|
12 Jul 2012 05:57:10 am |
変化する米の自動車 |
|
|
燃費が最大のセールスポイントになってきたアメリカの自動車市場
このブログではアメリカの自動車事情について何度かふれている(2011/12/30等)が、最近はアメリカ市民の自動車観が少し変わり始めたようだ。
アメリカの自動車専門サイトedmund.comを読むと最近のネット上、新聞広告、TVコマーシャルの自動車の広告が一番強調している数字は40MPGだと言う。これは燃費を表す数値で1ガロン(約3.7リットル)で40マイル(約64km)走行するつまり17km/リットル以上の燃費性能だと言うキャッチフレーズだそうだ。
つい数年前まではアメリカには40MPGと言える車は3車種しか市場に出ていなかった。その内2車種は日本のハイブリッド(HV)車で、あとの一台はスマートカーであった。当時、と言ってもほんの数年前であるが、全米の自動車各社は40MPGを現状のエンジン技術では達成不可能でHV等に切り替えるより方法は無いと言っていたのだが、2012年に入って24車種もの40MPG車が市場に投入されている。その内15車種はHVでは無い。新開発の小型高出力エンジンと多段トランスミッションのパワートレイン、新空力設計そして軽量化で達成したとしている。数年前の彼らのコメントは嘘であった訳である。
アメリカでのガソリン価格は高止まりのまま動く様子を見せないのが、40MPGを後押ししている。これでアメリカの自動車の進む方向が決められたようである。次は50MPG(21.6km/リットル)であろう、この数字は日本や欧州ではもう珍しいい数値ではなくなっている。オバマ政権が始めた燃費の良い車のウインドウに貼るEPAステッカーも少しは貢献しているのかもしれない。
いずれにせよ、現在はまだ世界第一の自動車保有台数を持つアメリカであるので、この国での燃費向上は地球温暖化防止に大きく貢献する。40MPGの車は従来の車に較べ年間約1.5トンのCO2の排出を削減する。アメリカは2025年には3億トンのCO2削減を達成しなければならず、自動車メーカーが50MPGからさらに低燃費を競争を激化させる事を望む。いよいよ自動車業界もグリーン経済へと移行し始めた。
|
|
| |
カテゴリー : ブログ管理人 |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
10 Jul 2012 08:09:32 am |
ドイツと日本の環境世論 |
|
|
この20年間で大きな差ができてしまった両国
先日、ぼくが出版社の人から、環境や省エネ先進国の日本に環境問題を扱った外国の文献を翻訳しても売れませんよと言われたと言う話をある人にしたら、昨日その人から「日本政府や企業がドイツから学ぶべきは、技術を海外から導入してビジネスをいかに拡大するかではなく、環境に対する考え方ではないかと感じています。安全性を優先させ、また次世代、次々世代に汚染を残さないことを基本法に明記する国の考え方を学んでほしいですね。」と言うメールを戴いた。
ドイツでは、1980年代の初めに西ドイツにおいて環境保護をドイツ基本法(日本の憲法に相当)に追加するべきだという議論が、議会や政党レベルで起こった。1990年の東西ドイツが統合を経て、1994年、ドイツ政府はドイツ基本法に環境に関する条文を追加するという画期的な決定を行った。条文の趣旨は「国家は、次の世代に対する責任において自然環境を保護する」というもので、この条文はその後のドイツ環境保護政策の方向性を示したものとして、内外から高い評価を得ている。ドイツの資源リサイクル、自然・景観保護、温暖化防止、水質保全、騒音防止などの法律の制定は、このドイツ基本法における環境保護の条文によっている。ドイツが環境先進国と言われるようになった所以である。
因みに現在の政権はCDU(保守)と緑(環境保護)の連立であるが、その連立合意文書の冒頭には地球環境保護が謳われている。
日本では、1993年に制定された環境基本法により、環境保全についての基本理念が示されている。同法では、国、地方自治体、事業者、国民の責務が明らかにされるとともに、環境保全に関する施策の基本事項などが定められている。また、地球規模の環境問題に対応し、環境負荷の少ない持続的発展が可能な社会をつくることや、国際協調による地球環境保全の積極的な推進などが基本理念としておかれている。
