ダンテの森    
12 Aug 2012   12:27:42 pm
航空業界のグリーン化
航空輸送に対するCO2排出規制に反対する法律が米国議会を通過

 米国の航空会社に欧州が定める排出権取引協定(EU ETS, Emission Trading Scheme)に加盟することを禁止する法案が昨年12月に上程されていたが、8月2日に夏休み中の為に審議されぬまま上院を通過した。下院は同法案を既に可決している為に、法律として発効する為にはオバマ大統領が署名するのみである。グリーンピースや環境保護のNGOは大統領に署名をしないようにロビー活動を強めている。

 航空は一人の旅客が一定距離を移動するのに最も環境負荷が大きい輸送手段であり、現在は総地球温暖化ガス(GHG)排出量の2%であるが、年率28%で増加している最大の増加率を持っている分野である。

 EU ETSは欧州に拠点を置く航空会社のみにとどまらず、欧州内の空港に離発着する路線に対しCO2の排出量に応じた環境税を支払うか、排出権の購入を義務付けるものである。中国はすでにこの協定に加わる事を禁じる法律を施行しており、ロシアはアメリカと協調歩調を取ることに決めている。日本は態度を保留している。

 アメリカはこの協定に反対する16ヶ国を8月にワシントンに集めて2日間の会合を持ち全会一致でEU ETSに反対する決議をした。しかし、決議文などは出されていない。また、この会合で環境負荷対策についてはICAOで協議することが採択されたとしている。欧州各国は長年にわたってICAOに対し環境負荷対策を議題に取り上げるように働きかけて来たが保留されてきたので、この面では一歩前進したと言えるが、ICAOは3年に一度しか会合が開かれず、次の会合は来年である。

 EU ETSは、アメリカが国際法違反として上訴していたが2011年12月に欧州裁判所は国際法を冒すものではないとする判決を出している。

 EU ETSは例えば東京を発ってロンドンに向かう航空便にはその全路線に渡るCO2排出量を計算の対象とするもので、反対国の主張は欧州域内に入った路線を加算するのはともかく全路線に渡って加算するのは納得できないとしている。ちなみに、CO2は短時間で拡散する為に常に地球上のCO2濃度は場所によらず一定である。

 イギリスの航空会社バージン航空は、廃油から航空燃料を作る技術で、ゼロエミッションを目指しているし、ドリームライナーと呼ばれるボーイング787は東レの炭素繊維の全面採用で40%の燃費向上を達成しており、EU ETSのような規制は航空機業界のグリーン化を促進する効果を持つ。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
11 Aug 2012   06:52:42 pm
東北にグリーン都市を
未曾有の危機を持続可能社会建設のチャンスに

 仏教には「変毒為薬」と言う言葉がある。毒を変じて薬と為すと読むが、意味は危機や不幸をチャンスに変えると言う意味である。

 2008年に起きたリーマンショックから始まった世界的な経済危機は、考えられない程の悲惨な事態を生んだ。人々は、これで安心と思っていたところが、家を、財産を、仕事を失い、中には飢餓の恐怖さえも味わう思いをする事になった。政治はこの悲惨な状況から一刻も早く抜け出せるようにと対策を講じた。その迅速な危機管理は有る程度効を奏し、1930年の世界的恐慌から世界大戦へとの悲惨な事態こそは回避した。

 しかし、この経済危機は「グリーン経済」への移行を始める事ができた最大のチャンスであった。もとより原油価格の高騰に因を発した経済システムの破綻は、高エネルギー依存から低エネルギー依存型経済に移行する大きな動機となりえたはずであったのに関わらず、安易にもと来た道に戻ってしまった。グリーン経済に戦略的に移行することで新たな職場を確保すると言う政策を取った国は現れることは無かった。最大のチャンスは生かされること無く見送られた。

 現在日本は東北大地震からの復興が直面の課題である。特に東北沿岸部の津波により全滅した都市の復興は持続可能都市いわゆるグリーン都市建設の最大のチャンスである。政府、地方公共団体が地権者と真剣に都市の未来を話し合ってグリーン都市建設の為に全くの白紙の状態から新しい都市を作る事ができると思う。ファクター5には都市のデザインの考え方について、可能な限り、日常の生活、公共サービス、医療サービスは徒歩圏で受けられる事、通勤・通学は自転車圏に、都市内の移動はライトレール等の再生可能エネルギー利用の公共交通機関で行う等の都市計画を提案している。

