会報告
スマート・エナジー・ジャパン2012

 昨2月1日から3日まで東京ビッグサイト西ホールで開かれているスマート・エナジー・ジャパン2012に行って来た。

 展示の8割は再生可能エネルギーとスマートグリッド関連と言う印象を受けた。断熱材料や、蒸発熱に依る冷房、LED照明などの省エネ関連の展示は少なかった。

 エコシティーの展示が各所に見受けられたが、パッシブデザインを取り入れて低炭素型コミュニティーをつくると言うより、再生可能エネルギーと畜電技術とスマートグリッドに力が入ったプロジェクトが多かった。

 産業向けの排熱利用機器や省エネ機器の展示は多かった。

 海外ではかなり盛んに行われているが、日本ではなかなか広まらない地中熱利用を促進する特定非営利法人地中熱利用促進協会と言う団体がある事を知った。

 社団法人セメント協会はカタログ展示で日本のセメント産業は世界最先端の省エネを達成しており2.5GJ/tonで生産していると書いてあったが、その1/8のエネルギーで生産できるジオポリマーセメントについては全く触れていなかった。

 省エネ家電普及促進フォーラムと言う団体が会場で配布していたE-Dietと言うブックレットは家庭でできる省エネについて詳しく、分かりやすく書かれていて大変良いと思った。(写真)これを地方公共団体で各家庭に配布するような事はできないものだろうか。
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18 Jan 2012   05:59:44 am
自転車社会
持続可能社会の都市づくりの決め手

 昨日から出張で大阪へ来て、昨日は古い友人に美味しい魚料理を御馳走になった。友人はぼくのブログを時々読んでくれているのだが、内容が自分の生活に身近では無くピンとこないとの意見を戴いた。もっと身近な話題も取り上げて行かなければならないと反省した。

 大阪の街を歩いて気が付いた事は再開発された地域では歩道の幅を広く取ってあり、歩道を歩行者と自転車に分けてあることだ。市内の自動車の通行量を減らす重要な手段として自転車がある。

 欧米では市街地での自動車利用を極力少なくするには駐車場を少なくし、駐車料金を高くして自動車で市街地に乗り込む魅力を少なくすると同時に自転車道(サイクルパス)を充実して自転車だけで用がたりるような街づくりをすると言うのが持続可能都市づくりの決め手となってきている。

 大阪の街づくりもそれを狙っているのだろうが、実際歩いて見るとかなり危険である。歩行者レーンを歩いているのに後ろから自転車に追い越されて怖い思いを何度かした。自転車道側を歩く歩行者も結構いて通行区分は余り守られていない。

 欧米の自転車道は車道と同じ面に作って有り歩道とははっきりと区別が付くように設計されている。大阪の街の歩道上の自転車道は色分けされたりしているが実際には区分が利用者に認識されていない。

 せっかく作るのならもう少し工夫が欲しいし、使用者側の市民は持続可能社会を作っていると言う誇りを持ってルールを守ってもらいたい。
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08 Jan 2012   03:13:15 pm
スマートグリッド
電力会社は導入に消極的

 スマートグリッドと言う言葉を良く聞くようになってきた。スマートは賢いでグリッドは配電網で「賢い配電網」である。

 発電所―送電線―変電所―配電網―需要家と言うのが電気が配電される順番であるが、このいずれにもコンピュータ制御装置を付けて自律分散型の制御を行い最適な電力供給を行う。それのみに留まらず双方向通信で情報交換を行う事で需要の変化の把握と予測を行い必要な場合は緊急度の低い電気機器への送電を停止する等して調整も行う。また、再生可能エネルギーで発電された個人や企業の余剰電力を送電網に送ることもできる。さらに家庭用蓄電器やプラグインハイブリッド車や電気自動車を電気の貯蔵システムとして使うことも行う。

 もともと、電気インフラが老朽化して停電が多いアメリカで考えられたスマートグリッドであるが、持続可能社会にとって欠かせない電力供給システムとなった。

 従来の電力網は年間の最大ピーク時に合わせて設計されている為に、全ての設備が過剰な容量を持っている。東電は猛暑時6450万kWをピークとしている。これは2001年にこの実績があったとしていますが、それ以外の年で6000kWを上回った実績はない。この数字は電力料金を値下げして大口需要家に猛烈営業を掛けた結果である。そして全ての設備はこのピーク時電力を賄えるように設計されている。猛暑の日の午後2時位にピークとなるがその時の為に大幅な過剰投資が行われそのコストは全て電力料金として需要家が払っている。因みに昨年2011年の最大は8月18日に4936万kWを記録している。

 スマートグリッドを導入して電力供給の適正化を行うなら現在の発電、送電、変電、配電の全てが過剰投資であった事が明確になる。スマートグリッドの導入は電力会社が電力を売れば売るほど儲かると言う従来のビジネスモデルを根幹から変える事から、全国いずれの電力会社もスマートグリッドの導入には消極的であったが、今後それが変わって来る事を期待する。