しかし法律の制定から20年経た今、ドイツ、日本両国の環境への取り組みは大きな差が出てしまった。福島の原発事故を見てすぐに「原発撤廃」と国民運動を起こしたドイツ国民とそれにすぐ反応して「2020年までに全原発停止」を宣言したドイツ政府、それに較べて未だに「原発が無いと計画停電だ」と脅す電力会社に対し何の手も打てない日本政府の体たらくが、その差を象徴している。
毎週金曜日の反原発デモが全国民の環境問題=エネルギー問題の世論を高める場となって行く事を念願する。
|
|
| |
カテゴリー : ブログ管理人 |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
09 Jul 2012 08:08:59 am |
省エネキャンペーン |
|
|
本当の省エネは望んでいない電力会社
マスコミが訴える省エネは、電力会社の省電力のお願いをそのまま写したもののようで、実に巧妙な罠が隠されている。まず、使っていない電気機器のコンセントを抜きましょう、冷蔵庫のドアの開閉はできるだけ短時間に、等と省エネは難行苦行ですよ、大変な労力と注意が必要ですよとの印象を植え付けている。そして、原発さえ動けばそんな苦労はいりませんよと、ささやいている。
それで達成できる省電力は数パーセントから10パーセント程度のものである。ぼくが、このブログで紹介している「ファクター5」に書かれている省エネは80%の省エネである。そして、最終ユーザーの我々には全くの「難行苦行」も「労力も注意」も必要無い。経済構造が変わるだけである。
電力会社は全ての原発を止め、さらに火力発電所の半数も必要無くなる。つまり、電力会社そのものが半分以下の規模で済む。
全エネルギーの40%は建築物が消費している。建築物とは、住宅、商用ビル、工場などである。これらをグリーンビル化する、(既設建築物に手を加える事で可能で新規建設に限らない)事で建築物が使うエネルギーを最低で50%カットが現存の技術で可能である。その方法は、断熱を良くし、水のリサイクルを行い、排熱を再利用し、照明を改善する、空調デザインを変えるなどを行うことで達成できる。つまり、この分野だけでも全エネルギーの20%が節約できる。この分野だけで原発はいらなくなる。
これは一例で、他に交通、農業、重工業と言うエネルギー大量消費分野をどうすれば80%の省エネが可能かが示されている。いずれもが現存する技術で可能で、すでに実証済みのものばかりである。
これを行うと一大産業構造の革命が起きる。電力会社は規模が半分となり、その他のエネルギー産業、石油元売り、ガス会社等も半分で良くなる。その代わりに省エネ技術を売り物にする企業が台頭してくる。グリーン経済への移行が始まる。新しい産業の波、第六のコンドラチエフの波(図)が始まる。当然、現在の電力会社をはじめとする既得権益を持つ産業界からは猛然と反対が予想される。
しかし、そんなものに構っている暇は地球には無い。
|
|
| |
カテゴリー : ブログ管理人 |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
07 Jul 2012 08:52:47 am |
東京ブックフェア |
|
|
地球環境、持続可能な開発などを前面に出した出版社は見つけられなかった。
7月8日まで東京ビッグサイトで開かられている東京国際ブックフェアに行ってきた。25ヶ国800社が出展していると言う大きな展示会で、昨日は金曜日のせいもあって大盛況で、通路では肩と肩が触れ合う事もしばしばであった。
出展ブースを見ての印象は、大手の出版社のブース面積が以前より小さくなったことと、1コマブースの数が増えたことで出版業界の景気の悪さが伝わって来た。目につく展示は電子出版であった。
ブースを駆け足で一回りして地球環境、持続可能な開発などを探したが、これらをテーマに掲げた出版社は皆無であった。展示されている本の中にこれらのキーワードを含む本がディスプレイされていたのは数社の出版社と大学出版会のブース位であった。何社かの説明員とも会話をしたが、環境、持続可能性のテーマでは一般読者は買わない、学術、専門書の限られた分野であるとの認識しか無いようであった。
