ダンテの森    
28 Aug 2012   05:54:21 am
日本のグリーンビル
どう見ても欧米に差をつけられている「環境大国・日本」

 環境も人間も健康でいられるように設計・建築・運営された建物、グリーンビルディングについては、当ブログで何度か取り上げている。(2011/11/25-27, 2012/2/5, 2012/7/11など)

 米環境保護庁(EPA)によると、グリーンビルとは、「エネルギー、水、その他資源を効果的に使い、廃棄物や汚染・環境劣化を削減し、居住者やビル内で働く人の健康と生産性を高めることにより、環境や人体への負荷を削減するよう設計された建物」のことである。

 LEED認証制度と言うのが有り、アメリカ・グリーンビルディング・カウンシルと言うNPOが認証を行う。
その認定基準( )内はポイント数、
1. 持続可能な立地(26p)
2. 水資源利用効率(14p)
3. エネルギー効率(35p)
4. 資材・資源(14p)
5. 屋内環境品質(15p)
6. デザインの革新性(6p)
7. 地域優位性(4p)
の項目で審査を行い、80p以上はプラチナ、60〜79がゴールド、50〜59がシルバー、40〜49が標準である。

 これまでに、世界で4万以上のビルがLEED認定を取得しており、現在7万件が申請中である。認定ビルの地域別内訳は、EUが75%、北アメリカが11%、アジアが6%、その他が10%である。

 これまでに日本で認証を受けたビルは17でアジアの中でも飛びぬけて少ない。その上、認証を受けたビルは飯野海運本社とNTTファシリティービルの一部の2つ以外は全て外資系のビルオーナーである。(表参照)

 いまや、企業の評価に持続可能性が問われるのが当たり前になっている欧米に大きな後れを取っているが、アジアの国々にも遅れている。いまだに、省エネは売上を下げ、経済を後退させると考える経営者が多いのであろう。

 グリーンビル・ビジネスは2011年には40兆円を超え、2015年には世界で50兆円市場になろうとしているが、日本はこの分野でもおいてけぼりを喰うのか。

リード・ジャパンのホームページ
http://leedjapan.com/
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27 Aug 2012   05:58:17 am
飲料水自販機考
日本だけのユニークなエネルギー消費「自動販売機」

 夏は炎天下、冬は寒風の中で可能な限り省スペースに作られている為に断熱の施しようも無い清涼飲料水の自動販売機、2006年から減少傾向にあるものの、2010年には518万7千台が設置されていた。1台あたりの消費電力は800Wh〜1kWhである。計算を簡単にするために1kWhとして519万台を掛けると519万kWhとなるこれは、福島原発1号機から6号機までの合計に匹敵する。

 この自動販売機により販売される清涼飲料水売上は2006年には年間6兆9千億円に達した。この売り上げは、コンビニ、デパートに次ぐ売上高である。自販機1台が毎日35本の飲料水を販売した事になり、総飲料水販売の40%を占める。従業員一人当たりの売上を年間2千万円と仮定して逆算すると、自販機販売は35万人の職場を提供している事になる。

 自販機そのものを見ると、年間約45万台が製造され、古いものと交換されている。2006年以来、設置台数は増加していないので製造台数も減少傾向にある。1台当り単価は約40万円である、電子マネー対応などの高付加価値化が進んでいるが、販売価格に殆ど変化は無い。今後、インバーター、熱交換器などの省エネ化が図られる事で若干の価格アップを製造業者は期待しているようだ。こちらの市場規模は1800億円で約1万人の雇用を生んでいると推定される。

 清涼飲料水の自動販売機を屋外設置しているのは、日本以外には無い。日本人以外はその恩恵に浴していないのであるが、その為に生活に支障をきたしている様子は無い。ただただ日本人はエネルギーの無駄遣いをする方法を発明したのだ。幸い、海外のいずれの国もそれを真似る国が出て来なかったのは幸いである。つまり、無ければ無いで済ませる事のできる分野である。

 原発6基分のエネルギーの無駄遣い、あるいは3,600万トンのCO2の排出を止めると、36万人の雇用が減るかも知れないが、ここは真剣に考えれば自ずとその答えは出てくるはずである。

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17 Aug 2012   11:44:42 am
資源を5倍に使う
多くの戦争は資源の確保がその目的にであった

 8月15日は日本では終戦記念日としているが、東南アジアの国々ではたいてい「対日戦勝記念日」である。この記念日になると普段は埋もれていたナショナリズムが湧きあがって来るものである。いま、日本周辺では領土問題が俄かに注目を浴びている。世の戦争は資源確保が目的の場合が多い。自国を豊かにするためにはもっと資源が、食糧が、エネルギーが必要と、尊い人命を賭してまで戦争をする。

 一方、エネルギーは8割が無駄に使われており、食糧は1/3が捨てられており、資源がリサイクルされているのは10%に満たないし、貴重と言われているレアアースのリサイクル率は1%以下である。人類はこれまで資源を掘り出してはゴミの山を築くだけの社会に生きて来た。

 人類が残した最大のものはゴミの山である。地球温暖化ガスも人類が掘り出したCO2、つまりゴミである。地球から360kmも離れた人工衛星軌道上にも宇宙ゴミを捨てている。人類と言う生物はゴミを作る為に生れて来たのだろうか。
原油の価格が上がると、シェールガスや、オイルサンドや、メタンハイドレートなどを掘り出して使おうとする。これ以上化石燃料を掘り出して燃やしてCO2を出すのは止めにするべきだ。

