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11 Mar 2012 12:44:49 pm |
大震災から1年 |
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エネルギーについて真剣に考える日としたい
大震災から1年。犠牲者の御冥福と復興への前進を厳粛に祈念いたしました。
ぼくがこのブログを書く決意をさせたものは東北大震災と福島原発事故だ。2011年3月21日付けのオーストリアのウイーン新聞(Wiener Zeitung)にフォン・ヴァイツゼッカー教授はインタビューに答えて「私たちは100年後には、あのフクシマが原発時代の終焉の始まりであったと言う事になるでしょう。」と答えていたのを読んだ時である。
ファクター5には持続可能性社会を築く為の省エネを具体的な例を挙げて、資源を5倍に使う方法が既に有る事を書いている。彼は既に15年前にも前著「ファクター4」で50以上の例を挙げて資源を4倍に使う方法を述べていた。しかし、この15年間に省エネはおろかエネルギーの消費量=GHG(地球温暖化ガス)の排出量は増加の一途をたどっている。
そこに起きた福島原発事故は果たして私たちにエネルギーについて真剣に考える事を始めさせただろうか。残念ながら政府、産業界、学会、マスコミは原発が無くなることによるエネルギー不足の事を心配するのみである。昨年夏、関東は猛暑に襲われた、政府と東電は電力使用量制限の輪番制を発表して、産業界は曜日による大口需要者の使用制限を行って「危機」を乗り切ったとしている。その為に関東の電車まで間引き運転をした。電鉄が消費する電力は2%にも満たないのにである。出勤曜日が変わった産業に勤務する人の生活パターンが変わった事は大変であったかも知れないが、他に関東一円に居住している2千五百万人の人の生活にどれだけ支障をきたしたのであろうか。
エネルギー問題は決して石油の代替エネルギー源を探す事ではない。石炭、LNG、オイルサンド、メタンハイドレート、ウランこれらは全て化石燃料で問題解決にはならない。再生可能エネルギーはまだ高コストであるが、これから徐々に広まるに従いコストは下がるが、なぜもっとエネルギーを必要だと思うのか。
世界のエネルギー総消費量の40%が建築物で消費され、22%が運輸で消費されている。もし全ての建築物をパッシブ設計のグリーンビルにする事ができれば建築物が消費するエネルギー量は8%になり省エネされた32ポイント分だけで原発54基分を大きく上回る。エネルギーはそのくらい無駄に使われているものなのだ。
東北復興は単なる復興ではなく持続可能社会の建設にして行きたいものだ。
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02 Mar 2012 11:06:21 pm |
ファクター5の実現 |
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すぐに持続可能社会が作れる国のアライアンスを
2月29日のフォン・ヴァイツゼッカー教授の講演の概要である。
もし今日のトピックが気候変動、資源とエネルギーの使い方、地球と人類の持続可能な社会についてであるとするならば、持続可能な開発とは何かを知る必要がある。
持続可能性とは小さな環境負荷で高い生活水準を維持する事で有る。
もし、現在の70億人が10億人の先進国(OECD諸国)と同じ生活をしていたとするなら地球が5個あっても足りない。
エネルギー消費は
―電気自動車を再生可能エネルギーで充電して使う。
―建築物をパッシブハウスにする。
―建築物を外断熱にする。
―セメントはポートランドセメントをやめてジオポリマーセメントにする。
―車なしで生活できるグリーン都市計画にする。
―地産地消で運送システムをも直す。
―農業の省エネ、省水を行う。
―鉄鋼石からの製鉄を止め鉄くずからの製鉄に変える。
―他の地下資源の掘削を止め資源のリサイクルを行う。
等で80%を削減が可能である。
しかし、この省資源・省エネ革命は自分からはやってこない。もし、市場経済に任せるなら決して正しい方向には進まない。かと言って、お役所の縦割り行政に任せてはいられない。
価格にこの働きをさせてはどうであろうか? 価格は力を持っている。それには人工的に資源とエネルギーの価格高騰を制御する政治の力が必要である。
省エネをきちんと把握したうえで適正な価格を設定する事で同一サービスに対する対価は安定したものとなる。(最貧の人達には別途セーフティーネットが必要)
エネルギー価格が上昇させる事で持続可能性社会の経済が回り始める。
これを出来る国同士がアライアンスを組んで早々に始めるべきである。遅れてくる国を待つ必要は無い。彼らはいずれついてくる。
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01 Mar 2012 08:17:03 am |
シンポジウム報告 |
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期待される学際を超えた名古屋大学環境学研究科の存在
2月27日から名古屋大学環境学研究科の主催で開かれていたグローバルCOE(臨床環境学)のシンポジウムを取材してきた。
最終日の昨日29日は、野依記念ホールでの「地球に優しい資源・エネルギー利用へ −東日本大震災から1年」をテーマに特別公開講演会であった。
林良嗣教授の総合司会で開会され、今回のテーマと登壇者の紹介が行われた。プリンストン大学の眞鍋淑朗教授は専門の気象学から地球温暖化は実際に起きていると言う証明がなされ、その原因は人間の活動によるCO2の排出であり、現在の各地で発生している異常気象の原因にもなっているとの話があった。