 東北に持続可能な都市の建設は新たな雇用を生み、東北の経済復興が行える。出来上がった都市は、人と人の絆を身近に感じることのできる住空間と、高齢者も自分で生活が可能な都市、自転車と徒歩で殆どの生活が営め、更にCO2を出さす環境負荷も少ないグリーン都市ができれば、日本がグリーン経済のリーダーたり得る資格を得ると同時に、復興を応援してくれた世界への最大の恩返しになる。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
04 Aug 2012   08:55:03 am
グリーンオリンピック
ロンドン2012では史上初の持続可能性社会への実験が行われている

 毎日オリンピックを見ている人も多いと思うが、ロンドン・オリンピックが史上初の持続可能性を追求したグリーンオリンピックであることは余り報道されていない。主催国である英国は誘致の段階からグリーンな大会をメインテーマに掲げ、計画は環境・農業・食糧局(Defra)と国連環境計画(UNEP)の助言のもとに作られ、持続可能社会への触媒の役割を果たすと共に東ロンドンの環境を変える事で英国国民にグリーン経済への変革への勇気を与えるものとしている。

 WWFが提唱するOne Planet Livingをそのテーマに掲げた。現在の英国人が行っている生活様式では3個の地球を必要とするところを1個の地球での生活を可能にする事をオリンピックを通じて示そうとしている。

 会場となったオリンピックパークは東ロンドンと呼ばれる地域で、過去には汚染物質を垂れ流した工場群が有り土壌汚染の為に人が住めなくなり、ロンドンの廃棄物処理場となっていた地域であった。旧工場を取り壊し200万トンの土を土壌洗浄と言う技術で蘇らせた。古い骨材は98%が新施設の建設に利用された。施設建設の為の輸送には64%が鉄道を海上輸送が使われた。オリンピックスタジアムの建設には1万トンの鉄材が使われたが、これはこのクラスの建築物では従来の1/10の量である。天井のドームには廃棄処分されて野ざらしになっていたガスパイプがそのまま利用されている。

 競輪場はほぼ100%自然換気のみで、88本のライトチューブを使い自然光を取り入れた照明は僅かな電力しか消費しないデザインである。屋上に降った雨はタンクに集められ中水道としてトイレや庭の水やりに使われる。

100ヘクタール以上の公園は人と野生動物の為に作られ4000本の植樹と30万の草花が植えられ、閉会後もロンドン市民の憩いの場として提供される。

 交通機関の設計もユニークで、競技場へのアクセスは徒歩、自転車、公共交通機関のみとなっている。総延長80kmのサイクルパス(自転車専用道路)が作られ、6000台のレンタル自転車も用意された。

 ところで、今回聖火リレーで使われたトーチはアルミニウム製で燃料には食用廃棄油から作られた燃料が使われた史上初のゼロ・エミッション聖火であった事はご存じだろうか。

 日本のメディアの目は日本選手のメダルの数だけでなく、主催者の主張するテーマも報道すべきでは無いだろうか。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
31 Jul 2012   02:54:04 pm
日本から学んだドイツ
資源の100%利用を目指した法体系を作ったドイツ

 1990年代の日本は環境先進国として世界から模範の存在として認められていた。現在の環境先進国であるドイツも当時は多くを日本から学んだ。彼らはそれをどんどん法律にしていったところがいかにもドイツ人らしい。3R(Reduce, Reuse, Recycle)やゼロエミッション(Zero Emission)も日本から始まっている。

 これについて、林 哲裕氏著「ドイツ企業の環境マネジメント戦略」に詳しいので以下に引用させていただく。

 生産に投下されたすべての材料を100%最終製品に利用するか、あるいは発生した有価廃棄物を別な産業の生産プロセスで活用することを目指しています。(中略)日本が進めるセロエミッションの実現方法には、基本的に五つの類型があります。第一に発生した廃棄物を異業種間の企業連鎖で循環させる。第二に、都道府県が進める廃棄物減量化・リサイクルを行政が支援。これには1997年から通産省が厚生省を連携して進めているエコタウン事業があります。第三には、単独の工場内で副産物である廃棄物を内部で利用することで、廃棄物発生をゼロにする活動。第四に工業団地などの地区内での循環。第五には特定地域でのゼロエミッションの取り組みがあります。いずれかのゼロエミッション形態によって、企業から排出される廃棄物やエネルギーを限りなくゼロにして、産業だけでなく、地域の環境保全を達成していこうとするコンセプトです。