 スマートメーターはイタリアが先進で2700万世帯、カリフォルニア州が900万世帯、オーストラリア・ビクトリア州が260万世帯に設置が終わっており、オランダは2013年中に全世帯の700万世帯、中国は2016年までに2億8千万世帯に設置される。東電は2013年から10年間で2700万全世帯に設置する予定と発表している。

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01 Jan 2012   12:34:33 am
本年も宜しくお願い致します。
2012年が持続可能社会へ近づく年となりますように。

 昨年は地球の人口が70億人を突破した。10億人の先進国、30億人の発展途上国そして30億人の後発開発国の人々がこの奇跡の惑星に住んでいる。

 生命を育む条件が整っている奇跡の惑星が生まれたのは46億年前と言われている。当時の大気には高濃度のCO2が有ったが、32億年前に現れた植物性プランクトンの光合成により徐々にCO2は減少し長い歳月を経てやっと現在と同じ程度の濃度となり8億年前に多細胞生物が現れ、20万年前にぼくたちの祖先と言われるホモサピエンスが現れた。1万年前に農耕と牧畜が始められ、200年前に産業革命が起きた。

 かつて高濃度であったCO2は光合成により油脂に変わり海底に沈み圧力で地層となっていた。これが石油や石炭である。ぼくにはこれは地球と言う奇跡の惑星が生命体を育む為にCO2濃度を下げる為の準備だったと思える。

 産業革命はそれまで人力、家畜、風力、水力等で行っていた作業を機械に置き換えた。その為には動力のエネルギー源が必要で石炭石油を掘り出して燃やすようになった。電気の発明は発電所を必要とし、自動車は石油を必要として、人類はかつて地球がそっと地底にしまっておいた石炭石油を掘り出して燃やしCO2にして大気中に放出をしている。その為に過去何万年も変化が無かったCO2濃度がこの100年間で急激に上がり、それにつれて地球の温度も上がった。これが地球温暖化だ。

 地球が育んできた生命体の頂点に立つ人類が母なる地球を傷めている。現在の地球温暖化を引き起こしたのは10億人の先進国のぼくたちだ。今発展している30億の人たちがぼくらと同じ方法で化石燃料を使うと単純に考えて3倍の速さでCO2濃度が上がることになり、残りの30億の人々が発展する前に奇跡の惑星は人類を養って行けなくなってしまうかも知れない。時間はもう無いのだ。

 ファクター5でヴァイツゼッカー教授はエネルギー効率を5倍にする方法が既にたくさん存在する事を証明している。さらに10倍にする事も可能であるし、ゼロエミッション(排気ガスがゼロであること)も夢では無い。方法はあるのだ。これを実行するには乗り越えなければならない幾多の壁が有るが、一番大きなものはぼくたち自身の考え方の改革であろう。
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31 Dec 2011   11:12:07 am
良いお年をお迎え下さい。
2011年は地球環境を考えさせてくれた。

 あと、僅かで今年が終わる。人類は地球の公転の周期により繰り返す季節の移り変わりの変化を事前に知る智恵として暦を作り厳しい自然と向き合って来た。

 先進国に住む現代人にとって暦はどのくらいの意味を持つのかは疑問である。農業や漁業に直接かかわる人は別にすれば今や季節はさほど個人の生活に影響は与えない。それでも年末になると人は気ぜわしくなり急にいろいろと身の回りを片づけたりする。人間のDNAには1年と言う周期に対する反応が書き込まれているのであろう。

 2011年3月11日に失われた多くの命にはそのご冥福を祈る他ないが、この日は人類、とりわけ日本人にとってエネルギー問題を振り返らせてくれた。地球の営みに対する人間の無力さ、人類の作りだした技術のもろさ、政治家の責任の重大さの3つであったと思う。

 この日は環境問題には長年関心を持ってはいたが特にこれという活動をして来た訳ではないぼくにこのブログを書くきっかけとなった。8月15日から書き始めて書き込みは130回を超え字数は通算で7万字になった。毎回図版を入れて読者が少しでも興味を持ってもらえるように努力をしているつもりである。最近は多い日には200人もの訪問者があり、平均でも5〜60人の人が読んでくれているようである。内容が難解とのご指摘を何人かの読者から直接戴いて居り、ぼくの表現力の足りなさを反省している。

 ファクター5はもともとローマクラブへの報告書であるところから、どうしても内容が専門的になってしまう。もっとかみ砕いて書く必要があると思う。ヴァイツゼッカー教授は月刊総合誌「潮」で連載をしているが、それを読む読者の参考にして戴ければ幸いである。

 拙文をがまんしてお読み戴いた読者の皆様に感謝を申し上げると共に、2012年が皆様にとってより良き年でありますようにご祈念いたします。

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