 エネルギーの使用は1/5にできる。資源も80%リサイクルできる。建築物も50年で建て替えるようなものではなく200年も300年も使えてエネルギーを使わない建築物を作る技術が既に有る。農業は点滴灌漑農業にする事で水、肥料、農薬の使用が1/5になる。自動車もとりあえずは燃費を100kmを3リッターで走る燃費にしておいて、都市計画を再構築して車に頼らない社会にする事ができる。これが豊かさはそのままで資源を5倍に使う「ファクター5」の考え方である。

 もしも、人類が産業革命の直後に「ファクター5」に気づいていれば愚かな戦争は起こら無かったかも知れない。

カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
15 Aug 2012   12:37:33 pm
御愛読御礼
皆様のおかげ様で1周年を迎える事ができました。


 今日で開始1年を迎えたブログ「ダンテの森」の管理人です。海外出張の移動時間の関係でどうしてもアップできなかったのが何日か有りましたが、お陰さまでほぼ毎日1ページのペースを崩すことなく昨日で361ページを数えました。

 現在1日に200人から400人の人がこのブログを読んでくれているようです。ちょっと覗いてすぐに出るヒット数(Hit数)は毎日2,000から4,000の間で、これには間違ってダンテの森に来てしまった人もふくみます。だいたい、300人位の人が本当に読んでくれている人(Visitor数)のようです。やはり、書いている側としてはこのビジター数は気になる数字です。増えると嬉しいし元気になりますが、減ると何が悪かったかといろいろ反省もします。

 昨年の3.11の約半年後の終戦記念日である8月15日に意を決してブログを始めました。太平洋戦争の原因もエネルギー問題であったとも言えると思ったからです。地球温暖化の原因は人類の放漫なエネルギーの消費であり、今使っているエネルギーを1/5にしても現在の快適さを損なう事は無い、と言う考え方に立つドイツの環境学者エルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー教授の「ファクター5」を基にこのブログを書いて居ます。記事の60%はこの本からです。残りは、ブログ管理人の文であったり、内外のニュースからエネルギーに関する環境問題を取り上げています。「ファクター5」の日本語版を来年の早いうちに出版すべく仲間のボランティア翻訳者は着々と翻訳を進めています。

 電力会社の省エネキャンペーンは、冷房の温度を上げる、使わない機器のコンセントを抜く、冷蔵庫のドアの開閉は短時間になどと省エネ=快適性を犠牲にすることには大変力が入っていますが、建物を外断熱にすることや、窓枠を断熱構造にするなどのパッシブハウス基準にする事でエネルギーが80%も節約できることや、商業ビルのLEED基準化でやはりエネルギーが80%節約できる事を広報する事は積極的では有りません。電力会社の売り上げが1/5になる事は望んでいないからです。日本固有の無駄遣いの典型、屋外の飲料水の自動販売機は全国に600万台有りこれだけで原発2基分の電力消費です。実行すれば必ず消費電力が下がるに決まっているサマータイムは話題にすらされません。ロンドンオリンピックがこれまでで最もエネルギー消費が少なかったグリーン・オリンピックで有った事も知らされないで終わりました。

 エネルギー消費が下がる事は誰も望んでいないかのようです。シェールガス、オイルサンド、メタンハイドレートなど、新たな化石燃料の採掘の話をまるで「希望」のように話す評論家たちを見ていると背筋が寒くなります。かつては省エネ先進国だった日本を取り戻す為に、ブログ「ダンテの森」は頑張りますので、皆様のご愛読をお願い致します。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
13 Aug 2012   10:37:44 am
賢い企業人の選択
グリーン・ウエーブはもう来てしまっている。

 グリーン経済への移行と聞くと、どこかの環境保護団体のスローガンか何かで企業にとっては負担にこそなれ、直近の利益には結びつかないと考えている企業人が今でも多いのではないだろうか?

 いずれの企業も大なり小なり環境対策に関わりを持っている。水質問題、排水・排気の問題、産業廃棄物問題、その他の公害問題など、いずれも企業負担としか捉えられていなかったからである。

 しかし、今やまちがいなくグリーンの波はやって来ている。他の企業よりも早く環境問題を積極的に戦略的に企業戦略に取り入れることが持続可能社会において企業としてリーダーシップを取れるチャンスを得る事ができる。

 世界のマーケットリーダーであるGE、イケア、トヨタ、3Mは既に波に乗っている。この波に乗った企業は収益も上がっている。
エール大の教授、ダニエル・C・エスティー(Daniel C. Esty)著の「グリーン・トゥ・ゴールド」と言う本によると「ビジネスの世界に打ち寄せるグリーン・ウエーブから逃れられる企業はどこにも存在しないということだ」とある。

 BPのCEOのジョン・ブラウン卿は地球温暖化ガスの排出を減らす事を全社に指示し、3000万ドルのコストをかけたが、数年間で6億5千万ドルのコスト削減を達成し、2006年までに15億ドルのコストを削減した。

 賢い企業は、環境問題に戦略的に取り組んで競争優位を確保する。

 今や、省エネは小さな節約ではない。2010年度に全米では1兆円の省エネが実施された。グリーンビル(省エネビル)の市場は全米で40兆円の市場を形成している。世界では100兆円市場である。

 省エネを矮小化して考えていてはグリーン・ウエーブに乗り遅れる。


この本はアマゾンで購入できる。
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