 以上が引用であるが、ドイツは循環経済・廃棄物法と言う法律を制定し、廃棄物の流れに従って、また種類によって適用される法令群をつくり、それを実行するためのコンピュータ・アプリケーションを整備してユーザーに提供している。そのシステムについてもこの本に詳しいが、そこまでやるかと思うくらいの徹底の仕方で、抜け道を防いでいる。決まった事はきちんと徹底的にやり続ける、さすがドイツ人というべきであろう。

 日本には現在、家電リサイクル法、自動車リサイクル法、容器包装リサイクル法、建設リサイクル法、食品リサイクル法がありそれぞれ監督官庁もことなり運用も異なる。

 林 哲裕氏著「ドイツ企業の環境マネジメント戦略」はアマゾンで購入できる。

カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
30 Jul 2012   10:06:59 pm
7.29国会議事堂包囲
大人の国の大人のデモの風格があった。

 昨日は国会議事堂前のデモを取材して夜はブログの原稿の準備もせずに寝てしまい、今朝は寝過してとうとうこの時間までブログを書く事ができなかった。寄る歳波か、鍛え不足か、恐らく後者だろう。

 昨日の集会は警察発表で12,000人、主催者発表の20万人は恐らくネット上で賛同した人の数も含んでいるのだろう。ぼくの見たと事では2〜3万人と言ったところだと思う。組織での参加者は20%位で殆どはまったくの個人での参加だった。目につくのは高齢者だ。他に行くところが無いからと言えばそれまでだが、いても立っても居られない気持ちで、孫の為に何かしなければと出て来ているのだ。若い家族の姿も多い。本格的なハーモニーを聞かせてくれるコーラスのグループや、ドラムバンドが明るいサンバのリズムで調子づける。それぞれが思い思いに何かを工夫して主張を掲げていた。

 主催者の準備は周到で、要所要所にスピーカーを設置して、とにかく参加者のテンションが上がらないように考えられていた。例えば群衆の流れは必ずどこかで渋滞が起き止まる。長時間止まっていると群衆はいらいらし始める。その時に適切にスピーカーからなぜ止まっているのかの説明が簡潔に解りやすく説明してくれるのだ。そのアナウンスが命令調でも高圧的でも無く、その声もリラックスさせる心地良い声で、気負いも無く淡々としていて心地よかった。

 これだけの群衆を動かして殆どトラブルも出していない。昨夜は2名が公務執行妨害で逮捕されただけであった。

 よくよく練られた誘導計画であったと、絶賛を送りたい。当局の警備体制も過剰と言えば過剰であったが、けが人を出してはならないと言う命令が徹底していたように思え、好感が持てた。

 この調子で行けば、スタッフと警備陣は大変だろうが今後も毎週金曜の官邸前集会は、かなり長期間続くのでは無いだろうか。そして全国規模に広がって行くのではないか、やっと日本国民も口を開いた。

 次はエネルギー問題を真剣に考える時である。原発無しでも快適な生活を続けられる方法が「ファクター5」だ。

カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
 
ページ: Prev 1 2 3 ...53 54 61 62 63 Next
Nov 2024 12月 2024 Jan 2025
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31     
にほんブ�前村
カテゴリー
Factor Five [220]
General [13]
ブログ管理人 [315]
他メディアより [577]
リーセント
北極海氷、2番目の小ささ
地球環境の救世主になるトランプ?
Oceans’18Kobeを訪ねて。
第三回国連環境総会
気候変動は国際社会の責任
トランプに消されるEnergy Star
トランプ大統領の誤算
ドイツ市民の誇り
水中CO2センサー
6年ぶりのメキシコ
アーカイブ
7月 2012[77]
6月 2012[80]
5月 2012[93]
4月 2012[97]
3月 2012[98]
2月 2012[68]
1月 2012[96]
12月 2011[100]
11月 2011[99]
10月 2011[109]
9月 2011[111]
8月 2011[97]
ユーザーリスト
Admin[5]
dantesforest[1120]
検索
組織化
Powered by myBloggie 2.1.4