日本人は311以来、環境やエネルギー問題の重要さを認識しなおしたのでは無かったのか、いまだに興味の対象外と言うことなのだろうか。また、「ファクター5」についても話して見たが、環境問題は日本は最先端を進んでいる国であるので、海外から環境関係の本をわざわざ訳しても日本の専門家は買いませんよと言う出版社の社員もいた。
フォン・ヴァイツゼッカー教授は、2010年にベルリンで開かれた「ファクター5」のドイツでの出版を記念しての講演の中で、人類が自然環境から資源を使うだけ使って、環境の為にお返しする事をしない、環境に感謝の念を持たなくなったのは、人類の有史以前に遡ると話している。人類が狩猟と採集の時代から農耕と畜産を始めた時から人類は、自然を一方的に搾取の対象としたのだとしている。しかし、これは西欧文明に限ってのことであって、東洋や日本では自然の中に神々を見て、怖れ、尊敬していた。それが西欧文明によって毒されて現在があるのだと思う。そうすると僅か200年程の短い間の変化であるので、DNAにもそれほど多くの書き込みがされている訳ではないだろうから、西欧人に較べれば簡単に元に戻るのだろうか。
|
|
| |
カテゴリー : ブログ管理人 |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
03 Jul 2012 08:09:06 am |
ドイツの反原発運動 |
|
|
市民運動なしには原発は無くならない。
先日テレビでドイツの反原発運動の話しを見た。ドイツ南部黒い森のシェーナウ(Schoenau=美しい谷)と言う当時人口2500人の町で起きた原発反対運動の話である。主人公はこの町の教師で3〜12歳の5人の子供の母親のウルスラ・スラーデク(Ursla Sladek)さんである。
1986年チェルノブイリ原発事故が発生、放射能はドイツにも届いた。その年のシェーナウの野菜の収穫は放射能汚染の為に全て廃棄された。母達は汚染されていないミルクを求めて遠くまで走り回った。スラーデクさんを中心に10人の親達で「原子力の無い未来を求める親達の会」をつくった。彼らはまず、原子力とは何かから勉強をするために専門家を招いて猛勉強を始めた。その結果、原子力に頼らない社会づくりを目指す。
つぎに原子力発電からの電力を使わなくしようと、節電運動を始め町全体で10%の節電を達成した。すると、電力会社から「営業妨害」だと文句をつけられた。それでは自分達で電力会社を作れば良いと、電力会社作りを計画して住民投票にかけた。結果は54%で賛成多数を得て実行となった。市民から募金を募り電力会社から送電設備を買い取る2億円の資金をやっと集めるが、電力会社は4億円だと言う。
それではと、全国に訴えて資金を募った。その時のキャンペーンのスローガンが「私は厄介者です。(Ich bin ein Stoerfall.)」このフレーズで新聞やTVスポットを流し話題をさらった。写真と実名入りで「私は厄介者です。」と原発廃止を訴えた。資金も集まり1997年にEWSと言う電力会社を立ち上げ、原発に由来しない電力のみで町に電力を供給しはじめた。
翌年1998年にはドイツでは電力の自由化となり、EWSには全ドイツから原子力に由来しない電力を買いたいとの申し込みが殺到する。2012年現在契約者数は13万世帯になっている。電気料金は他の電力業者より10%高いが、電気料金のうち5%は省エネ技術や、再生可能エネルギーの開発の為に出資されている。スラーデクさん達は2011年度のゴールドマン環境大賞を受賞している。
2011年3月、メルケル首相はそれまで原発の稼働年数を延長する事に決めていた方針を撤回し、2022年までに全原発の停止を決定した。これは福島原発の事故を受けて全ドイツに数10万人の原発反対のデモが起こり、直後のバーデンヴュルテンベルグ州(シェーナウがある州)の地方選で与党のキリスト教民主同盟(CDU)が大敗したのを見て取った処置である。大飯原発の再稼働に反対するデモが報道されたが、これから日本も反原発運動が広まって来るのだろう。ドイツより26年遅れたがこれから始まる予感を覚えた。
|
|
| |
カテゴリー : ブログ管理人 |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
ページ: Prev 1 2 3 ...55 56 61 62 63 Next |