続いてマックスプランク研究所のハンス・ペーター・デュール教授は人間が地下資源を使っているのは環境が埋蔵した資源を盗んでいるのであって、人間は早くそれをやめて無限に降り注いでる太陽のエネルギーだけで生活できるシステムを作るべきであるとの話をされ、専門の核エネルギーは地下資源の代替エネルギーにはならない、何故ならウランも地下資源だからだと結論した。
エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ヴァイツゼッカー教授はファクター5に書かれている現在の資源の使用効率を5倍に上げて資源の使用を1/5に減らす事が最短の方法で、その方法は既に存在している。それでも足りない場合は再生可能エネルギーを使えば良いと話した。
最後に東京大学の米本昌平教授は環境問題と国際政治の関係を論じ、領域を超えて環境問題に取り組む事が肝要であると話した。
最後に中日新聞社論説員の飯尾歩氏をモデレーターにパネルディスカッションが行われた。今回のテーマ「地球に優しい資源・エネルギー利用へ −東日本大震災から1年」に対し2人のドイツからの先生は明らかに反原発の姿勢を示していたが、日本人の先生からは科学的にきちんとした評価を行った上で検討されるべきとする立場であった。
今年で発足10年目を迎えた名古屋大学環境学研究科は自然科学、社会科学と言う学際を超えて地球環境問題を研究する大学院研究科であるが、ますますの今後の活躍を期待したい。
今回お世話になった林良嗣教授にブログ上を借りて心からお礼を申し上げます。
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29 Feb 2012 06:10:38 am |
基礎・臨床環境学 |
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世界から50人余りの環境の研究者達が集まって会議
一昨日(2月27日)から名古屋大学で開かれている「地球学からの基礎・臨床環境学への展開」と言う国際会議を取材させてもらっている。この会議のアドバイザーの一人としてファクター5の著者のフォン・ヴァイツゼッカー教授が来ているからだ。世界から50人余りの環境の研究者達が集まって喧々諤々の真剣な討議が続いている。
環境の問題は余りにも大きく専門分野別に議論するのは目の見えない人が象を手で触って象とはこういうものだと言っているようなもので、環境問題の一面は正しく捉えていたとしてもそれが問題の全体を明らかにする事にはならない。瀕死の状態にある環境(地球)を丁度重病患者を医師団が診断するようにそれぞれの専門分野ごとに診断した結果を持ち寄って最高の治療法をみつけるような学問が基礎・臨床環境学であると思う。
今日のディスカッションでドイツの研究者が地域計画について発表していたがその中で異なる行政機関や異なるレベル(県、市、町、村)の議会を問題解決を必要としている地域として統合して取り組む事が大切であると訴えていた。それに対し日本では行政の縦割りの弊害が大きく、今緊急テーマとなっている東北復興でさえ統合はむずかしいと言う話が出ていた。環境問題は行政区分や所轄省庁別と言った区分けは無い。日本の研究者が言っていたが災害も環境問題も問題の本質は同じで、その時間軸が違うだけだと言うのは、その通りだと思った。急激に環境が変化する事を我々は災害と呼んでいるだけである。
環境(地球)が無ければぼくたちは生きて行けないが、ぼくたちが居なくても地球は生きて行けると言う事を忘れてはならないと思った。それに、世界から集まった研究者が真剣に環境の事を話し合っているのを目の当たりにして、人間の英知で解決できるのだとの確信を強くした。
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14 Feb 2012 05:46:33 am |
メタンハイドレート |
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マスコミが一斉にはやし立てるものにろくなものは無い
ここのところマスコミが騒いでいるものにメタンハイドレートがある。やれ日本はこれで資源大国になっただの、燃料を海外に依存するのはもう終わりなどとかまびすしい。まもなく愛知県沖で採掘実験が始まるからである。
とまれ、3.11まではマスコミはこぞって原発こそ唯一の石油に代わるエネルギー源だと言っていたのを忘れてはならない。だいたいマスコミが一斉に同じ事を言う時はろくでも無いと言う事をそろそろ学習してはどうだろうか。
メタンハイドレートはメタンガスが氷の籠に閉じ込められたものである。メタンガスはGHG(地球温暖化ガス)としては大変パワフルでCO2の21〜23倍強力な効果を持つ。氷に閉じ込められていたメタンガスは気体になるとその体積は170倍になる。メタンガスはCO2よりも空気よりも軽くガスそのもので大気中に放出されると短時間で高高度に達する。但し、寿命は短く10〜20年で消失する。(CO2は100年以上)しかし、地球温暖化が問題となっているこの今、それを加速するようなメタンを石油の代替として掘り出す事が良いのだろうか?
メタンハイドレートは人が直接作業する事のできない水深500m以上の深海で取り出す事になるが、つい最近メキシコ湾のBPの深海石油掘削プラットフォームの大事故があったような事が起きて生のメタンが大気中に放出されるような事は絶対に無いのか十分検証はできていない事が問題なのである。何故ならメタンハイドレートの研究そのものが新しいもので1970年代から始まったものだからだ。
ぼくらにはもう失敗は許されない。
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