ダンテの森    
03 Oct 2012   12:38:36 pm
環境負荷の少ない海運
日本の地形は沿岸海運に最適

 今日のNHK BSの海外ニュースでFrance2を見ていたら、セーヌ川を輸送手段として見直すと言うトピックスがあった。パリはセーヌ河の交通の要所としてローマ時代にLutetiaと呼ばれた町を元にできている。パリの大手のスーパーマーケットはパリ郊外の物流拠点からセーヌ川を使ってコンテナを輸送し、パリ市内でコンテナを陸揚げしてトレーラでスーパーマーケットに運ぶと言う方法を始めたと言う。パリに向かう高速道路は万年渋滞であるが、セーヌには渋滞が無い。その上何と言っても船は一隻で26本もの40フィートコンテナ―を運べ、燃料消費もトラック輸送とは比較にならない位少なく環境負荷が少ない輸送手段である。

 欧州では長距離輸送には船が多用されている。ラインーマインードナウの3つの大河川が運河でつながっており、オランダのアムステルダムから欧州を縦断して黒海までの10数カ国をつないでいる。河岸の大都市にはコンテナーターミナルを備えた港湾施設や税関が完備され水運に活用されている。

 日本は海に囲まれており、最も沿岸海運に適した地形をしているのに拘わらず国内海運は伸び悩んでいる。現在、国内輸送はトラック輸送55.8%、内航海運39.5%、鉄道4.5%、航空0.2%であるが、内航海運は1990年の2450億トンキロをピークに減少し続けており、2010年には1800億トンキロになった。

 図は、1トンの貨物を1キロメートル輸送するのに必要なエネルギー量をジュールで表したもので、青字はその時に出るCO2の量である。日本は持続可能性社会に向かい輸送のモーダルシフトを真剣に考える時が来ている。

日本内航海運組合総連合会のホームページを紹介するURL:
http://www.naiko-kaiun.or.jp/index.html
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23 Sep 2012   06:46:03 pm
電力会社の不都合
望まれる電力自由化と発送電分離

 暑く長かった今年の夏もお彼岸を向えてやっと涼しくなった。原発を止めるとこんなに不便になるぞとの脅しにも見えた電力会社、政府、マスコミの省エネキャンペーンの効果があってか、動いた原発は関西電力の大飯の2基のみであったが、記録的猛暑にも拘わらず計画停電も実施されずに終える事ができた。昨年夏の計画停電騒ぎは単なる電力会社の危機管理能力の無さの為に起こされたと言う事の証明であった。

 本格的な省エネが浸透してくると、電力使用量はどんどん下がって来る。ぼくたちが提唱するファクター5が実現すると電力は今の1/5で済むことになる。そうすると一番困るのは電力会社のはずである。一般企業であれば、産業構造の変化によってある事業の売り上げが大幅に下がる事は良く有る事で、その場合企業は規模を縮小して人員を減らし内部コストを下げる努力をするのは当たり前のことである。しかし、電力会社は日本を10のテリトリーに分けて、誰もがこの10社から電力を購入しなくてはならない独占が電気事業法によって認められている。また、コストが増えるとそれを電気料金にそのまま上乗せする事が許されている。電力会社は原価の4.4%を会社の利益として取る事が認められており、特に企業努力をする事無く毎年利益を出す事が可能となっている。

 将来、電気の需要が減少した場合、電力会社は余剰設備を減らすことや、人員を削減すること無く電力料金を上げることで4.4%の利益を得ても良い法律なのである。

 世界の先進国では電力の自由化はもう20年も前から普通になっている。発電と送電もそれぞれ別の企業が行っている。電力が自由化されると停電が起きる等と発言している評論家と称する人もいるが、2000年夏のカリフォルニアで起きた停電を指しているが、これは破綻した巨大エネルギー企業エンロンもからんだ事件であった事が分かっており、自由化されたら必ず発生すると言うリスクとは言えない。その他の国ではそんな事は起きていない。

 電力が自由化されると自然と原発離れが起きる。それは原発のようなリスクを一企業が抱える事は許されないからである。
需要家は選択肢が増えサービス、電力源、価格など好みで選ぶ事ができるようになり、電力会社の経営姿勢、透明性、経営効率、持続可能性、社会貢献度(CSR)、企業モラル(コンプライアンス)等が厳しくチェックの対象となる。
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20 Sep 2012   11:44:52 am
閣議決定の見送り
「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定の見送り

 2011年度までの日本の再生可能エネルギーの発電量は1,945万kWで総発電量2億3030万kWの8.4%であったが、本年8月末までに130万kWの新たな再生可能エネルギー、主に太陽光発電が加わり、本年末までに更に250万kWが増設の予定だと言う。低迷していた再生可能エネルギーが俄かに増え始め本年末には2324kWとなりやっと10%を超える。これは電力買い取り(FIT)が政府に依り決定されたからである。FITは東北大地震の2011年3月11日の午前中の閣議で菅内閣が閣議決定したもので不思議な因縁を感じると共に閣議決定と言うものの重さを感じる。

 昨日、野田内閣は2030年代に脱原発と言っていた「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送った。その前に原発村出身者で固めた原子力規制員会の人事決定については国会の同意を得ること無く例外規定により首相が独断で決定している。民主党の数少ない功績と思っていた原発関連の改革は野田首相の単なる選挙目当てのアドバルーンだった事になる。

 これで、青森県大間と山口県上関で建設中の原発は枝野経産相の思惑通り建設続行となる。一体、原発立地の自治体にはどの位のお金が落ちるかと調べて見た。135万kW級の標準的な原発の場合、建設費は4500億円位であるがこれはほとんどは東京に本社が有るゼネコンや電機メーカに渡る。しかし調査開始からから決定に至るまでの10年間で391億円、運転開始後10年間で502億円が地元対策費に充てられる。更に運転開始後は電源立地地域交付金として20年間で545億円が、固定資産税が20年間で348億円が地元に落ちる。たいていの場合もともとは漁業を営む寒村であったものが急に潤沢な原発マネーで潤う。一度原発マネーの味を覚えるともう逃れる事はできない。まさに麻薬だ。

 原発立地県からの圧力と経済界からの圧力の方が、世論調査で70%の人が脱原発を支持している事よりも強いと考えるのが現在の政治だ。がっかりした。

 明日の官邸前デモは又、盛り上がることだろう。
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16 Sep 2012   02:47:23 pm
グリーン化途上のビル
NYの歴史的建造物がグリーン化改築途中ですでに省エネ効果を発表


 1931年竣工のニューヨーク、エンパイアステートビルは2011年5月に竣工80周年事業としてはじめられた総額5億5千万ドル大改築の内、1億2千万ドル(91億円)はグリーンビル化費用として計上されている。
改築開始後1年が経った本年、既にビル全体で5%の省エネとなり、240万ドル(1億8千万円)の電力料金が節約されたと発表している。

 このグリーンビル化改築はニューヨーク市のモデルケースとして、クリントン環境イニシアティブが推進するC40(世界の58の大都市が加盟して持続可能性都市への改革を行っており、日本からは東京と横浜が加盟している。2012/6/21のブログ参照)が目標としている2020年までに2億5千万トンとCO2を削減する一環である。

 エンパイアステートビルの改築が完成すると、年間440万ドル(3億3千万円)のエネルギー料金が節約される。これは38%の省エネであり、10万5千トンのCO2の削減になる。

 ビルの6500の窓は全てペアガラスと断熱構造のサッシに取り換えられる。エアコンは全て省エネ仕様のものに交換される。また、インターネットを使ったテナント毎のエアコンや照明の制御と電力使用状況の「見える化」等のグリーンビル化が行われている。この改築の設計と施工を請け負うジョンソン・コントロール社は、各テナントに対してグリーンビル化により節約されるエネルギー料金を見積もり提示し、実施後それに達しなかった場合には差額を補償すると言う契約を結ぶと言う方法で、グリーン化を促進している。
アメリカでは世界平均と同じく全エネルギー消費の40%が建築物によるものであるが、ニューヨークのようなビルが密集した大都会ではその割合は大きく75%である。ニューヨークの商業ビル全てがグリーン化すれば年間400万トンのCO2排出量の削減となり、これは石炭火力発電所約2基分である。
エンパイアステートビルのマーキン(Malkin)社長は歴史的建造物を改築する事で達せられる省エネが既に改築一年目で効果が証明された事は意義が大きい、世界の大都市にある非効率な古いビルの何億平米が全てグリーンビル化されることで、省エネ、エネルギーコストの低減、快適な職場環境の提供、グリーンビル保全の為の新たな雇用の創出に貢献できるとしている。
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11 Sep 2012   12:36:18 pm
カスケーディング利用
資源を段階的に利用する事で、できるだけ長い時間使う方法を資源のカスケーディング利用と言う。

 資源には、石油、石炭などの化石燃料、鉄、金、レアメタル、石材などの鉱物資源、木材、穀物などの生物資源がある。化石燃料や鉱物資源は数十億年の長い年月と高圧によって集積されてできたものである。木材は数十年から千年程度の時間を掛けて太陽光エネルギーを使って通常温度、通常圧力で作られたものである。穀物は1年程度の時間で太陽エネルギーによって作る事ができる。

 木材に例えて言えば、まず家具を作り何十年かして不要になった家具を砕いてバイオマスにして燃料にしてしまえばそれで木材はCO2になり終わってしまうが、家具であった木材から、ハンガーや、文房具を作りさらに数年使う、その寿命が終わったら、繊維にして紙を作る、紙は本になってさらに十数年使われ、次に再生紙となり梱包材量となり、最後にバイオマスになって電気に変わる。と言う風に段階的に資源を使う事で少しでも資源を資源の元の形に近い状態で使おうとする使い方をカスケーディング利用と言う。しかし、実際にはそのようなシステムが確立されていない為に、殆ど家や、家具は破砕されて燃やされているのが現状である。

 昔から使われている金、銀、銅、鉄、アルミなどはできるだけその純度を守りながらリサイクルする方法が確立されているが、資金問題視されているレアメタルにはその方法がまだ確立されておらず、一回限りの使用で最終焼却処分をされた後は埋め立て用の塵となっている。レアメタルと言われる割にはその寿命は短い。それは使用されている量が余りにも少ないために回収してコストに引き合う分量が無いからだ。レアメタルはそれらが回収されやすいカスケーディング設計を行って使用後は分離して集めて、リサイクルが引き合う分量が集まるシステムを作る必要がある。現在のレアメタルのリサイクル率は1%以下である。
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